アイナボHD Research Memo(3):2024年9月期第2四半期は大型物件事業が回復し、15.2%の営業増益

配信元:フィスコ
投稿:2024/06/06 16:33
*16:33JST アイナボHD Research Memo(3):2024年9月期第2四半期は大型物件事業が回復し、15.2%の営業増益 ■業績動向

1. 2024年9月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2024年9月期第2四半期の連結業績は、売上高46,160百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益1,570百万円(同15.2%増)、経常利益1,720百万円(同13.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,078百万円(同17.0%増)となり、ほぼ計画どおりとなった。

売上高は戸建住宅事業・大型物件事業ともに増収となったが、特に新規連結子会社と空調関連子会社の回復により大型物件事業の伸びが大きかった。売上総利益率は14.5%と前年同期比で0.4ポイント改善したが、主に利益率の高い大型工事の比率が上昇したことによる。販管費は新規連結子会社の増加分や人件費増(人員増や物価高手当等)により同6.1%増となったが、増収と粗利率改善による売上総利益の増加(8.1%増)を下回ったことから、営業利益は15%超の増益となった。住宅市場全般が厳しい環境のなかで、健闘した結果と言えるだろう。

営業利益の増減内訳は、増収による売上総利益の増加で286百万円増、新規連結により25百万円増、売上総利益率の改善により101百万円増、販管費の増加による206百万円減であった。この結果、営業利益は前年同期比206百万円増となった。

(2) セグメント別状況
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は38,295百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益は1,738百万円(同2.7%減)となった。サブセグメント別売上高は、外壁工事が8,791百万円(同1.3%増)、住設工事が11,778百万円(同6.1%増)、建材販売8,366百万円(同2.7%増)、住設販売が9,359百万円(同0.9%増)となり、すべてのサブセグメントで増収となった。セグメント利益は、比較的利益率の高い外壁工事や建材販売の増収率が低かったことから人件費等による経費増加を吸収できず、営業利益は微減益となった。

b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は7,865百万円(同14.7%増)、セグメント利益は602百万円(同82.7%増)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が2,417百万円(同41.4%増)、住設販売・工事が5,447百万円(同5.8%増)となった。タイル販売・工事は、首都圏での進行基準案件が進捗したことに加え、2023年10月から連結子会社となったミックの寄与で大幅増収となった。住設販売・工事は、中古マンション買い取りの新規事業に加えて、子会社の温調技研(株)の回復により増収となった。セグメント利益は、比較的利益率の高い工事が完工したことなどから、大幅増益となった。

(3) 事業会社別業績
主力子会社である(株)アベルコは、売上高31,075百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益1,187百万円(同3.7%減)となった。住宅市場の状況は必ずしも堅調とは言えなかったが増収を維持した。しかし、経費増を吸収できずに営業利益は微減益となった。(株)インテルグローは売上高6,476百万円(同0.9%増)、営業利益100百万円(同26.5%減)となった。売上高が微増に留まったことから、販管費の増加を吸収できず営業減益となった。温調技研は売上高1,445百万円(同48.8%増)、営業利益215百万円(同497.2%増)と、大幅な増収増益となった。前期が需要減と競争激化で不振であったが、回復基調に戻った。(株)今村は売上高1,693百万円(同4.9%減)、営業利益20百万円(同48.7%減)となった。住宅市場低迷の影響を受けた。(株)アルティスは売上高294百万円(同44.8%増)、営業損失12百万円(前年同期は26百万円の損失)を計上した。ただし損失幅は縮小した。(株)マニックスは、売上高4,883百万円(同0.1%増)、営業利益94百万円(同1.1%増)となった。(株)Maristo(マリスト)は売上高668百万円(同12.6%増)、営業利益43百万円(前年同期は11百万円の営業損失)を計上した。2024年9月期に連結子会社となった(株)ミックは売上高393百万円、営業利益25百万円となった。

(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」としている各課題の達成状況は次のとおり。

サイディングの売上高は1,912百万円(前年同期比8.2%減)、サイディングプレカットは369件(同68件減)となった。それぞれ減収減益だったものの、収益は比較的高い水準を維持している。非住宅※の売上高は2,126百万円(同25.4%増)となった。通期目標3,500百万円に対しての進捗率は60.7%と、堅調である。サッシ(マンション+戸建て)の売上高は1,817百万円(同4.9%減)、サッシ(戸建住宅のみ)の売上高は1,513百万円(同23.9%増)となった。サッシ全体では堅調であったが、通期目標に対しての進捗率は30%台に留まった。通期目標は目標値が高い設定であることも勘案すれば、悪い内容ではないだろう。

※2021年9月期から重点課題に加えたもので、住宅以外の施設や店舗向けの案件を扱う。


ブランド事業では、タイル「マリスト」の売上高は668百万円(前年同期比2.2%減、同15百万円減)となった。通期目標に対する進捗率は47.7%で、まずまずの結果であったと言える。高級浴槽「アルティス」の売上高は294百万円(同44.1%増、同90百万円増)となった。通期目標442百万円に対する進捗率は66.5%であり、順調に拡大していると言えるだろう。新規顧客開拓については350件となり、同18件増加したが、売上高は361百万円(同5.1%減)となった。同社は「売上高は後からついてくる傾向があるので、件数が増加している点は評価している」と述べた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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