アルフレッサHD、2024年3月期の営業利益が前期比+27.6%で通期予想達成 全事業セグメントで増収増益
はじめに
荒川隆治氏(以下、荒川):みなさま、こんにちは。アルフレッサ ホールディングス株式会社の荒川隆治です。平素より格別のご支援とご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
各地で災害が頻発する中、本年1月には「令和6年能登半島地震」が発生いたしました。被災されたみなさまに謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地の1日も早い復旧ならびに復興を心よりお祈り申し上げます。
さて、弊社は、5月14日に2024年3月期の決算発表を行いました。本日は、より多くの方にご視聴いただくため、Webライブ配信の形式で決算説明会を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。
では、まず初めに、副社長の岸田から2024年3月期について、次に私から主な取り組みと業績予想についてご説明いたします。その後、Web経由でみなさまからいただいたご質問にお答えいたします。それでは、岸田副社長、よろしくお願いします。
連結損益計算書
岸田誠一氏:こんにちは。アルフレッサ ホールディングスの岸田です。まず、2024年3月期の連結損益からご説明いたします。
売上高は前年比6パーセント増収の2兆8,585億円、売上総利益は7.4パーセント増加し2,063億円、売上比は7.22パーセントで前年より0.1ポイント改善しました。販管費は3.7パーセント増加し1,679億円、売上比は5.87パーセントで前年から0.14ポイント低下しました。
その結果、営業利益は27.6パーセント増益の384億円、売上比は0.23ポイント上昇し1.35パーセントとなりました。経常利益は21.8パーセント増加の399億円、当期純利益は14.6パーセント増加の295億円となりました。
物価上昇や人件費増加の影響等により販管費は増加しましたが、4つの事業セグメントとも、増収増益となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益56億円を計上しました。
昨年10月31日の修正予想に対する達成率は、一番右の列に記載のとおり、売上高は99.9パーセント、営業利益106.8パーセント、当期純利益118.7パーセントの達成となりました。
ROEは6.1パーセント、配当につきましては、配当方針DOE2.4パーセントに基づく普通配当60円と、設立20周年記念配当の10円を上乗せし年間配当70円といたしました。
連結貸借対照表
次に、貸借対照表についてご説明いたします。2023年3月末と比較して、中ほどの資産合計は、1,077億円増加し、1兆4,476億円です。
主な増加要因は、資産の部では、流動資産が867億円、固定資産が210億円増加しています。流動資産では、期末休日に伴う、支払債務決済の一部繰延影響などで現預金が536億円増加、売上増加に伴い、売上債権が224億円増加しました。
一方、負債の部では、仕入債務が749億円の増加です。また純資産は、自己株式の取得などにより84億円減少し4,798億円、自己資本比率は33.1パーセント、3.3ポイント低下しました。
連結キャッシュ・フロー
続いて、キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローは、利益の増加、運転資本差の増加により863億円の増加でした。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資と政策保有株式売却の差引で142億円の減少、フリーキャッシュフローは、721億円の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金100億円、社債の発行200億円の資金調達による増加の一方で、自己株式の取得で357億円、配当金の支払122億円による減少などで、差引き196億円の減少となりました。この結果、キャッシュは525億円の増加、期末残高は2,123億円となりました。
医療用医薬品等卸売事業
ここからはセグメント別の営業損益をご説明いたします。まず、医療用医薬品等卸売事業の業績です。売上高は前年比6パーセント増収の2兆5,399億円、売上総利益は7.4パーセント増加の1,513億円、売上比は5.96パーセント、前年から0.08ポイント改善しました。
