今週のポイント
先週(7/8- )は、RBNZ(NZ中銀)の利下げ観測が強まったことでNZドルが軟調に推移しました。豪ドル/NZドルは1年9カ月ぶりの高値を記録し、NZドル/円は約1カ月ぶりの安値をつけました。17日に発表されるNZの4-6月期CPI(消費者物価指数)の結果次第では、NZドルに対する下押し圧力は一段と強まるかもしれません。
米ドル/カナダドルやカナダドル/円については、16日発表のカナダの6月CPIが材料になりそうです。CPIでBOC(カナダ中銀)の利下げ観測が強まる場合、米ドル/カナダドルは底堅く推移し、カナダドル/円は上値が重い展開になりそうです。
18日にはSARB(南アフリカ中銀)の政策会合が開かれます。南アフリカの5月CPIは前年比5.2%と、上昇率は4月と同じとなり、SARBのインフレ目標(3~6%)の中間値である4.5%を引き続き上回りました。18日の会合で政策金利は8.25%に据え置かれそうです。市場では、SARBは9月に利下げを行うとの観測があります(8月は会合なし)。前回5月の会合時は、6人の政策メンバー全員が政策金利の据え置きに賛成しました。今回の会合で利下げを支持するメンバーがいるなどして9月の利下げ観測が強まれば、南アフリカランドは軟調に推移する可能性があります。
本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)には注意が必要です。豪ドル/円やメキシコペソ/円などのクロス円は、米ドル/円の動向にも影響を受けるからです。為替介入によって米ドル/円が大きく下落する場合、クロス円はそれに引きずられそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.10000NZドル~1.12000NZドル>
豪ドル/NZドルは15日に一時1.11308NZドルへと上昇し、22年10月以来1年9カ月ぶりの高値をつけました。
豪ドル/NZドルの上昇に弾みがついた要因として、10日のRBNZ(NZ中銀)政策会合によってRBNZの利下げ観測が強まったことが挙げられます。RBNZは会合で政策金利を5.50%に据え置くとともに、声明で「金融政策は引き続き(景気)抑制的である必要がある」と改めて表明しました。ただし、今回の声明では「抑制の程度は、予想されるインフレ圧力の鈍化に合わせて時間とともに緩和されるだろう」が追加されました。5月の会合で利上げについても議論されるなどタカ派的だったRBNZの政策スタンスは、ハト派方向へとシフトしました。
今週は17日発表のNZの4-6月期CPI(消費者物価指数)に注目です。CPIの結果を受けてRBNZの利下げ観測が一段と強まる場合、豪ドル/NZドルはさらに上昇すると考えられます。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35500カナダドル~1.37500カナダドル>
BOC(カナダ中銀)は前回6月の政策会合で0.25%の利下げを実施。マックレムBOC総裁は会合後の会見で「インフレ率が引き続き鈍化し、インフレ率が持続的に2%の目標に向かうとの確信が一段と強まるなら、追加利下げを予想するのが妥当だ」と述べました。
市場では、BOCは次回7月24日の会合で追加利下げを行うとの見方が有力です。16日に発表されるカナダの6月CPI(消費者物価指数。本稿執筆時点では未発表)が弱い結果になれば、追加利下げ観測が強まるとともに、カナダドル安材料になりそうです。
米ドル/カナダドルについては、米FRBの金融政策も重要です。小売売上高など米経済指標やベージュブック(米地区連銀経済報告)などによってFRBの利下げ観測が強まる場合、米ドル/カナダドルは上値が重くなる可能性があります。
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