*16:26JST サンフロ不動産 Research Memo(6):2025年3月期は中期経営計画の最終年度
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
サンフロンティア不動産<8934>の2025年3月期の業績予想は、売上高100,000百万円(前期比25.2%増)、営業利益20,870百万円(同18.6%増)、経常利益20,000百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14,000百万円(同17.5%増)としている。中期経営計画の最終年度として、経常利益率20%台の高い収益性と、ROE10%以上の資本効率を継続しつつ定量目標の達成を目指す。同社グループの業績予想(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)に対する達成率は、2024年3月期まで13期連続で100%を上回っており、コロナ禍といった事業環境の急変化にも柔軟に対応している。2025年3月期の業績予想を現行中期経営計画の目標値と同額としたことで、市場へのコミット達成意識が強く窺える。不動産サービス事業の堅実な成長に加え、ストックビジネスであるホテル運営事業の業績が拡大傾向にあり、通期計画の達成はもちろんのこと、中長期的な持続的成長も大いに期待できると弊社では見ている。
また、同社事業の運営においては、フロー型事業では利益率を重視、ストック型事業では高い成長率を追求している。フロー型事業には、リプランニング事業・ホテル開発事業・海外開発事業の物件売却に関する事業が該当する。ストック型事業には、不動産サービス事業・ホテル運営事業等、物件売却以外の事業が該当する。
2. 重点施策
2025年3月期の重点施策は以下のとおりである。
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業では、売上総利益率30%超の高い収益性を継続する見通しであり、既存のリプランニング事業に加えて、ニューヨークでのアパートメントリプランニングや不動産小口所有商品の売却を見込む。前期に引き続き良物件の仕入れ・開発を計画的に行い、高収益・高稼働の物件を提供する。2025年3月期は前期を上回る売却益を計画しており、期末棚卸資産についても投資を積極的に進め増加を計画している。社内外のネットワークを活用して全社一丸となった仕入活動に注力するほか、仕入担当者の裁量を拡大することで、スピード感ある意思決定を実現する。期末棚卸資産残高は1,200億円〜1,250億円を予想しており、想定売上高は1,600億円〜1,785億円、売上総利益率は25%〜30%を見込んでいる。これにより、期末棚卸資産の含み益は400億円〜535億円程度になることが読み取れる。平均事業期間は2024年3月期で705日(前期比52日増)、新築物件と長期保有物件を除く平均事業期間は625日(同28日減)であり、回転率を維持しながら投資の回収と成長を図る。リプランニング事業の2024年3月期末における棚卸資産の構成は、短期物件が4割強、中長期物件が3割強、新築物件とニューヨーク物件合計で2割程度であった。同社グループは短期物件の平均事業期間の理想を1年から1年半としている。回転率とバランスを意識した適正な棚卸資産構成により事業運営をしていることから、持続的な利益成長が期待できると弊社では見ている。
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業では、各事業とも堅調な伸びを継続しており、リーシングマネジメント事業の新店舗、貸会議室の新拠点、及びプロパティマネジメント事業の管理受託棟数増による利益伸長を見込む。リーシングマネジメント事業では、地域密着の支店展開を加速させており、支店の増加に伴い管轄エリアを細分化することで、今まで以上に地域に根差した「お困りごと解決」が可能となる。都心5区以外の管理物件が増えることで、これまで以上に多くの情報が得られるようになり、不動産再生事業の要である仕入活動への寄与も期待できると弊社では見ている。貸会議室事業では、法人顧客のリピート需要が増加しており、大口企業や業界団体の研修、学会や検定試験の会場としてのニーズを着実に取り込んでいる。足元では、2023年11月に開業した「ビジョンセンター新宿マインズタワー」は、2024年4月に早くも500坪の増床を実施した。また、「ビジョンセンター田町」も同月に200坪の増床を実施した。加えて、「ビジョンセンター市ヶ谷」も2024年6月に200坪の増床を予定している。同社グループ会社であるサンフロンティアスペースマネジメント(株)が運営する貸会議室は、駅前などの需要があるエリアに集中して出店していることから、受注状況は好調に推移している。同事業は大口企業のリピートが多いという特徴があるため、今後は安定的な利益の積み上げが期待できる。足元では、新入社員向けの研修需要により4月〜6月の予約が8割以上埋まっている状況であり、2025年3月期以降も開業・増床が進むのではないかと弊社では見ている。