販管費は3.8パーセント増加し1,182億円でしたが、売上比は4.66パーセント、前年から0.1ポイント低下し、その結果、営業利益は22.7パーセント増益の330億円、売上比は1.3パーセント、前年から0.17ポイント上昇しました。
中間年改定によるマイナス影響はあったものの、市場が大幅に伸びたことに加え、 一部製薬企業の流通体制変更の影響や売上総利益率の改善などにより、増収増益となりました。
カテゴリー別売上構成比
カテゴリー別の売上構成比は、ご覧のとおりで、新薬創出加算品と特許品その他を合わせると構成比が76.8パーセントとなり、前年に引き続き取扱いが増加し、弊社グループ内での構成比は3.5ポイント上がっています。
長期収載品は11.3パーセント、後発医薬品は11.9パーセントの売上構成比で前年よりさらに低下しています。
セルフメディケーション卸売事業
次に、セルフメディケーション卸売事業です。売上高は前年比6.6パーセント増収の2,628億円、売上総利益は7.8パーセント増加の267億円、売上比は10.17パーセント、前年より0.12ポイントさらに改善しています。
販管費は6.1パーセント増加の240億円、売上比は9.15パーセントです。前年から0.05ポイント低下し、その結果、営業利益は27.1パーセント増益の26億円となりました。売上比は1.02パーセントと1パーセント台を達成、前年より0.16ポイントアップしました。
新型コロナウイルス感染症の5類移行後の人流回復に加えて、インバウンド需要増に伴う市場回復の影響などから増収増益となりました。
医薬品等製造事業
次に、医薬品等製造事業です。売上高は前年比7.5パーセント増収の527億円、売上総利益は14.1パーセント増加の143億円でした。売上比は27.2パーセントで、前年より1.6ポイント改善しています。
販管費は2.5パーセント増加の124億円で、売上比は23.6パーセント、前年から1.1ポイント低下し、その結果、営業利益は大幅増益の18億円となりました。
ALS治療薬開発に係る契約一時金の支払いなどの経費増加の一方で、受託製造および原薬製造の売上伸長に加え、診断薬の増収の影響により、増収大幅増益となりました。
医療関連事業(調剤薬局事業)
最後は、医療関連事業、調剤薬局事業です。売上高は前年比1.2パーセント増収の366億円、売上総利益は0.5パーセント増加の137億円、売上比は37.6パーセント、前年より0.2ポイント低下しています。
販管費は、2.4パーセント減の130億円、売上比は、35.6パーセント、前年から1.3ポイント低下し、その結果、営業利益は大幅増益の7億円となりました。新型コロナウイルス感染症治療薬などのプラス影響、および経費の抑制により増収増益となりました。
以上が2024年3月期決算の概要です。 私からの説明は以上でございます。
企業価値向上に向けた重点施策
荒川:引き続きまして、荒川より、22-24中期経営計画ならびにアルフレッサグループ中長期ビジョンの取り組み状況をご説明いたします。
こちらは、「アルフレッサグループ中長期ビジョン」で発表した企業価値向上に向けた考え方です。PBR1倍超を目指し、ROE向上に向けた事業戦略、財務・資本戦略、およびESG戦略がございます。
事業戦略につきましては、基盤事業の強化、および成長事業の育成、新規事業の開発を掲げています。財務・資本戦略につきましては、財務基盤の安定性、資本収益性の向上、株主還元の充実を掲げています。そして、ESG戦略につきましては、環境は「CO2排出量削減」、社会は「人的資本への積極的投資・地域社会への貢献」、ガバナンスは「コンプライアンスの徹底やコーポレートガバナンスの強化」を掲げています。
【事業戦略】事業ポートフォリオ拡大・変革のイメージ(売上高)
こちらは、中長期ビジョンで示した事業ポートフォリオの拡大・変革のイメージです。価値創造を目指してトータルサプライチェーンサービスの強化と拡大を推進し、事業ポートフォリオを拡大させ、変革させていきます。
本日は、2023年度に取り組みました事例について、いくつかを次ページ以降でご説明いたします。
地域医療への貢献:グループ全体での最適化・効率化・標準化
まずは基盤事業である医療用医薬品等卸売事業の物流の取り組みです。グループ全体での最適化・効率化・標準化に向け、アルフレッサ株式会社が茨城県に「つくば物流センター」を、ティーエスアルフレッサ株式会社が山口県に「山口宇部センター」を建設し、5月に稼働を開始しました。
