ダイキアクシス Research Memo(6):2023年12月期第2四半期は、コスト上昇分の価格転嫁が遅れ、減益に

配信元:フィスコ
投稿:2023/10/18 12:06
*12:06JST ダイキアクシス Research Memo(6):2023年12月期第2四半期は、コスト上昇分の価格転嫁が遅れ、減益に ■業績動向

1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
ダイキアクシス<4245>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比4.9%増加の21,067百万円、営業利益で同37.7%減少の330百万円、経常利益で同41.3%減少の412百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同98.9%減少の4百万円と増収大幅減益となった。売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)によって抑圧されていた設備投資・修繕需要が回復、子会社が増えたことにより増加した。売上総利益が前年同期比4.3%増加し、売上総利益率が20.6%と同0.1ポイント低下した。原材料費・外注費・電力等のエネルギー価格等の高騰を販売価格に十分に転嫁ができなかった。販管費が同10.5%増と大きく増加した。定期昇給と合計して平均約6%の賃上げの実施、業務効率化の向上を図るためのITツール導入、M&A費用などにより増収率を上回る伸び率となり、営業利益を減少させた。営業外収支において前年同期の為替差益(94百万円)から為替差損(4百万円)に転じたことが、経常利益の減少幅を大きくした。親会社株主に帰属する四半期純利益の大幅な落ち込みは、製品不具合対応費用(198百万円)を特別損失に計上したことが主因となる。

2023年7月に同社浄化槽のDCX型及びDCW型において建築基準法及び浄化槽法の認定仕様との不適合が判明し、前述の特別損失の計上に至った。同社は、業務提携先の大栄産業から認定取得した製品の図面・型などの提供を受け、ダイキアクシスDCX型及びDCW型として建築基準法及び浄化槽法に基づく型式認定を得た。DCX型は12人~50人槽、DCW型は51人槽~の規模になる。大栄産業で製造した製品に有効容量不足と担体(充填材)量不足が発覚したことから、同じプログラム・図面で製造した同社製品にも不適合が生じた。製品強度等の安全面に問題はなく、水質面でも対象製品の法定検査結果(浄化槽法で定められた年1回実施される水質等の検査)を確認したところ、通常の浄化槽における法定検査等の結果と概ね同様の傾向を有することが確認された。DCW型は、出荷している製品の担体を規定量に増やして認定に適合させ、設置済製品に関しては担体(充填材)の補充を行う。DCX型は、2025年10月頃をめどに、新たな大臣認定の取得を目指す。今後は他社が認定を取得した製品の製造でも、自社開発製品と同等の精度でチェックをする体制を整える。特別損失の計上は、2023年12月期に限定される見込みだ。開発元と費用負担を協議しており、下期に回収が見込まれる金額を特別利益に計上するため、通期での影響は限定的となる。

2. 事業セグメント別動向
事業セグメント別動向は、環境機器関連事業と住宅機器関連事業が増収となったものの、再生可能エネルギー関連事業は落ち込んだ。セグメント利益は、主要3事業とも減少した。

(1) 環境機器関連事業
環境機器関連事業の売上高は前年同期比3.4%増加の10,853百万円、利益は同6.5%減少の769百万円、利益率が7.1%、同0.7ポイント減少であった。国内外ともに、仕入価格の上昇を販売価格へ転嫁しきれず減益となった。

国内市場は、コロナ禍によって抑圧されていた設備投資需要が回復した。大型工事案件が増加し、工事進捗により売上が計上され、国内の浄化槽・排水処理システムの売上高は同10.9%増加の9,678百万円となった。メンテナンスは、新規契約の拡大により同10.8%増加の3,045百万円となった。地下水飲料化は、同5.3%増加の500百万円であった。エスコ契約を行わない地下水飲料化装置の販売が増加し、販売後のメンテナンス契約を増加させた。

海外売上高は、673百万円となり、前年同期比47.9%(619百万円)減少した。同事業における海外売上高比率は前年同期の12.3%から6.2%へ低下した。中国における産業排水処理施設の大型案件の完成やインドの事業が堅調に推移した。一方、インドネシアは、外需が堅調であったものの、内需に大型案件がなく、価格競争が激化したため大きく落ち込んだ。国別の売上高は、インドが151百万円、前年同期比68百万円増加、中国が164百万円、同55百万円増加、インドネシアが121百万円、同109百万円減少、スリランカが47百万円、同4百万円減少、その他地域が190百万円、同629百万円減少であった。その他地域は、前年同期に計上されたイラクにおける大型案件がなくなった。

(2) 住宅機器関連事業
住宅機器関連事業の売上高は前年同期比8.3%増加の8,817百万円、利益は同21.7%減少の176百万円、利益率は2.0%、同0.8ポイント低下した。仕入価格及び外注費の値上げの販売価格への転嫁が遅れたことが、主たる減益要因であった。

海外部品調達難に起因する商品の出荷制限が解消され、売上高は建設関連業者等が前年同期比6.8%増加の5,578百万円、ホームセンターリテール商材が同4.7%増加の956百万円であった。住機部門工事は、同13.4%増加の2,265百万円であった。新規取得した子会社が寄与した。2023年12月期においては、ホームセンター店舗の建設工事の売上計上は予定されていない。

(3) 再生可能エネルギー関連事業
再生可能エネルギー関連事業の売上高は前年同期比3.5%減少の1,095百万円、利益は同45.9%減少の66百万円、売上高利益率は6.0%、同4.8ポイント落ち込んだ。各事業の売上高は、太陽光発電事業が同0.7%増加の917百万円、バイオディーゼル燃料事業が同10.8%増加の103百万円、水熱処理事業が同43.1%減少の41百万円、小形風力発電事業が同57.1%減少の24百万円であった。

3. 財務状況
2023年12月期第2四半期末の財務状況は、資産合計が前期末比2,908百万円増加の34,813百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産が同772百万円増加した。営業債権が936百万円減少し、現金及び預金が1,644百万円増加した。固定資産がM&Aもあり2,135百万円増加した。環境機器関連事業ではインド工場への機械装置を取得し、再生可能エネルギー関連事業でFIT設備の増設及びPPAモデルの事業開始に伴い機械装置及び土地を取得した。負債の部ではM&Aを実施したことと、ポストFITを見据えた事業構築のため投資により借入金が増加した。

4.キャッシュ・フロー
2023年12月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は8,656百万円と前期末比1,518百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは1,543百万円の入金であったが、投資活動によるキャッシュ・フローが1,601百万円の出金であったため、フリー・キャッシュ・フローは58百万円の出超となった。投資活動による主な出金は、有形固定資産の取得(651百万円)、投資有価証券の取得による支出(364百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(611百万円)であった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の増加により1,605百万円の入超であった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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