東京インキ、売上高および営業利益は前年比増収増益 今期配当は新配当方針に基づき前年比+20円の増配を予定

投稿:2024/05/31 10:00

2024年3月期決算説明会

堀川聡氏:みなさま、こんにちは。東京インキ株式会社代表取締役社長の堀川です。本日はご多忙の中、当社のオンライン決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。ただ今から、2024年3月期の決算状況および今後の見通しについて、ご説明申し上げます。

また、さらなる株主価値向上への取り組みとして「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」において、一層の資本収益性向上に向けた計画を策定いたしました。本決算説明会とは別に説明会を実施しておりますので、是非、動画をご覧になっていただきますようお願いいたします。

本日の内容

こちらが本日ご報告する内容となります。

1. 長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」策定について

当社グループは2023年12月に創立100周年を迎えたタイミングで、2030年の目指す姿である長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」を策定いたしました。

「東京インキグループのパーパス(存在意義)」を「『伝える』『彩る』『守る』ことで、豊かな未来を実現する」とし、サステナビリティの観点を踏まえて、長期ビジョンの実現を目指してまいります。

長期ビジョンについては2023年12月11日に公表し、当社ホームページにて公開しておりますので是非ご覧ください。

2. 24年3月期 連結業績ハイライト

ここからは、当社の連結業績ハイライトについてご報告いたします。

2024年3月期の業績ハイライトですが、販売価格改定による販売金額の増加や、前年度に比べ原材料価格高騰が落ち着いたことなどにより、売上高は439億2,200万円で前年度に比べ増収、営業利益も7億6,800万円で増益となりました。

一方、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に計上した出資分配益によるプラス要因がなくなったこと、また、減損損失もなくなり、減益となりました。

2. 24年3月期 連結業績ハイライト

ここからは、売上高の前年度からの主な増減要因についてご説明いたします。

前年度に比べ、物価高に伴う消費マインドの冷え込みや、脱プラスチックの加速など環境対応の影響により、インキ、化成品事業の販売数量は減少となりましたが、原材料価格およびエネルギーコスト上昇に対応した販売価格改定が進捗し、特に、インキ事業のオフセットインキが大きく寄与したことにより、販売価格は増加いたしました。

結果として、前年度に比べ約5億円の増収となりました。

2. 24年3月期 連結業績ハイライト

続きまして、営業利益の前年度からの主な増減要因についてご説明いたします。

物価高に伴う消費マインド低下や、脱プラスチックの加速などにより販売数量が減少、また、変動費などの増加があったものの、原材料価格高騰に対応した販売価格改定が進捗したことにより、交易条件が改善したことや、円安影響によるタイや、上海などの海外連結子会社の業績が好調であったことにより、前年度と比べ、約7億9,000万円の増益となりました。

2. 24年3月期 連結業績ハイライト

経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、円安の影響による為替差益や、政策保有株式の売却による増益効果、前年度に計上した減損損失がなくなったことによるプラス要因がありましたが、米国連結子会社の出資分配益の計上がなくなったことにより、経常利益は約37億9,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は約7億6,000万円の減益となりました。

2. 24年3月期 連結業績ハイライト

また、2023年12月に連結子会社である荒川塗料工業株式会社にて火災事故が発生いたしました。この火災により、近隣のみなさまをはじめ、株主・投資家のみなさま、関係者のみなさまにご迷惑、ご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。

火災事故発生を受け、当社において設置した「荒川塗料工業株式会社火災事故調査委員会」により、事故発生原因の究明および再発防止策について、事故調査報告書として受領いたしました。

詳細は、2024年4月26日に開示しております「当社連結子会社荒川塗料工業株式会社の火災に関するお知らせ(第5報)」に記載しておりますので、そちらをご覧ください。

今回の火災事故を受け、当社グループでは今後このような事故を起こさないよう、提言された再発防止策を徹底し、安全文化の醸成に向けて、当社グループ全体で安全に対する意識の向上に取り組んでまいります。

なお、2024年3月期の連結決算において9,900万円を火災による特別損失として計上しております。

3. 24年3月期 通期連結業績予想と実績との差異(23年5月15日公表値比)

