ニッポンインシュア、新規取引先拡大、既存顧客への対応強化等が奏効し、上期は増収増益 通期業績予想を上方修正へ

投稿:2024/06/03 08:00

目次

坂本真也氏:本日はご視聴いただき、誠にありがとうございます。私は、ニッポンインシュア株式会社代表取締役社長の坂本です。

今回は2024年9月期第2四半期の決算についてご説明します。主な内容としては、会社紹介、2024年9月期第2四半期の実績、成長戦略となっています。

会社概要

まずは会社説明から入ります。当社は2002年設立し、主たる事業は家賃債務保証サービスです。こちらのサービスは2008年に福岡でスタートして、神奈川、東京、新潟、大阪、仙台、名古屋の7つの拠点で事業展開を行っています。また、フランチャイジーとしてランドリーサービスとフィットネスサービスの運営も行っています。

主要事業の家賃債務保証

主要事業の家賃債務保証についてご説明します。家賃債務保証とは、賃貸で部屋を借りる時に連帯保証人が必要になりますが、人的保証に代わって、機関保証として連帯保証人に近い役割を果たす制度です。

サービスの基本の流れとしては、まず借主が当社と保証委託契約を交わし、保証料をお支払いいただきます。この保証料が当社の売上となります。

次に、貸主である不動産管理会社と当社が契約を交わし、サービスがスタートします。このサービス期間中に万が一滞納があった場合には、当社が家賃などを立て替えて送金します。その後、立て替えた金額を借主に対して請求するという流れです。

また、スライド左図で示したとおり、家賃債務保証には一般保証型と支払委託型の2種類があります。一般保証型は、借主が不動産管理会社に家賃を毎月支払う中で滞納が発生した場合に、不動産管理会社から当社に報告を受け、当社が立て替えて送金した後、借主に請求する流れになっています。

一方、支払委託型は当社が借主の口座から家賃の引き落としを行い、引き落としの有無にかかわらず、貸主へ送金します。その際、引き落としされなかった借主に対して、後日請求するかたちです。こちらのサービスを借主へ提供するのは不動産管理会社ですので、当社の営業先は不動産管理会社となっています。

家賃債務保証の社会的貢献

家賃債務保証は、借主・貸主の双方にメリットがあると考えています。スライド左側の借主としては、連帯保証人を探す手間が省けますので、契約がスムーズにできます。また、入居中に事故や入院などで家賃の支払いが困難になった場合でも、当社が立て替えて送金しますので、部屋を確保し続けることができます。

右側の貸主となる不動産管理会社としては、入居審査を当社が行いますので、専門的な入居審査をすることなく、滞納のリスクを下げることができます。また、部屋を貸しやすくなることで、入居率が上がり、家賃収入が安定します。

当社の家賃債務保証事業は、借主の生活を守り、不動産管理会社の収入を確保することで、暮らしのサイクルを循環させる重要な役割だと認識して業務を行っています。

主要事業の家賃債務保証

家賃債務保証の取組みです。スライド左上の与信審査では、複数の外部機関のデータベースを活用し、それをもとに独自の審査基準を的確に運用しています。また、左下のデータ連携と右下のシステム活用を積極的に行い、業務効率化、利便性の向上、コスト削減へとつなげています。

特に「Cloud Insure」は当社独自開発のクラウドシステムですが、これは当社の業務効率を上げるだけでなく、ご利用いただく不動産管理会社の業務効率の向上にもつなげることができます。不動産業界ではDXの流れが進んでいますが、会社によっては、まだ紙の書類が多く存在しています。「Cloud Insure」をご利用いただくことで、顧客・契約情報の管理における業務効率の向上や、ペーパーレスによるコスト削減といった効果が期待できます。

また、右上に記載のとおり、さまざまな企業とタイアップして、単なる家賃債務保証だけでなく、付加価値を加えた多様なプランを取り揃えています。単に保証範囲や保証料を変更するだけでなく、24時間の緊急駆付や近隣トラブルの対応、さらには今後の高齢化を見据え、見守りサービスなどを付帯することで、借主にもメリットがあり、不動産管理会社の業務負担軽減にもつながるような商品を先駆けて設計しています。これにより、不動産管理会社にとってお客さまのニーズに合わせて提案しやすい体制を整えることができます。

そして、当社の営業スタッフが不動産管理会社にヒアリングを行うことで、会社ごとにカスタマイズした商品の提案も行っています。今後も、これらのカテゴリをさらにブラッシュアップさせながら、事業展開の強化を行っていきます。

さらに、家賃債務保証の経験を活かして、高齢者施設に入所する方を対象とした介護費債務保証サービスや、入院患者を対象とした入院費債務保証サービスを新たに展開しています。これらのサービスの売上はまだ小規模ではありますが、今後の新たな収益源につなげていきたいと考えています。