これらの物流センターは厳格な温度管理等が求められるGDPガイドラインに準拠した管理体制を構築し、対面検品を不要とする「パッケージ納品」による医薬品配送に対応しています。また、災害時における事業継続や環境へも配慮した持続可能な物流センターとなっています。
両物流センターは、高度な物流機能を持ち、災害に強い物流拠点として、医薬品の安定供給を通じて地域医療に貢献してまいります。
医薬品等製造受託:群馬工場における新たな医薬品製造棟を建設
次に、成長事業の1つに位置付けている医薬品等製造受託についてです。アルフレッサ ファーマ株式会社の製造拠点の1つである群馬工場に新たな医薬品製造棟を建設します。低分子医薬品の製造能力の増強や、新たに高薬理活性製剤の受託製造、および無菌製剤の検査・包装・試験受託への本格参入を目指します。
これにより、トータルサプライチェーンサービスにおける開発から製造までの機能の強化と拡大を図ります。なお、先述のつくば物流センターおよび群馬工場の建設・運営は、ソーシャルボンド発行時のフレームワークで定めた新規投資の対象となる適格プロジェクトです。
再生医療におけるTSCS (トータルサプライチェーンサービス)の拡大
次に、新規事業として進めている再生医療におけるトータルサプライチェーンサービスの拡大についてです。再生医療関連事業を行うセルリソーシズ株式会社は、高効率で高品質な再生医療等製品の受託製造サービスを提供する体制の構築、ならびに遺伝子ベクターを活用した再生医療等製品の開発から治験薬および最終的な商用製品の製造までを包括的なサービスとしてお客さまへ提供する体制の構築を進めています。
保管・輸送につきましては、アルフレッサグループでは2ヶ所の再生医療流通ステーションと9ヶ所の再生医療等製品保管庫を設置し、流通を受託できる環境を整えるとともに、輸配送のノウハウ向上も継続して図っております。
これらの取り組みにより、国内セルソースの調達から医療機関納入までの一括運用を目指し、グローバルプレイヤーとの協力関係を構築し、再生医療産業の育成に貢献してまいります。
デジタルツールを活用した「つなぐ活動」でサステナブルな社会へ
次に、ヘルステック・データビジネスへの取り組みについてです。
予約から問診、診療、決済、医薬品の配送手続きまでをオンラインで完結させ、患者さまの個人宅へ医薬品をお届けする仕組みや、医療機関の経営効率化や医療従事者の働き方改革、また、医師同士をつなぐコミュニケーションツール、および製薬企業のMRさまへ貢献する仕組みなど、デジタルツールを活用して、医療における課題解決を図っています。
この取り組みを加速させ、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
中長期ビジョンの事業への取り組み
こちらは中長期ビジョンの基盤事業、成長事業、および新規事業の取り組み状況です。2032年度までの中長期ビジョンの目標達成に向けて、順次取り組みを進めてまいります。
22-24中計と中長期ビジョンにおける総投資額
次に22-24中計と中長期ビジョンにおける投資についてです。22-24中計期間中における投資は、3ヶ年合計1,200億円を計画しておりますが、現時点では1,050億円を見込んでいます。
中長期ビジョン期間中におけるその後の8年間では、さらなる成長へ向けて、総額3,200億円の投資目標を掲げております。
【財務・資本戦略】株主還元の強化(配当金・自己株式取得)
次に財務・資本戦略としての、株主還元の強化についてです。22-24中計期間中の配当方針はDOE2.4パーセント以上、3年間の累計総還元性向は100パーセントを計画しています。
一株当たり普通配当金につきましては、設立以来、連続増配を続けています。今後も、持続的・安定的な配当水準の向上を目指してまいります。
また、自己株式取得については、2023年度は過去最大350億円の自己株式の取得を実施しました。今後も、最適資本構成を見据えて機動的に自己株式取得を行ってまいります。
22-24中計におけるキャピタル・アロケーション
続きまして、キャピタル・アロケーションの考え方についてです。投資と株主還元の財源は、①営業キャッシュフロー、②政策保有株式等の資産売却、③負債活用の優先順位で考えています。
それらを原資に、設備投資、システム投資や成長へ向けたM&A・新事業領域投資を遂行するとともに、株主還元をおこなってまいります。
