Jトラスト Research Memo(3):2023年12月期第3四半期の利益項目は通期予想を超過(2)

配信元:フィスコ
投稿:2023/12/07 12:13
*12:13JST Jトラスト Research Memo(3):2023年12月期第3四半期の利益項目は通期予想を超過(2) ■Jトラスト<8508>の業績動向

(3) 東南アジア金融事業
2023年12月期第3四半期の営業収益は27,647百万円(前年同期比34.7%増)、営業利益は1,225百万円(同65.9%増)となった。営業収益は、銀行業における貸出金や保有有価証券の増加に伴う利息収益の増加により増収となった。営業利益は、銀行業における調達金利の上昇により預金利息費用が増加したものの、優良な貸出金の積み上げや市場実勢に合わせて貸出金利を引き上げたことにより増益となった。営業利益率も、前年同期の3.6%から4.4%へと改善した。

a) Jトラスト銀行インドネシア
Jトラスト銀行インドネシアの再生については、事業規模が損益分岐点を超えたことで、営業損益は2023年12月期第3四半期で10億円の利益(前年同期比2億円増)となった。黒字を目指すフェーズから、より多くの利益の積み上げを追求する段階に入ったと見られる。2023年9月末の法人大企業を中心とする貸出残高は前年同期比34%増の2,289億円と過去最高を更新した。債権の不良化抑制と回収による不良債権金額の圧縮に加え、貸出残高の増加もあり、不良債権比率はインドネシア銀行業界平均の2.4%(2023年6月末)を下回る1.5%に低下し、貸倒引当金を控除したネットでは1.10%である。2020年1月以降の新体制で積み上げた貸出残高は全体の93.14%まで拡大したが、その不良債権比率は0.09%の低水準に留まり、不良債権はほぼ発生していない。リスクマネジメントを強化した成果が表れていると言えるだろう。また、預金残高も2,884億円(2023年9月末)に増加した。政策金利引き上げの影響を受けて預金金利は5.44%とやや上昇したが、インドネシアの政策金利6.00%より低水準で推移していることもJトラスト銀行インドネシアの黒字化に貢献した。

b) Jトラストロイヤル銀行
カンボジアの商業銀行Jトラストロイヤル銀行では、2023年12月期第3四半期の営業利益は、不良債権の回収による貸倒損失引当金の戻し入れ等により10億円と前年同期比2億円増であった。貸出残高は、戦略的にコントロールし、2023年9月末には1,481億円と前年同期比微増に留まった。不良債権比率は2.6%、貸倒引当金を控除したネットでは0.7%と低水準に留まった。一方、預金残高は1,596億円に減少(同年6月末比)し、預金金利は3.9%である。高金利預金を一部開放するなどコントロールした結果である。

(4) 不動産事業
2023年12月期第3四半期の営業収益は10,908百万円(前年同期は879百万円)、営業利益は10,096百万円(前年同期は66百万円の損失)となった。営業収益は、(株)グローベルスの連結取込や、Jグランド(株)の不動産販売が本格化してきたことから増収となった。営業利益は、吸収合併を行ったミライノベートの取得により生じた負ののれん発生益9,328百万円を計上したことにより大幅増益となり、同社全体の2023年12月期第3四半期決算に大きく貢献した。

(5) 投資事業
投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE.LTD.が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。2023年12月期第3四半期の営業収益は120百万円(前年同期比42.3%減)となり、訴訟費用の削減に努めたものの、1,583百万円の営業損失(前年同期は1,575百万円の損失)を計上した。ただ、同社では裁判継続中の金銭債権に対して既に十分な貸倒引当金を引き当て済みであり、将来の回収金は利益計上されることから、今後も回収に尽力することで同社グループの業績に貢献する計画である。また、裁判が終結し、裁判費用が不要になれば、増益要因となる。

3. 財政状況と経営指標
2023年12月期第3四半期末の資産合計は、前期末比199,023百万円増の1,314,967百万円となった。これは主に、現金及び現金同等物が32,667百万円減少した一方、銀行業における貸出金が70,819百万円、その他の金融資産が68,667百万円、銀行業における有価証券が63,594百万円増加したことなどによる。負債合計は、同157,945百万円増の1,141,538百万円となった。これは主に、銀行業における預金が138,211百万円、社債及び借入金が13,908百万円増加したことなどによる。また、資本合計は、同41,078百万円増の173,428百万円となった。これは主に、ミライノベートの吸収合併等により資本剰余金が11,636百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が17,484百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が9,630百万円増加したことなどによる。

以上の結果、2023年12月期第3四半期末の親会社所有者に帰属する持分比率は11.9%(前期末は10.5%)となった。同比率は、2023年3月期の東京証券取引所(以下、東証)プライム・スタンダード・グロース市場銀行業平均の4.34%やその他金融業平均の6.10%を大きく上回り、同社グループは強固な財務基盤を維持している。今後も利益の積み上げに伴い上昇すると予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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