*13:11JST 動物高度医療 Research Memo(1):犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院を展開
■要約
日本動物高度医療センター<6039>(JARMeC=Japan Animal Referral Medical Center)は、ペット(犬・猫)向け高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開し、動物医療業界の総合的企業を目指している。
1. 地域の「かかりつけの動物病院」との分業によって高度な動物医療を実現
ペットの飼い主にとっての「かかりつけの動物病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)からの完全紹介により、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度な専門医療(二次診療)を行う。事業拠点としては川崎本院、名古屋病院、東京病院、そして2023年6月に開業した大阪病院を展開している。ペットの家族化、長寿命化、疾病多様化を背景に、飼い主の間に「ペットにも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」として、動物医療に対する多様化・高度化のニーズが高まるなか、一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」との分業によって、高度で充実した動物医療を実現している。子会社の(株)キャミックは画像診断サービスを展開、子会社のテルコム(株)は動物の在宅医療に必要な「酸素ハウス(酸素濃縮器、ケージ、酸素脳時計等のセット)」の製造・販売・貸与を展開している。
2. 2024年3月期第1四半期は一時的要因で減益だが計画水準
2024年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の951百万円、営業利益が同71.9%減の37百万円、経常利益が同74.6%減の33百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同79.4%減の18百万円だった。一時的要因で売上高が伸び悩み、各利益は減益となった。売上面は川崎本院の治療器入れ替えに伴う放射線治療の一時停止、眼科の廃止に伴う新規患者受入停止、大阪病院への診療スタッフ投入に伴う既存病院の稼働低下などにより初診数(新規に受け入れた症例数)や総診療数(初診数と再診数の合計)が減少したのが、利益面は大阪病院開業に伴う経費の増加などが影響した。ただし、これらの一時的要因は想定どおりであり、全体としておおむね計画水準だったようだ。
3. 2024年3月期通期予想は据え置いて営業減益、経常・最終増益予想
2024年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比6.9%増の4,140百万円、営業利益が同4.4%減の555百万円、経常利益が同5.8%増の565百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の385百万円としている。売上面は連携病院数、初診数が順調に増加し、第2四半期の川崎本院の放射線治療再開、大阪病院の新規開業も寄与(10ヶ月分)して増収、営業利益は大阪病院開業に伴う費用の影響で減益、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は前期に営業外費用で計上した株式交付費や資金調達費用などが剥落するため増益を予期している。
4. 良好な市場環境を背景に動物医療業界の総合的企業を目指す
同社は良好な市場環境を背景に、成長戦略として拠点と連携病院数の拡大、人材の確保・育成、M&Aも活用した事業領域の拡大とグループシナジー創出を掲げ、動物医療業界の総合的企業を目指している。拠点拡大については、大阪病院の業務領域拡大として放射線治療棟の増築と放射線治療機器の購入を計画し、さらに新病院の土地取得を計画している。全国的に動物高度医療ニーズが高まっているため、新病院開業を加速する方針だ。
5. 新たな成長ステージに入る可能性、その進捗に注目
ペット市場及び動物高度医療の市場環境は良好であり、市場拡大余地も大きい。同社については、高度な医療サービスを提供できる総合動物病院としての強みを発揮して収益拡大が期待されることに加えて、2024年3月期に初配当を実施する計画であることも弊社は評価している。今後は、新規病院開設の加速やグループシナジー創出などによって新たな成長ステージに入る可能性が高く、その進捗に注目したい。
■Key Points
・ペット(犬・猫)向け高度医療専門の総合動物病院
・2024年3月期第1四半期は一時的要因で減益だが計画水準
・2024年3月期通期予想は据え置き、第1四半期進捗率は低水準だが会社予想は達成可能
・良好な市場環境を背景に動物医療の総合的企業を目指す
・新たな成長ステージに入る可能性、その進捗に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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日本動物高度医療センター<6039>(JARMeC=Japan Animal Referral Medical Center)は、ペット(犬・猫)向け高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開し、動物医療業界の総合的企業を目指している。
1. 地域の「かかりつけの動物病院」との分業によって高度な動物医療を実現
ペットの飼い主にとっての「かかりつけの動物病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)からの完全紹介により、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度な専門医療(二次診療)を行う。事業拠点としては川崎本院、名古屋病院、東京病院、そして2023年6月に開業した大阪病院を展開している。ペットの家族化、長寿命化、疾病多様化を背景に、飼い主の間に「ペットにも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」として、動物医療に対する多様化・高度化のニーズが高まるなか、一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」との分業によって、高度で充実した動物医療を実現している。子会社の(株)キャミックは画像診断サービスを展開、子会社のテルコム(株)は動物の在宅医療に必要な「酸素ハウス(酸素濃縮器、ケージ、酸素脳時計等のセット)」の製造・販売・貸与を展開している。
2. 2024年3月期第1四半期は一時的要因で減益だが計画水準
2024年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の951百万円、営業利益が同71.9%減の37百万円、経常利益が同74.6%減の33百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同79.4%減の18百万円だった。一時的要因で売上高が伸び悩み、各利益は減益となった。売上面は川崎本院の治療器入れ替えに伴う放射線治療の一時停止、眼科の廃止に伴う新規患者受入停止、大阪病院への診療スタッフ投入に伴う既存病院の稼働低下などにより初診数(新規に受け入れた症例数)や総診療数(初診数と再診数の合計)が減少したのが、利益面は大阪病院開業に伴う経費の増加などが影響した。ただし、これらの一時的要因は想定どおりであり、全体としておおむね計画水準だったようだ。
3. 2024年3月期通期予想は据え置いて営業減益、経常・最終増益予想
2024年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比6.9%増の4,140百万円、営業利益が同4.4%減の555百万円、経常利益が同5.8%増の565百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の385百万円としている。売上面は連携病院数、初診数が順調に増加し、第2四半期の川崎本院の放射線治療再開、大阪病院の新規開業も寄与(10ヶ月分)して増収、営業利益は大阪病院開業に伴う費用の影響で減益、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は前期に営業外費用で計上した株式交付費や資金調達費用などが剥落するため増益を予期している。
4. 良好な市場環境を背景に動物医療業界の総合的企業を目指す
同社は良好な市場環境を背景に、成長戦略として拠点と連携病院数の拡大、人材の確保・育成、M&Aも活用した事業領域の拡大とグループシナジー創出を掲げ、動物医療業界の総合的企業を目指している。拠点拡大については、大阪病院の業務領域拡大として放射線治療棟の増築と放射線治療機器の購入を計画し、さらに新病院の土地取得を計画している。全国的に動物高度医療ニーズが高まっているため、新病院開業を加速する方針だ。
5. 新たな成長ステージに入る可能性、その進捗に注目
ペット市場及び動物高度医療の市場環境は良好であり、市場拡大余地も大きい。同社については、高度な医療サービスを提供できる総合動物病院としての強みを発揮して収益拡大が期待されることに加えて、2024年3月期に初配当を実施する計画であることも弊社は評価している。今後は、新規病院開設の加速やグループシナジー創出などによって新たな成長ステージに入る可能性が高く、その進捗に注目したい。
■Key Points
・ペット(犬・猫)向け高度医療専門の総合動物病院
・2024年3月期第1四半期は一時的要因で減益だが計画水準
・2024年3月期通期予想は据え置き、第1四半期進捗率は低水準だが会社予想は達成可能
・良好な市場環境を背景に動物医療の総合的企業を目指す
・新たな成長ステージに入る可能性、その進捗に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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