G-BBDI Research Memo(3):DX事業とBPO事業の2つの事業セグメントを展開するSaaS企業

配信元:フィスコ
投稿:2024/01/15 14:03
*14:03JST G-BBDI Research Memo(3):DX事業とBPO事業の2つの事業セグメントを展開するSaaS企業 ■会社概要

2. 事業内容
BBDイニシアティブ<5259>は、経営ビジョンとして「Digital Inclusion~テクノロジーを通じて、世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで社会に希望を与える~」ことを掲げており、クロステックサービスを通じて中小企業のDX化を支援し、日本経済の活性化に貢献していくことを目指している。

事業セグメントとしては、セールステック、マーテック、タレントテック領域で構成されるDX事業と、ディープテック領域となるビジネスプロセスアウトソーシング(以下、BPO)事業の2つの事業セグメントで開示している。

(1) DX事業
DX事業では、「Knowledge Suite」を中心に各種SaaSをサブスクリプション型の月額課金モデルで提供しているほか、SaaSの導入・運用コンサルティングやサポート・研修などカスタマーサクセスに導く役務提供型サービスを展開している。売上高の約9割はストックビジネスとなるSaaSの月額課金収入で占められ、残り1割がフロービジネスとなるカスタマーサクセスの売上となる。事業会社としては、ブルーテック、ネットビジネスサポート、ブーストマーケティングの3社で構成される。

a) SaaS(クラウドサービス)
主力サービスである「Knowledge Suite」は、営業プロセスを可視化することによって営業課題を解決、生産性向上を実現するSFA/CRMをメイン機能として、グループウェアや名刺管理サービス、メール配信エンジン機能など複数機能をオールインワンで提供する統合ビジネスアプリケーションとなる。オールインワンとすることで、顧客は各サービスを個別で契約するよりも安価な月額料金で利用が可能となる。また、ユーザー数が無制限であること、マルチデバイスに対応しており、社内外どこからでも利用できること(テレワークも可能)が特徴となっており、API連携やメールシステム、セキュリティ強化機能などオプションサービスも用意している。サービス提供開始以降、累積導入社数は7,500社を超えており、中小企業向けクラウド型SFA/CRMサービスとしては業界トップクラスの実績を誇る。料金体系は月額基本料をベースに蓄積データ容量が一定水準を超えるごとに追加料金が発生する従量課金制となっており、オプション機能の追加利用も含めて導入期間が長くなるほどARPAも増加する傾向にある。また、解約率※については毎月1%前後で推移している。

※解約率(Churn Rate)はMRR基準(当該月の解約MRR÷前月末のMRR)で算出。

その他のセールステック領域におけるSaaSとしては、ブルーテックが提供するビジネスチャットアプリ「InCircle」や、複数のビジネスソフトウェアで利用されるID/パスワードを1つに統合できるシングルサインオンサービス「ROBOT ID」、テンプレートを用いてデータベース型業務アプリケーションを簡単に作成できる「Shelter」がある。このうち、「InCircle」については高いセキュリティ技術を活用していることやチャットボット機能を搭載していることが特徴で、顧客もスタートアップ企業から大企業、医療機関、銀行など幅広く導入されている。

マーテック領域のSaaSとしては、ネットビジネスサポートが提供する営業リスト作成サービス「Papattoクラウド」がある。新規顧客開拓のための見込み顧客リストをWeb上に掲載される企業の公式サイトや各種ポータルサイトをクローリングして収集・作成するサービスで、BtoB企業向けのサービスとなる。約65万社の最新データをAI技術も活用しながら地域や業種、規模などに分類して効率的に見込み顧客リストを作成できるほか、部署名検索などによるピンポイントアプローチなども可能な点が強みとなっており、導入社数も着実に増加している。「Knowledge Suite」でも連携ソリューション(GRIDY AIリード)として提供されている。

タレントテック領域では、2022年10月より有名タレントを活用した広告体験サービス「BUSINESS BOOST(ビジネスブースト)」を開始している。タレントの写真素材を自社の広告宣材として利用できるサービスとなる。利用料金はシステム利用料(月額1万円)のほか、月額30万円からの契約(12ヶ月または6ヶ月)となっており、契約料はタレントによって異なる。同サービスの開始により中小企業等でもタレントを活用したプロモーションが行いやすくなった。なお、利用申込は多いものの同社で与信審査を行うほか、所属事務所でもタレントのイメージに合致するものかどうかチェックするため、実際に契約締結まで進むのは全体の3割強程度と見られる。

SaaSの顧客開拓については、Webマーケティングや会社ホームページから入ってくる問い合わせ、並びに展示会出展やセミナー開催により獲得したリード(見込み顧客)に対して、インサイドセールスやフィールドセールス、提携代理店を通じて契約に結び付けている。また、同社グループのSaaSは顧客企業において潜在顧客の発掘からリードの獲得、育成、商談、受注に至るまですべての営業プロセスにおいて利用が可能なほか、社内の業務効率向上を支援するサービスも揃っているため、クロスセルによりARPAを引き上げやすいラインナップとなっている。同社では、顧客件数の拡大とARPA上昇による2軸でARRを積み上げ、SaaS収入を拡大していく戦略を推進している。

b) カスタマーサクセス
「カスタマーサクセス」とは同社のSaaS導入企業に対して、カスタマーサクセスを目的とした初期設定や操作方法の教育などのサービスを提供しているほか、設計支援等の導入時の運用定着支援、及び顧客企業のSaaS連携課題を解決する目的として、システム間連携開発支援サービスなどを提供している。

カスタマーサクセスは役務提供時に売上高が発生するフロー型ビジネスであり、単体では安定的な収益が生まれにくいものの、SaaS契約時に合わせて同サービスを契約した企業と、そうでない企業とでは1年後の解約率が変わってくるほか、ARPAやLTV(顧客生涯価値)の向上にもつながることから、中長期的な成長を実現していくために必要なサービスと位置付けている。

(2) BPO事業
BPO事業ではアーキテクトコアにおける顧客企業向けのSES(IT人材派遣)のほか、企業のマーケティング課題やシステム課題を解決支援するWebマーケティング支援、各種システムの保守などを行っている。売上高の約9割は大手IT企業向けのSESで占められている。

アーキテクトコアでは100名弱のエンジニアを有しており、SESでは顧客企業の基幹系、汎用系システム開発・運用を中心に、システム開発における上流工程(基本設計・詳細設計等のプロジェクト管理)を中心に、下流工程(コーディング、テスト)に至るまでトータルで支援可能であることが強みだ。また、金融機関や官公庁向けのネットワーク・サーバ設計、構築、運用保守の支援を中心としたWindows/Linux系のサーバ・ネットワーク構築に係るインフラ設計、運用支援ノウハウも持つ。収益性重視の戦略のもと、派遣単価の引き上げや低採算案件からの撤退などを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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