*14:01JST イード Research Memo(1):ネット広告減を収益の多角化でカバー。2024年6月期は2ケタ増益に転じる見通し
■要約
イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うクリエイタープラットフォーム事業(以下、CP事業)と、リサーチ及びECソリューションを提供するクリエイターソリューション事業(同、CS事業)を展開している。主力のCP事業には、インターネット広告やデータ・コンテンツ提供(EC物販含む)、メディア・システムのほか、出版ビジネスなども含まれる。運営するWebメディア数は自動車、IT、エンターテインメント、暮らしなど合計21ジャンル79サイト(2023年12月末時点)と多岐にわたる。特定メディアに依存しない「メディアポートフォリオ戦略」と、ネット広告収入のみに依存しない収益の多角化「360度ビジネス」を、M&Aも活用しながら推進している。
1. 2024年6月期第2四半期累計の業績概要
2024年6月期第2四半期累計(2023年7月~12月)の連結業績は、売上高で前年同期比4.5%増の3,027百万円、営業利益で同9.3%減の272百万円となった。売上高は2022年11月に子会社化したエフ・アイ・ティー・パシフィック(株)(以下、FITP)※1がフル寄与したほか、注力中のサブスクリプション(以下、サブスク)サービス※2が順調に伸長したこともあり過去最高を更新した。一方、利益面では利益率の高いネット広告売上が同15.2%減と落ち込んだ影響で減益となった。ただ、第2四半期だけで見るとネット広告の売上が上向いてきたことから、営業利益は同10.6%増の177百万円と2四半期ぶりに増益に転じた。インターネットメディア業界ではネット広告収入の落ち込みで業績を悪化させる企業が多かったが、同社がここ数年取り組んできた収益の多角化戦略の効果が顕在化してきたと評価できる。
※1 車両衝突実験関連事業、ケーブル&ファシリティマネジメント事業などを展開しており、2022年3月期は売上高686百万円、営業利益58百万円を計上した。2023年12月末時点の出資比率は90.1%。
※2 国内最大級の自動車情報メディア「Response(レスポンス)」やネットセキュリティ関連メディア「ScanNetSecurity」等の有料会員サービス。
2. 2024年6月期の業績見通し
2024年6月期の業績は、売上高で前期比10.3%増の6,700百万円、営業利益で同14.3%増の650百万円と期初計画を据え置いた。営業利益は2期ぶりの過去最高更新を目指す。第2四半期までは会社計画に対して順調に進捗したもようで、下期はネット広告の堅調推移が見込めるほか運営メディアによるサブスクサービス、FITPや企業向け越境型研修サービスを展開する(株)エンファクトリー、EC支援事業を展開するSAVAWAY(株)など子会社の成長により増収増益となる見通しだ。また、生成AIサービスをコンテンツの情報収集・制作・編集工程で活用し始めており、生産性向上の効果も期待される。
3. 中期目標
同社は中期業績目標として、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で12億円を目指している(2023年6月期実績717百万円)。インターネットの進化とともに多様化が進むインターネットメディア市場において、M&A戦略と収益の多角化を推進することで成長を加速させる戦略だ。注力分野としては、MaaS※1分野のほか、教育、金融、エンタメ分野が挙げられる。エンタメ分野では新たなプロモーション施策としても活用できる「エンタメプリント」※2が順調に育ってきたほか、2023年10月には総合映画メディア「シネマトゥディ」を運営する(株)シネマトゥディと戦略的資本業務提携を開始しており、今後のシナジーが期待される。
※1 MaaS(Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行うサービス。観光や医療など目的地における交通以外のサービスなどとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となる。
※2 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、アニメ、声優、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かせる。
■Key Points
・2024年6月期第2四半期累計の業績はネット広告収入の減少により減益となるも会社計画どおりの進捗
・2024年6月期は期初計画を据え置き、2ケタの増収増益を目指す
・2026年6月期の売上高100億円、EBITDA12億円目標の達成はM&A戦略がカギを握る