ここからは、連結業績予想と実績との差異についてご説明いたします。

2024年4月26日に業績予想の修正を公表しておりますが、2023年5月15日公表の当初業績予想と比較しますと、売上高は約34億7,000万円、営業利益は約2億3,000万円の減少となりました。

売上高は、各事業において販売価格改定が一定程度進捗したものの、当初想定より届かず、物価高に伴う消費マインドの低下や、第4四半期における国内自動車生産台数減少の影響などによる化成品事業の販売数量減少の影響が大きく、当初業績予想を下回る結果となりました。

営業利益についても、インキ事業のオフセットインキの販売価格改定や、グラビアインキにおける機能性インキ、加工品事業の土木資材における防災・減災用途製品が伸長したものの、各事業における減収要因が大きく、当初業績予想を下回る結果となりました。

4. 24年3月期 セグメント別業績サマリー

ここからは、セグメントの概況についてご説明いたします。

4. 24年3月期 インキ事業

インキ事業について、オフセットインキは、商業印刷市場の需要回復、製品販売価格改定、前期末に実施した固定資産減損処理などにより、利益が改善いたしました。

グラビアインキは、製品販売価格改定、環境配慮製品や、機能性インキが伸長したものの、物価高に伴う消費意欲低下の影響などにより、売上高・利益ともに減少いたしました。

インクジェットインクは、自社製品が低調であったものの、欧米向け受託製品の需要が徐々に回復してきた結果、前年度に比べ売上高・利益ともに増加いたしました。

結果として、インキ事業の売上高は145億2,900万円、セグメント利益は2億8,800万円で、損失を計上した前年度に比べ、大幅な増益になりました。

今後のインキ事業につきましては、さらなる事業構造改革を進め、持続可能な社会の実現に貢献できる製品である、サステナブル製品の開発および販売活動を強化し、事業全体を通じて収益力向上に向けて製品ポートフォリオの再構築を進めてまいります。

4. 24年3月期 化成品事業

化成品事業については、マスターバッチ・樹脂コンパウンドにおいて、自動車用途は、第4四半期に国内自動車生産台数が一時的に減少した影響を受けましたが、通年では国内自動車生産台数の増加に伴い需要が回復したことで、売上高は増加いたしました。

一方、包装材・容器用途は、物価高に伴う消費意欲低下や環境対応の影響などによりプラスチック製消耗材の需要が低下したため、売上高は減少いたしました。

結果として、化成品事業の売上高は213億5,000万円、セグメント利益は1億9,000万円で、前年度に比べ、減益となりました。

今後の化成品事業につきましては、自動車用途は今後も需要が堅調に推移すると見込んでおります。包装材・容器用途は環境対応の加速化により、中長期的には市場縮小の継続が考えられますが、サステナブル対応製品への転換などにより、市場ニーズに対応してまいります。

4. 24年3月期 加工品事業

加工品事業については、土木資材の防災・減災用途であるジオセル工法の採用が引き続き増加し、売上高・利益ともに大幅に増加いたしました。

一方、ネトロンは水処理資材の輸出需要が一服したことに加え、製品販売価格改定の進捗が不十分であったため、売上高・利益ともに減少いたしました。

また、一部の一軸延伸フィルム製品や農業資材の汎用製品需要が低調であったことも影響し、加工品事業の売上高は79億5,300万円、セグメント利益は5億1,600万円で、前年度に比べ減益となりました。

今後の加工品事業につきまして、土木資材の防災・減災用途、ネトロン工材水処理用途については、好調に推移すると見込んでおりますので、生産能力、製品開発および販売活動を強化してまいります。

※ネトロンは三井化学株式会社の登録商標です。

4. 24年3月期 不動産賃貸事業

不動産賃貸事業の売上高は8,800万円で、セグメント利益は5,500万円となりました。賃貸戸建て住宅および本社ビル賃貸オフィスの稼働状況は引き続き堅調でありました。

5. 24年3月期 その他連結決算情報

ここからは、貸借対照表の状況についてご説明いたします。

2024年3月末の総資産は524億6,600万円となり、前期末に比べ約46億6,000万円増加いたしました。手許流動性確保継続や、円安による外貨預金評価の影響による現預金の増加や、月末休日による売掛債権、仕入債務の増加など、資産・負債の増加が主な要因です。