プロパティマネジメント事業では、管理受託棟数が右肩上がりに推移しており、2024年3月期末には493件となった。引き続き管理受託棟数増による利益伸長を見込んでおり、2025年3月期末には540件を目標としている。賃貸仲介部門との協働によるテナント誘致や、適正賃料への条件改定等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営をサポートしていく。ビルメンテナンス事業では、顧客ニーズは引き続き堅調で、新卒・中途を含めた人財採用を強化し管理体制の増強を図る。外注費(主に人件費)をはじめとした原価の高騰については適切な価格転嫁を実施済みであり、収益性は良化する見通しである。また、滞納賃料保証事業では、契約件数が右肩上がりで推移しており、2024年3月期末では3,856件となった。新規契約についても、都心5区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区)が79%を占め、順調に獲得件数を積み上げており、2025年3月期末には4,200件の到達を目指している。
(3) ホテル・観光事業
ホテル運営事業では、需要回復と質の高いサービスにより業績伸長を見込んでいる。稼働率・客室単価の向上に加えて、前期にM&Aを実施したホテルの利益貢献を見込んでおり、運営室数の増加とサービス力の向上により事業成長を加速させる。ホテル開発事業に関しては、物件の売却を検討している。2025年3月期以降は積極的なホテル開発投資を計画しており、ビジネスと観光のニーズに応えながら地域創生への貢献を推進する方針だ。首都圏以外の一部地方では人口減少が課題となっている一方で、再生可能エネルギー関連のビジネス需要が高まりを見せている。再生可能エネルギー関連の設備はメンテナンスが不可欠であるため、一過性で終わらない長期的なビジネス需要が期待できる。また、自治体からの誘致案件等であれば、より有利な条件で進出が可能であり、国内旅行・インバウンド需要に加えてビジネス需要を取り込むことで、さらなる成長が期待できると弊社では見ている。
(4) 販管費
ホテル現場でのシステム投資に加えて、人的資本への投資による費用増加を計画している。人的資本への投資に関しては、人財の成長に向けてベースアップや採用活動の強化を見込んでいる。人財・事業に向けた投資は、同社グループ事業の中長期的な成長に不可欠なものであり、潤沢な自己資本と事業の収益性を勘案すれば、投下資本の調達と回収に特段の懸念はないと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2025年3月期の業績見通し
サンフロンティア不動産<8934>の2025年3月期の業績予想は、売上高100,000百万円(前期比25.2%増)、営業利益20,870百万円(同18.6%増)、経常利益20,000百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14,000百万円(同17.5%増)としている。中期経営計画の最終年度として、経常利益率20%台の高い収益性と、ROE10%以上の資本効率を継続しつつ定量目標の達成を目指す。同社グループの業績予想(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)に対する達成率は、2024年3月期まで13期連続で100%を上回っており、コロナ禍といった事業環境の急変化にも柔軟に対応している。2025年3月期の業績予想を現行中期経営計画の目標値と同額としたことで、市場へのコミット達成意識が強く窺える。不動産サービス事業の堅実な成長に加え、ストックビジネスであるホテル運営事業の業績が拡大傾向にあり、通期計画の達成はもちろんのこと、中長期的な持続的成長も大いに期待できると弊社では見ている。
また、同社事業の運営においては、フロー型事業では利益率を重視、ストック型事業では高い成長率を追求している。フロー型事業には、リプランニング事業・ホテル開発事業・海外開発事業の物件売却に関する事業が該当する。ストック型事業には、不動産サービス事業・ホテル運営事業等、物件売却以外の事業が該当する。
2. 重点施策
2025年3月期の重点施策は以下のとおりである。
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業では、売上総利益率30%超の高い収益性を継続する見通しであり、既存のリプランニング事業に加えて、ニューヨークでのアパートメントリプランニングや不動産小口所有商品の売却を見込む。前期に引き続き良物件の仕入れ・開発を計画的に行い、高収益・高稼働の物件を提供する。2025年3月期は前期を上回る売却益を計画しており、期末棚卸資産についても投資を積極的に進め増加を計画している。社内外のネットワークを活用して全社一丸となった仕入活動に注力するほか、仕入担当者の裁量を拡大することで、スピード感ある意思決定を実現する。期末棚卸資産残高は1,200億円〜1,250億円を予想しており、想定売上高は1,600億円〜1,785億円、売上総利益率は25%〜30%を見込んでいる。これにより、期末棚卸資産の含み益は400億円〜535億円程度になることが読み取れる。平均事業期間は2024年3月期で705日(前期比52日増)、新築物件と長期保有物件を除く平均事業期間は625日(同28日減)であり、回転率を維持しながら投資の回収と成長を図る。リプランニング事業の2024年3月期末における棚卸資産の構成は、短期物件が4割強、中長期物件が3割強、新築物件とニューヨーク物件合計で2割程度であった。同社グループは短期物件の平均事業期間の理想を1年から1年半としている。回転率とバランスを意識した適正な棚卸資産構成により事業運営をしていることから、持続的な利益成長が期待できると弊社では見ている。