【ESG戦略】ダイバーシティ推進に向けた取り組み
次に、ESG戦略としての、ダイバーシティ推進に向けた取り組みについてです。「アルフレッサグループ ダイバーシティ方針」に基づき、個人の能力を最大限発揮できる環境を整え、多様な人財がいきいきと働く職場環境作りを進めています。
2023年度は、アルフレッサ株式会社とエーエル プラス株式会社が「えるぼし認定」を取得しました。また、「健康経営優良法人2024」の認定をアルフレッサグループ13社が取得いたしました。加えて、株式会社琉薬が、「もにす認定制度」の認定企業となりました。
地域に根差した事業活動を通じて地域医療に貢献
続きまして、地域の健康・医療への貢献についてです。アルフレッサグループは、地域に根差した事業活動を通じて地域医療に貢献しています。
アルフレッサ株式会社は静岡県藤枝市さまと「災害支援コンテナファーマシーの運用等に関する協定」を締結しました。同市内において災害が発生した際、アルフレッサの静岡物流センターに保管しているコンテナファーマシーを救護所等に派遣・設置し、災害時における医療提供活動を支援します。
また、ティーエスアルフレッサ株式会社は、日本ドローン機構さまと「ひろしまドローン活用推進協議会」を設立しました。ドローンを活用した医薬品等配送の実装に向けた準備を進めています。以上が、2023年度における主な取り組み状況です。
連結業績予想
続きまして、2025年3月期業績予想です。まずは、2025年3月期の連結業績予想です。売上高は3.7パーセントの増収予想です。
売上総利益率は売上比7.22パーセントを維持する予定としていますが、人件費のアップや物流コストの上昇、減価償却費などのアップにより販管費は上昇し、営業減益となります。なお、営業外費用の減少により、経常利益段階では横ばい計画としています。
(22-24中計)営業損益累計
ご覧のページは、22-24中計における営業損益累計をお示ししています。3年間累計では、売上高、利益額ともに当初目標を上回る見通しです。以下、セグメントごとの予想です。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業の2025年3月期予想は、売上高は前年比104.1パーセントの2兆6,430億円、売上総利益は105.0パーセントの1,589億円で売上比6.01パーセントです。
販管費は106.7パーセントの1,262億円、営業利益は、98.8パーセントの327億円で売上比1.24パーセントです。
市場伸長0.9パーセント(クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社予測)に加え、新型コロナウイルス感染症治療薬の需要減の影響が限定的であること等により増収の計画です。
一方、物流センター投資による減価償却費や人件費等の販管費増加の影響で営業減益を見込みます。
セルフメディケーション卸売事業
次に、セルフメディケーション卸売事業です。2025年3月期予想は、売上高は前年比100.8パーセントの2,650億円、営業利益は100.6パーセントの27億円で売上比1.02パーセントです。
既存領域の高収益化とともにセルフプリベンション商品と専売メーカーの販売拡充等に注力し、引き続き利益とコストの管理を徹底することにより、増収増益を見込んでいます。
医薬品等製造事業
次に、医薬品等製造事業です。2025年3月期予想は、売上高は前年比102.6パーセントの541億円、営業利益は79.2パーセントの15億円、売上比は2.77パーセントになります。
原薬製造および受託製造の増加等による増収を計画していますが、承継品の内製化に係る試験費用などの一時的な販管費等の増加により、減益を見込みます。
医療関連事業(調剤薬局事業)
最後のセグメントは、医療関連事業です。調剤薬局事業になります。2025年3月期予想は、売上高が前年比97.7パーセントの358億円、営業利益は前年比105.2パーセントの7億5,000万円、売上比は2.09パーセントになります。
薬価改定および店舗数減少による減収影響はあるものの、販管費の抑制努力により増益を見込みます。
以上をもちまして、当社からの決算説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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