サイオス Research Memo(1):2024年12月期以降、SaaS・サブスクと新規事業で利益は成長ステージへ

配信元:フィスコ
投稿:2024/03/25 16:01
*16:01JST サイオス Research Memo(1):2024年12月期以降、SaaS・サブスクと新規事業で利益は成長ステージへ ■要約

サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※1の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行うIT企業である。主力製品にはシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」※2や「Gluegentシリーズ」※3などがある。

※1 ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
※2 稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した際には自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
※3 IDの管理をクラウドで行うサービス「Gluegent Gate」をはじめ、クラウド型ワークフローの「Gluegent Flow」、Google Calendarにチームメンバーの予定管理機能等を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業の業務効率化等を支援するサービス。


1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の15,889百万円と2期ぶりに過去最高を更新した一方で、営業損失208百万円(前期は572百万円の損失)を計上した。半導体不足の解消に伴いハードウェア製品の需給が緩和したことで、Red Hat, Inc.関連商品※1や「LifeKeeper」が増収に転じたほか、API※2ソリューションや証券系業務システムなどのシステム開発・構築支援、「Gluegentシリーズ」などが順調に拡大したことが増収要因となった。利益面では、新製品・サービスへの先行投資や人件費の負担により2期連続で損失を計上したが、増収効果によって損失額は縮小した。

※1 オープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーの大手であるRed Hat, Inc.が開発するオープンソースの製品。
※2 異なるソフトウェアやアプリケーション間で情報・機能を共有するための仕組み。


2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.5%増の16,600百万円、営業利益は250百万円と3期ぶりの黒字に転換する見通しだ。増収による売上総利益の増加で384百万円、研究開発費の絞り込み等による販管費の減少で74百万円を見込んだ結果、営業利益は前期比で458百万円の増益となる。事業セグメント別では、アプリケーション事業がAPIソリューションや「Gluegentシリーズ」等の伸長により、前期311百万円の損失から改善するほか、オープンシステム基盤事業についても企業の旺盛なIT投資を背景に増収増益が続く見通し。事業方針としてはSaaS・サブスク事業への継続投資、APIソリューション事業の拡大、生成AIによる事業強化の3点に注力していく。同社はここ数年、SaaS・サブスク事業を育成し、ストック型ビジネスへの移行により持続的成長を実現する収益構造の構築に取り組んでおり、その成果が2024年12月期から顕在化することが期待される。

3. 中期経営計画
同社は2026年12月期までの3ヶ年の中期経営計画を発表した。SaaS・サブスク事業の拡大に加えて、新規事業領域への取り組みにより利益成長と資本収益性の向上を目指す。経営数値目標としては、2026年12月期のEBITDA(償却前営業利益)で880百万円(2023年12月期は147百万円の損失)、ROIC(投下資本利益率)で24.3%と資本コスト(7~9%)を大幅に上回る水準を目指す。「Gluegentシリーズ」等のSaaS・サブスク事業の成長が続けば達成可能と弊社では見ている。

■Key Points
・2023年12月期は先行投資により営業損失が続くも売上総利益は2期ぶりに過去最高を更新
・2024年12月期業績は販管費の絞り込みもあって3期ぶりに黒字転換する見通し
・SaaS事業の拡大・強化に加え、新規事業領域への取り組みにより利益成長と資本収益性の向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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