業績サマリー

2024年9月期第2四半期の実績についてご説明します。スライドの表は、当期第2四半期までの業績と前年同期比です。

売上高は前年同期比111.9パーセントの15億5,700万円、営業利益は前年同期比118.3パーセントの2億6,600万円となりました。そして、四半期純利益は、前年同期比122.4パーセントの1億7,200万円で終えることができています。

業績推移

スライドのグラフは、売上高、営業利益、四半期純利益を前期と比較したものです。

売上高については、積極的に新規取引先の開拓を行ってシェア拡大を目指し、営業エリアの拡大を図ってきました。既存取引先に対しては、随時情報を収集して新たな商品設計の提案を行うなど、顧客ニーズへの対応強化を図ってきました。その結果、契約件数や売上の増加につながっています。

利益に関しては、SMS請求やオートコール、AIオペレータによるオートメーション化を図るなどシステムを活用して業務改善や回収効率の向上に取り組みました。その結果、営業利益、四半期純利益ともに増加して、第2四半期を終えることができています。

家賃債務保証料 業績推移(着⾦ベース)

スライドのグラフは、家賃債務保証の売上を表しています。保証料売上には3種類あり、1つ目が保証契約時にお支払いいただく初回保証料、2つ目が1年に1度の更新時にお支払いいただく更新保証料、3つ目がケースとしては多くありませんが毎月お支払いいただく月額保証料です。

初回保証料は新規の取引先契約件数が増加したことにより、第2四半期までの実績は前年同期比102.8パーセントとなりました。更新保証料は契約更新に伴って発生するため、ストック型収入として重要な役割を果たします。こちらも前年同期比114.4パーセントと安定的な収益基盤の形成につながりました。月額保証料も同様に増加傾向で、前年同期比137.7パーセントに伸ばすことができています。

KPIスナップショット

売上を増加させていくためのKPIについてご説明します。第2四半期までの実績としては、初回保証契約件数が1万4,853件、初回保証料契約単価が4万7,300円、求償債権発生率が6.2パーセント、求償債権回収率が98.7パーセントです。

KPI推移 保証契約件数と契約単価/求償債権発⽣率と回収率

各KPIの推移です。スライド左図の折れ線グラフが初回保証料契約単価、棒グラフが初回保証契約件数を表しています。

初回保証契約件数を順調に増加させることができているのは、不動産管理会社の当社に対する信頼が高まった結果だと考えています。引き続き、既存の家賃保証サービスを維持しながら、管理会社が求める項目を保証の付加価値として提供するなど、積極的に営業活動を行って契約件数の増加につなげていきます。

一方、初回保証料契約単価は前年同期比で下がっています。要因としては、事業用の単価が下がったことと、当社が居住用に注力していることによって居住用の割合が増加したことが挙げられます。契約単価は市場に左右されやすいことをあらためて認識しながら、適切な対応・対策が講じられるよう継続的に注視していきます。

右側のグラフは、それぞれ求償債権発⽣率と求償債権回収率を表しています。求償債権発生率が微増している要因は、支払委託型の増加に比例して口座登録の不備などが多くなったためです。支払いができないケースではなく、即時回収することができています。

償債権回収率に関しては、契約件数が順調に増加しながらも大きく変化することなく高水準で維持できています。これはAIオペレータやロボットコールなどのシステム活用を効率的に行っているためだと考えています。これらのシステム活用の範囲を広げるなどして、今後も引き続き高水準を維持できるように努めていきます。

なお、第1四半期で触れた訴訟件数の増加については、法的手段を用いて長期案件の早期着手を図った結果、改善傾向となっています。

業績予想の修正及び配当予想の修正

業績予想の修正及び配当予想の修正についてです。積極的な新規開拓と既存顧客への情報提供、提案強化によって契約申込件数が増加しました。また、SMS請求やオートコール、AIオペレータなどのシステムを活用することで、回収効率の向上にも取り組んできました。

その結果、今回、業績予想を上方修正しました。修正予想については、第2四半期までの実績に当初とほぼ同じ下期の予想値を加えたかたちになっていますので、保守的に組んでいるものと考えています。

2024年9月期の配当については、業績拡大のための投資を見据えるとともに継続的な配当を行うため、年1回の期末配当として配当性向10パーセント以上を目標としています。今回の業績予想の修正に伴い、前回予想に比べ1円増配となる1株当たり9円に修正を行いました。

主要戦略

当社の成長戦略についてご説明します。大きく3点掲げています。1つ目は、事業展開としてエリア展開と新しい商品開発です。2つ目は、システム開発によるコストリーダーシップの実現です。3つ目は、人材育成による接客技術の継続的向上です。