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業では、各事業とも堅調な伸びを継続しており、リーシングマネジメント事業の新店舗、貸会議室の新拠点、及びプロパティマネジメント事業の管理受託棟数増による利益伸長を見込む。リーシングマネジメント事業では、地域密着の支店展開を加速させており、支店の増加に伴い管轄エリアを細分化することで、今まで以上に地域に根差した「お困りごと解決」が可能となる。都心5区以外の管理物件が増えることで、これまで以上に多くの情報が得られるようになり、不動産再生事業の要である仕入活動への寄与も期待できると弊社では見ている。貸会議室事業では、法人顧客のリピート需要が増加しており、大口企業や業界団体の研修、学会や検定試験の会場としてのニーズを着実に取り込んでいる。足元では、2023年11月に開業した「ビジョンセンター新宿マインズタワー」は、2024年4月に早くも500坪の増床を実施した。また、「ビジョンセンター田町」も同月に200坪の増床を実施した。加えて、「ビジョンセンター市ヶ谷」も2024年6月に200坪の増床を予定している。同社グループ会社であるサンフロンティアスペースマネジメント(株)が運営する貸会議室は、駅前などの需要があるエリアに集中して出店していることから、受注状況は好調に推移している。同事業は大口企業のリピートが多いという特徴があるため、今後は安定的な利益の積み上げが期待できる。足元では、新入社員向けの研修需要により4月〜6月の予約が8割以上埋まっている状況であり、2025年3月期以降も開業・増床が進むのではないかと弊社では見ている。プロパティマネジメント事業では、管理受託棟数が右肩上がりに推移しており、2024年3月期末には493件となった。引き続き管理受託棟数増による利益伸長を見込んでおり、2025年3月期末には540件を目標としている。賃貸仲介部門との協働によるテナント誘致や、適正賃料への条件改定等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営をサポートしていく。ビルメンテナンス事業では、顧客ニーズは引き続き堅調で、新卒・中途を含めた人財採用を強化し管理体制の増強を図る。外注費(主に人件費)をはじめとした原価の高騰については適切な価格転嫁を実施済みであり、収益性は良化する見通しである。また、滞納賃料保証事業では、契約件数が右肩上がりで推移しており、2024年3月期末では3,856件となった。新規契約についても、都心5区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区)が79%を占め、順調に獲得件数を積み上げており、2025年3月期末には4,200件の到達を目指している。
(3) ホテル・観光事業
ホテル運営事業では、需要回復と質の高いサービスにより業績伸長を見込んでいる。稼働率・客室単価の向上に加えて、前期にM&Aを実施したホテルの利益貢献を見込んでおり、運営室数の増加とサービス力の向上により事業成長を加速させる。ホテル開発事業に関しては、物件の売却を検討している。2025年3月期以降は積極的なホテル開発投資を計画しており、ビジネスと観光のニーズに応えながら地域創生への貢献を推進する方針だ。首都圏以外の一部地方では人口減少が課題となっている一方で、再生可能エネルギー関連のビジネス需要が高まりを見せている。再生可能エネルギー関連の設備はメンテナンスが不可欠であるため、一過性で終わらない長期的なビジネス需要が期待できる。また、自治体からの誘致案件等であれば、より有利な条件で進出が可能であり、国内旅行・インバウンド需要に加えてビジネス需要を取り込むことで、さらなる成長が期待できると弊社では見ている。
(4) 販管費
ホテル現場でのシステム投資に加えて、人的資本への投資による費用増加を計画している。人的資本への投資に関しては、人財の成長に向けてベースアップや採用活動の強化を見込んでいる。人財・事業に向けた投資は、同社グループ事業の中長期的な成長に不可欠なものであり、潤沢な自己資本と事業の収益性を勘案すれば、投下資本の調達と回収に特段の懸念はないと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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