ドル円は一時157円台を回復 強い米PMIで米利下げ期待後退への警戒感=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/05/24 05:50
ドル円は一時157円台を回復 強い米PMIで米利下げ期待後退への警戒感=NY為替概況

 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は一時157円台を回復した。この日発表の5月調査の米PMIが予想外に強い内容となったことでドル高の反応が見られた。米国債利回りも上昇し、ドル円は売りオーダーも観測されていた157円台を一時回復。終盤には米株式市場が大幅安となったことで156円台に戻す展開となった。

 米PMIは5月上旬の米企業活動が過去2年間で最も速いペースで加速したことが示唆され、仕入価格も9月以来の2番目の高水準に上昇し、販売価格指数も上昇していた。インフレの粘着性を示唆する内容でもあり、FRBが高金利を長期化させる理由を与える。

 前日のFOMC議事録で市場にタカ派な雰囲気が広がる中、予想を上回る米PMIに敏感に反応したようだ。今後も米インフレが期待ほど鈍化せず、年内のFRBの利下げ期待が更に後退するのではとの警戒感が徐々に広がっている可能性もありそうだ。短期金融市場では、年内2回の利下げから徐々に1回の可能性にシフトし出している。

 ユーロドルは伸び悩む展開。序盤は1.0860ドル付近まで買い戻されていたが、1.08ドル台前半に値を落とした。下押しの動きまでは見られていないものの、本日1.0815ドル付近に来ている100日線に顔合わせしている。

 本日は5月調査分のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、企業の経済活動は1年ぶりの高水準に達し、域内の景気回復が本格化しつつあることが示された。エコノミストは「ユーロ圏経済は一段と力強さを増している。新規受注が健全に伸びており、企業の信頼感も着実な雇用ペースに反映されている」と述べていた。

 ECBの6月利下げは確実視されているものの、その後については見方が分かれている。短期金融市場では年末までに2回の利下げを完全に織り込み、3回目については40%程度の可能性で見ている状況。今後さらに強いデータが示されるようであれば、期待は後退する可能性もありそうだ。

 ポンドドルは1.27ドル割れ。前日の英消費者物価指数(CPI)が、サービスを中心に予想以上にインフレの粘着性を示したことから、英中銀の6月利下げの期待に黄色信号が点灯している。

 そのような中、前日にスナク英首相が総選挙を想定よりもかなり早い7月4日に実施すると表明したことで、英中銀が来月の政策委員会(MPC)で金利を据え置く理由がさらに増えたとの見方が出ている。英中銀は政府から独立した存在だが、利下げ決定が政治的に利用されることは避けたいはずだという。総選挙後の8月開始の理由に十分なるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)