主要都市を中⼼とした事業展開

1つ目の事業展開についてです。今後も、主要都市に出店していきたいと考えています。理由としては、人口が多いことと、賃料相場が高く売上単価が上がる点が挙げられます。また、開設した支店から近隣の県もカバーする体制を取っており、引き続きこちらを維持していきます。

当社は、取引先である不動産管理会社から生まれた保証会社です。そのため、管理会社へさまざまな角度から提案ができる強みがあります。私自身も、前職では不動産管理会社に勤めていました。

管理会社は、各社によってそれぞれ課題が違います。例えば、「入居率を上げていきたい」「仲介手数料が伸び悩んできたため、他の収益源を確保したい」「管理スタッフが大変なため、業務効率を図りたい」など、いろいろな課題があります。

そこで、当社の営業スタッフが細かくヒアリングを行い、課題解決に向けたカスタマイズ商品の提案を行っています。これまでも、カスタマイズ提案で新規取引先を獲得してきました。そちらに注力するためにも、「Cloud Insure」の利便性をさらに強めて、管理会社とのつながりを作っていきます。

さらに、不動産管理会社から生まれた保証会社ですので、不動産管理会社とのコネクションも強みだと捉えています。これまでも、地場の大手管理会社とのつながりをきっかけとして支店を開設してきました。

当社は、家賃債務保証では後発で小規模ながらも、これまでも先発の競合他社からシェアを獲得してきました。これからも、既存支店でのシェア拡大や出店に伴うエリア拡大を行い、当社商品を広げていきたいと考えています。

名古屋⽀店開設

今年3月に、名古屋支店を開設しました。これまで東海エリアは大阪支店が管轄していましたが、東海地区からの問い合わせも増加してきたため、営業活動の一層の強化及びエリア拡大を図るべく、新たに開設しました。これからも顧客の満足度向上を図るとともに、当エリアのパートナー企業との連携を深めて、事業展開を加速し、さらなる成長を目指していきます。

システム開発によるコストリーダーシップの実現

2つ目のコストリーダーシップについてです。当社は、契約の増加に比例して従業員の人数や機材を補充するのではなく、デジタル化を促進することで処理能力を向上させ、コスト削減につながるようにしています。

スライドに記載しているとおり、管理会社に対しての処理では、RPAやOCR、クラウドシステムなどを導入し、内部処理の向上に努めています。外部連絡では、オートコールやロボットコール、AIオペレータなどを導入して、業務効率と回収力の向上を図っています。

今後もこのようなシステム開発に積極的に投資を行い、処理能力を上げて、業務負担の軽減だけではなく、サービスの向上にもつなげていきたいと考えています。

構築された営業⼿法を継続かつ更新

3つ目の接客技術の継続的向上についてです。当社は形があるものを製造・販売しているのではなく、形がないものを販売しています。滞納が起こった場合に利用するサービスですので、商品内容はもちろん、会社や従業員の信用力も重要だと以前から考えています。

そのため、お客さまとのつながりを深めることを目的として、定期的に傾聴力・質問力などを高める外部講師による研修を数ヶ月かけて行っています。このように取引先の不動産管理会社の課題解決に向けた提案ができるよう人材育成を行いながら、密着型・提案型の営業活動を引き続き行い、新規獲得のみならず、継続利用による既存深耕にもつなげていきます。

今後の重点的取組み

今後の重点的取組みです。攻めの営業領域では、商品設計や既存商品のブラッシュアップ、介護・医療業界へのサービス提供などを行いながら、売上の向上につなげていきます。守りの債権管理領域では、これまで以上のシステム活用や業務の平準化などにより回収効率の向上、収益確保につなげていきます。

システム領域では、電子契約など新機能導入やAIを用いたデータ分析などで、業務処理の向上や業務負担の軽減だけではなく、サービスの向上にもつなげていきます。これらの計画を実現させ、お客さま満足度の向上とさらなる成長の実現を目指していきます。

事業とSDGsとのつながり

サステナビリティについてです。事業を通じて、SDGsの社会、ガバナンス、平等に貢献できるよう努めています。

私たちの理念

最後に、当社の決意をお伝えします。社会の課題として、少子高齢化や人口減少、コロナ禍などによる社会情勢の影響がありますが、その中にある賃貸業界の課題として、連帯保証人の確保や住宅確保要配慮者への対応、空き部屋問題があります。当社は、事業を通じてこれらの課題を解決し、経営理念にも掲げているように、人と地域社会の進歩発展に貢献していきます。

以上でご説明を終わります。今後とも、より一層のご支援のほどよろしくお願いします。

配信元: ログミーファイナンス

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