・連結株主資本配当率(DOE)1.5%を目安に安定かつ継続的な配当を実施。自社株買いも適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うクリエイタープラットフォーム事業(以下、CP事業)と、リサーチ及びECソリューションを提供するクリエイターソリューション事業(同、CS事業)を展開している。主力のCP事業には、インターネット広告やデータ・コンテンツ提供(EC物販含む)、メディア・システムのほか、出版ビジネスなども含まれる。運営するWebメディア数は自動車、IT、エンターテインメント、暮らしなど合計21ジャンル79サイト(2023年12月末時点)と多岐にわたる。特定メディアに依存しない「メディアポートフォリオ戦略」と、ネット広告収入のみに依存しない収益の多角化「360度ビジネス」を、M&Aも活用しながら推進している。
1. 2024年6月期第2四半期累計の業績概要
2024年6月期第2四半期累計(2023年7月~12月)の連結業績は、売上高で前年同期比4.5%増の3,027百万円、営業利益で同9.3%減の272百万円となった。売上高は2022年11月に子会社化したエフ・アイ・ティー・パシフィック(株)(以下、FITP)※1がフル寄与したほか、注力中のサブスクリプション(以下、サブスク)サービス※2が順調に伸長したこともあり過去最高を更新した。一方、利益面では利益率の高いネット広告売上が同15.2%減と落ち込んだ影響で減益となった。ただ、第2四半期だけで見るとネット広告の売上が上向いてきたことから、営業利益は同10.6%増の177百万円と2四半期ぶりに増益に転じた。インターネットメディア業界ではネット広告収入の落ち込みで業績を悪化させる企業が多かったが、同社がここ数年取り組んできた収益の多角化戦略の効果が顕在化してきたと評価できる。
※1 車両衝突実験関連事業、ケーブル&ファシリティマネジメント事業などを展開しており、2022年3月期は売上高686百万円、営業利益58百万円を計上した。2023年12月末時点の出資比率は90.1%。
※2 国内最大級の自動車情報メディア「Response(レスポンス)」やネットセキュリティ関連メディア「ScanNetSecurity」等の有料会員サービス。
2. 2024年6月期の業績見通し
2024年6月期の業績は、売上高で前期比10.3%増の6,700百万円、営業利益で同14.3%増の650百万円と期初計画を据え置いた。営業利益は2期ぶりの過去最高更新を目指す。第2四半期までは会社計画に対して順調に進捗したもようで、下期はネット広告の堅調推移が見込めるほか運営メディアによるサブスクサービス、FITPや企業向け越境型研修サービスを展開する(株)エンファクトリー、EC支援事業を展開するSAVAWAY(株)など子会社の成長により増収増益となる見通しだ。また、生成AIサービスをコンテンツの情報収集・制作・編集工程で活用し始めており、生産性向上の効果も期待される。
3. 中期目標
同社は中期業績目標として、2026年6月期に売上高100億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で12億円を目指している(2023年6月期実績717百万円)。インターネットの進化とともに多様化が進むインターネットメディア市場において、M&A戦略と収益の多角化を推進することで成長を加速させる戦略だ。注力分野としては、MaaS※1分野のほか、教育、金融、エンタメ分野が挙げられる。エンタメ分野では新たなプロモーション施策としても活用できる「エンタメプリント」※2が順調に育ってきたほか、2023年10月には総合映画メディア「シネマトゥディ」を運営する(株)シネマトゥディと戦略的資本業務提携を開始しており、今後のシナジーが期待される。
※1 MaaS(Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行うサービス。観光や医療など目的地における交通以外のサービスなどとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となる。
※2 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、アニメ、声優、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かせる。
■Key Points
・2024年6月期第2四半期累計の業績はネット広告収入の減少により減益となるも会社計画どおりの進捗
・2024年6月期は期初計画を据え置き、2ケタの増収増益を目指す
・2026年6月期の売上高100億円、EBITDA12億円目標の達成はM&A戦略がカギを握る
・連結株主資本配当率(DOE)1.5%を目安に安定かつ継続的な配当を実施。自社株買いも適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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