5. 24年3月期 その他連結決算情報

キャッシュ・フローの状況について、営業キャッシュ・フローは、販売価格改定などの交易条件改善に伴う営業利益が確保できたことにより大幅なプラスとなりましたが、前年度の米国連結子会社の出資分配金による収入が、当年度になかったことで、フリー・キャッシュ・フローは約8億6,000万円減少いたしました。

6. 株主還元

ここからは株主還元についてご説明いたします。

当社は、株主価値を中長期的に高めるために、持続的な成長が必要と考え、「資本効率の向上」「強固な財務基盤の確保」「株主還元」の3つのバランスを取ることを資本政策の基本としており、安定的かつ継続的な配当実施を基本方針として連結業績に応じた利益配分を踏まえ、持続的な株主価値の向上に努めてまいります。

また、中期経営計画「TOKYOink 2024」における配当方針として、配当性向30パーセント以上を目標としております。

剰余金の配当につきましては、中間および期末の年間2回の配当を実施する予定としており、2024年3月期の中間配当金として、普通配当金40円の配当を行いました。

期末配当金につきましては、普通配当金40円、創立100周年記念配当金20円、1株当たり計60円を、第152期定時株主総会にて決議予定でございます。

なお、冒頭でもご案内申し上げました、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」において策定いたしました、配当性向40パーセント、またはDOE1.0パーセント以上とする新たな配当方針に基づき、次期2025年3月期の配当につきましては、普通配当金1株当たり120円と、前年に比べ20円の増配を予定しております。

7. 次期業績予想

中期経営計画「TOKYOink 2024」において、最終年度である、次期2025年3月期の営業利益目標は20億円に設定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行で人々の生活様式が変化し、消耗材の需要が低迷したことで、当社グループの主要市場である包装資材の業績が悪化したなど、計画策定当初に比べ、当社グループを取り巻く環境は想定以上に変化していることに加え、設備の修繕費やシステム関連費用などの増加が見込まれることなどから、目標達成は難しい状況となっております。

現状を分析し、計画を見直した結果、次期業績予想は、売上高460億円、営業利益12億円、経常利益10億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は7億5,000万円を見込んでおります。

7. 次期業績予想

先ほど、ご説明いたしました次期業績予想数値の内訳についてご説明いたします。

売上高について、インキ事業151億円、化成品事業224億円、加工品事業84億円、不動産賃貸事業1億円を見込んでおり、全社で460億円の計画としております。

営業利益について、12億円のうち、インキ事業4億3,000万円、化成品事業5億1,000万円、加工品事業5億3,000万円、不動産賃貸事業5,000万円で、セグメント合計では15億2,000万円を見込んでおり、事業に紐づいていない全社費用3億2,000万円と合わせ、全社で12億円の計画としております。

7. 次期業績予想

続きまして、セグメント別の次期業績予想についてご説明いたします。

インキ事業について、原材料価格上昇等に対応した製品販売価格改定実施、サステナブル製品の開発・拡販、株式会社T&K TOKAグラビア事業承継対応などに取り組むことで、増収増益を見込んでおります。

化成品事業について、原材料価格上昇等に対応した製品販売価格改定実施、一部の受託製品における採算是正、サステナブル製品の開発・拡販などに取り組むことで、増収増益を見込んでおります。

7. 次期業績予想

加工品事業について、水処理用資材や土木資材は、生産能力増強やサステナブル製品開発・拡販、​包装資材や農業資材は、サステナブル製品の開発・拡販​などに取り組むことで、増収増益を見込んでおります。

不動産賃貸事業は堅調な業績を見込んでおります。

お問合せ先

以上で2024年3月期決算説明会を終了させていただきます。こちらに、お問合せ先を記載しておりますので、ご質問やご意見がございましたら、ご連絡いただきますようお願いいたします。

本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。今後とも長期ビジョン達成に向けて、さまざまな取り組みを実施してまいりますので、当社グループの今後にご期待くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

配信元: ログミーファイナンス

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