今週のポイント
足もとで米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下しており、米ドルが全般的に軟調に推移しています。米長期金利が一段と低下すれば、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには上昇圧力が加わり、一方で米ドル/カナダドルは下落圧力が加わりそうです。豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は、米ドル/円の値動きにも影響を受けます。米ドル/円の下落幅次第では、クロス円は上値が重くなる可能性があります。
5日のRBA(豪中銀)、6日のBOC(カナダ中銀)の政策会合では、いずれも政策金利の据え置きが決定されそうです。RBAには利上げ観測、BOCには利下げ観測が市場にはあります。RBAとBOCの声明を受けて市場の観測がどう変化するかに注目です。
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BOM(メキシコ中銀)の政策メンバーが利下げに言及しました。ヒース副総裁は11月17日に「24年2月か3月から、1~3回利下げする可能性がある」と述べました。また、ロドリゲス総裁は11月29日に「12月の会合では利下げする可能性は低いが、24年早々に利下げの議論を開始する可能性がある」と語りました。BOMの次回会合は12月14日、その次は24年2月の予定です。
メキシコの11月CPI(消費者物価指数)が12月7日に発表されます。CPIがBOMの利下げ観測を高める結果になれば、メキシコペソは上値が重くなるかもしれません。
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トルコリラは4日に対米ドルや対円で過去最安値をつけました。トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は依然として大幅なマイナス(※)であり、そのことがトルコリラ安圧力になっていると考えられます。トルコリラは一段と下落する可能性があります。
(※)12月1日時点でTCMB(トルコ中銀)の政策金利は40.00%、トルコの10月CPIは前年比61.36%であり、実質金利はマイナス21.36%です。11月のCPIは12月4日に発表され、TCMBの次回会合は12月21日に開かれます。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06500NZドル~1.08500NZドル>
RBNZ(NZ中銀)は11月29日に政策会合を開き、政策金利を5.50%に据え置くことを決定しました。
今回はタカ派的な据え置きと言えそうです。
RBNZは声明で、「現在の政策金利の水準(5.50%)が需要を抑制していると確信している」としつつも、「高水準のコアインフレ率を踏まえると、過剰な需要やインフレ圧力が続くことが懸念される」と指摘。「インフレ圧力が想定以上に強まれば、追加利上げが必要となる可能性が高い」としました。今回の会合では利上げも検討されました。
RBNZが四半期に一度公表する政策金利見通しでは、政策金利のピーク水準の見通しが8月時点の5.59%から5.69%へと上方修正され、1四半期後ズレしました。同様に政策金利が5.50%(現在の水準)を下回る時期の見通しも、8月時点の25年1-3月期から同4-6月期へと1四半期後ズレしました。
RBNZ会合の結果はNZドルにとってプラスと考えられ、豪ドル/NZドルの上値を抑える要因になりそうです。
今週は、5日にRBA(豪中銀)の政策会合があり、6日には豪州の7-9月期GDP(国内総生産)が発表されます。RBA会合については、11月の利上げの効果を見極めるため、政策金利は4.35%に据え置かれそうです。市場では、RBAは24年に追加利上げを行うとの観測があります。
RBAの声明やGDPが追加利上げ観測を高める内容になれば、豪ドルとNZドルの双方にプラス材料があると考えられます。豪ドル/NZドルは明確な方向感が出にくいかもしれません。
今週の注目通貨ペア(2): <米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.33000カナダドル~1.37000カナダドル>
米ドル/カナダドルは12月1日に一時1.34873カナダドルへと下落し、9月29日以来、約2カ月ぶりの安値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル下落の主な要因として、米国の長期金利(10年物国債利回り)の低下が挙げられます。米長期金利が一段と低下する場合、米ドル/カナダドルには下押し圧力が加わりやすいと考えられます。
6日にBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。BOCは9月と10月の2会合連続で政策金利を5.00%に据え置きました(11月は政策会合なし)。カナダの10月CPI(消費者物価指数)は前年比3.1%と、上昇率は9月の3.8%から鈍化。また、BOCがコアインフレ指標として注視するCPIのトリム平均値は前年比3.5%、加重中央値は同3.6%と、いずれも10月の3.7%と3.9%から伸びが鈍化しました。6日の会合で政策金利は5.00%に据え置かれそうです。
市場では、BOCは24年3月に利下げを行うとの観測があります(12月6日と24年1月の会合は据え置き)。BOCは前回10月の会合時の声明で、「必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」としつつも、「これまでの利上げが経済活動を抑制し、インフレ圧力を緩和させているという証拠が増えている」との見方を示しました。今回の声明が市場の利下げ観測を高める内容になれば、カナダドル安材料になりそうです。その場合、米国の長期金利が低下しても、米ドル/カナダドルは下げ渋る可能性があります。
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