今週のポイント
豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは、CPIなど米国の経済指標に大きく影響を受けそうです。米経済指標の結果を受けてFRBの利下げ観測が後退する場合、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルには下落圧力が、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わると考えられます。
豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は、米ドル/円の動向にも影響を受けます。米ドル/円が上昇を続ける場合、本邦当局の対応(米ドル売り・円買いの介入の有無)に注目です。
BOM(メキシコ中銀)は9日の会合で政策金利を11.00%に据え置きました。BOMはインフレ率見通しを修正し、メキシコのCPI(消費者物価指数)上昇率が目標の3%に近づく時期の見通しを3月時点の「25年4-6月期」から「25年10-12月期」へと2四半期後ズレさせました。BOMの追加利下げの時期も後ズレする可能性があり、そのことはメキシコペソにとってプラスと考えられます。
メキシコペソ/円については、他のクロス円と同様に米ドル/円が大きく下落するような状況にならなければ、上値を試す展開が想定されます。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08500NZドル~1.10500NZドル>
7日のRBA(豪中銀)会合の結果を受けて豪ドル/NZドルは軟化しました。RBAの声明やブロック総裁の会見によってRBAの利上げ観測が後退したためです(豪ドルにとってマイナス)。
声明では、金融政策の先行きについて「何も決定しておらず、何も排除していない」と改めて表明されました。豪州の1-3月期のCPI(消費者物価指数)が市場予想を上回る結果だったことで市場ではRBAは利上げバイアスを復活させるとの観測がありましたが、前回3月の会合の時と同じでした。ブロック総裁は会合後の会見で、「インフレ率を目標に戻すうえで、(現在の政策)金利は適切な水準だ」と指摘。「必ずしも再び引き締め(追加利上げ)が必要になるとは考えていない」と述べました。
今週は、豪州の賃金コスト指数(1-3月期分。15日)や雇用統計(4月分。16日)が発表されます。それらが弱い結果になれば、RBAの利上げ観測は一段と後退する可能性があります。その場合、豪ドル/NZドルは一段と上値が重くなりそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.38500カナダドル>
今週はカナダの3月卸売売上高や4月住宅着工件数などが発表されますが、材料としては力不足の感があります。米ドル/カナダドルは、米国の4月CPIなどの米ドルサイドの材料に反応しやすい地合いになりそうです。CPIなどの結果を受けてFRBの利下げ観測が後退する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりやすくなると考えられます。
原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は8日、一時1バレル=76.89ドルへと下落。中心限月のザラ場ベースとしては、3月11日以来およそ2カ月ぶりの安値をつけました。原油価格が下落を続ける場合、材料になるかもしれません。原油安はカナダドルにとってマイナス(米ドル/カナダドルの上昇要因)になると考えられます。
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