ドル円は149円台半ばで膠着 中東情勢を懸念したドル高・円高=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2023/10/14 03:05
 きょうの為替市場はNY時間に入ってドル買いが優勢となる中で、ドル円は149円台半ば付近での上下動に終始。この日発表のミシガン大消費者信頼感指数で消費者のインフレ期待が予想以上に上昇したことをきっかけにドル買いが優勢となった。一方で、円買いも見られ、ドル高・円高の中でドル円は膠着した展開。

 市場には中東情勢を懸念したリスク回避の雰囲気が広がっている。イスラエルは、ハマスが実効支配するガザへの地上侵攻に備えガザ周辺に戦車を集結させており、市民にも避難を呼びかけている。そのような中で市場では警戒感が高まっており、リスク回避のドル買いの様相も見られる。

 本日は米国債利回りが低下し、ドル円も上値を抑えられているが、下押す気配もなく150円台をうかがう動きは続いている。前日の米CPIはFRBの利上げ終了期待に水を差す結果となったが、市場は再び追加利上げ期待を強める雰囲気までには至っていない。市場からは、「前日の米CPIは市場の利上げ終了期待を再調整したが、短期金融市場ではその可能性が依然として50%を下回っている」との指摘も出ていた。

 実際、短期金融市場では11月FOMCは据え置きをほぼ確実視しており、12月FOMCの利上げ確率は30%程度での推移に留まっている。

 ユーロドルは一時1.05ドルを割り込む動きが見られた。この2日間の下げで再び21日線を下放れる展開が見られており、下向きの流れに戻しそうな気配も出ている。モロッコを訪問しているラガルドECB総裁がマスコミとのインタビューで「必要に応じて追加措置とる用意がある」と利上げの可能性を残す発言を行っていたが、市場の反応は鈍い。

 市場は、ECBの利上げサイクルはすでに終了し、利下げ時期を模索する動きを見せている。背景にはユーロ圏の景気後退への懸念があるが、本日は8月のユーロ圏鉱工業生産が発表され、前月比で0.6%の回復を見せていた。しかし、前年比では依然として5%超の減少。

 本日の鉱工業生産は7-9月期のGDPがマイナス成長に陥るとの見方を確認する内容との受け止めも出ている。今後は薄商いの受注と高水準の在庫に加え、最近の原油高騰と地政学的リスクの再燃が、今後数カ月の鉱工業生産の見通しにとって良い兆候とはならないという。7-9月期のGDPがプラス成長になるためには、9月の鉱工業生産はかなりの増加である必要だとしている。

 ポンドドルは1.21ドル台前半に下落。この2日間の下げで再び21日線を下放れる展開が見られており、下向きの流れに戻しそうな気配が出ている。

 FRBもECBも利上げ終了の観測が強まっているが、英中銀だけはまだ、0.25%ポイントの利上げについてなお確率は五分五分で見ている状況。その意味では来週は重要イベントが目白押しの週でもあ、動向が注目される。特に英雇用統計と消費者物価指数(CPI)は注目となりそうだ。

 英CPIは現段階でコア指数が前年比6.0%が見込まれている。なお高水準であることに違いはないが、鈍化傾向は出ており、予想通りであれば、追加利上げ期待は後退することになりそうだ。

*英消費者物価指数(9月)18日15:00
予想 0.4% 前回 0.3%(前月比)
予想 6.6% 前回 6.7%(前年比)
予想 6.0% 前回 6.2%(コア・前年比)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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