少なくとも一旦“上値模索”は抑制される…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2024/01/11 11:19

◆ さらに“上昇” - 一時“145円後半”


想定していたより、意外とすんなり…。

主に対ユーロでは“ドル売り”が進行しましたが、それを上回ったのが昨日は“円売り”でした。
昨日発表の「毎月勤労統計」にて、実質賃金が“マイナス幅拡大(→△3.0%)”と示されたからです。
このため「日銀金融政策正常化はさらに後ズレ」との思惑が強まり、“株高(日経平均はバブル後最高値を更新)”が促される中、主要通貨に対して円は“最弱通貨”の地位に甘んじました。

一方でFRB関係者からは、「米早期利下げを牽制する発言」が相次いでいます。
昨日も『持続的にインフレ2%に向かうと確信できた時にのみ、利下げが可能』とウィリアムズNY連銀総裁が発するなど、「米早期利下げ観測」はさらに後退しているのが実状といえます。
こうして東京タイム終盤に“145円台”を突破したドル円は、NYタイム中盤には“145.828円”へと駆け上がるに至っています。

◆ ただ米CPIを控えているとあっては…?


注目の「米CPI」が予定されているだけに、場合によっては“もう一段の上値模索”が進行する可能性も否めないところがあります。
ただ総合が“4ヶ月ぶりの伸び拡大(+3.2%)”と見られるのに対して、FRBが重要視するコアは“2021年以来の4%割れ(+3.8%)”に鈍化する可能性が指摘されています。
あくまで結果次第といえますが、期待先行で上昇してきた感があるだけに「知ったら終い」となる可能性は否めない…?

◆ “146円台”に乗せ切ればまた話は変わってくるが…!?


テクニカル的に見ると、米月雇用統計時に付けた5日の“145.965円(1/5高値)”が目先の上値メドとして意識されるところです。
ここを突破できれば“12/11高値(146.580円)”に向けてさらに上値を拡大してもおかしくない反面、そうでなければ“145円割れ”へと押し戻されかねない分水嶺…?
そして前記米CPIの見方が割れている以上、発表前には“ポジション調整(利益確定売り)”が入りやすいと見るのが妥当ということに…?

後は結果次第ということになりますが、少なくとも発表前までは昨日同様、ここから先は“上値の重さ”を意識せざるを得ないと見たいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※米CPIが予定されていますので、さらに値幅を拡大しております。

148.518(11/30高値、日足・一目均衡表先行スパン下限)
148.340(12/1高値)
148.000(大台)
147.823(ピボットハイブレイクアウト)
147.496(12/6高値、100日移動平均線、11/13~12/28の61.8%戻し)
147.294(12/7高値、20週移動平均線)
147.000(大台)
146.826(ピボット2ndレジスタンス)
146.580(12/11高値)
上値5:146.389(50日移動平均線)
上値4:146.293(ピボット1stレジスタンス)
上値3:146.163(12/12高値)
上値2:146.076(11/13~12/28の50%戻し、週足・一目均衡表転換線)
上値1:145.965(1/5高値、大台)
前営業日終値:145.761(+2σ)
下値1:145.260(1/9~1/10の23.6%押し)
下値2:145.000(大台)
下値3:144.909(1/9~1/10の38.2%押し)
下値4:144.815(週足・一目均衡表基準線、ピボット1stサポート)
下値5:144.625(1/9~1/10の50%押し)
144.448(+1σ)
144.298(1/10安値、1/9~1/10の61.8%押し)
144.000(大台、1/9~1/10の76.4%押し)
143.871(日足・一目均衡表基準線)
143.766(ピボット2ndサポート)
143.658(1/8安値)
143.521(200日移動平均線)
143.422(1/9安値、日足・一目均衡表転換線)
143.233(ピボットローブレイクアウト)
143.105(12/28~1/5の50%押し、20日移動平均線)

《10:45》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想