*12:27JST ADワークスグループ Research Memo(7):収益不動産カンパニーから投資ソリューションカンパニーへ
■中期経営計画
1. 第1次中期経営計画の概要
ADワークスグループ<2982>は2021年5月に第1次中期経営計画(2021年12月期~2023年12月期)を発表した。収益不動産カンパニーから投資ソリューションカンパニーへと脱皮し、長期的に持続的な成長を実現していくための準備期間として位置付けており、1) SDGs経営の推進、2) 「複利の経営」への転換、3) 「プライム市場」の上場維持、4) 「5年後3割」への通過点の4つのテーマを掲げ、その取り組みを推進している。
1) SDGs経営の推進
主力の収益不動産販売事業は、「社会資本とも言うべき不動産のポテンシャルを目利き力と商品企画力で最大化する」という社会的意義を有しており、不動産市場でのESG投資の広がりに寄与することでSDGs経営を推進する。SDGs私募債を活用した資金調達も2022年から開始し、2023年8月までに合計7行から13億円を調達しているが、これもSDGs経営の取り組みの1つとなる。
2) 「複利の経営」への転換
従来は、売上高や経常利益などの「額」を増やす経営、または経常利益率など「率」を高める経営を推進してきたが、今後は投下資本が生み出す利益を重要視する「利回りの経営」、さらに再投資のリターンを長期継続する「複利の経営」に転換していく。
3) 「プライム市場」の上場維持基準クリア
2022年4月の東京証券取引所の市場再編において、同社は「プライム市場」への上場を選択した。「プライム市場」に移行することが同社の事業価値を向上させ、中長期的な企業価値向上の実現において必要と考えたためだ。2022年12月末時点の流通株式時価総額が64.5億円と上場維持基準である100億円の基準を満たしておらず、このため超過利潤を創出(WACCを上回るROICの達成)することで企業価値を向上し、100億円の達成を目指す方針を打ち出している。
なお、東京証券取引所では2023年1月にプライム上場基準を満たしていない企業に対する「経過措置期間」についての指針を発表している。2025年3月以降に到来する上場維持基準の判定に関する基準日から本来の上場維持基準を適用することを原則とし、同基準に満たなければ1年間の改善期間に入り、同期間内に基準に適合しなかった場合は、原則として6ヶ月間の監理・整理銘柄指定を経て上場廃止になる※。同社の場合は12月決算となるため、基準日は2025年12月となり、直前3ヶ月間(2025年10~12月)の平均株価(終値ベース)で流通時価総額100億円を達成する必要がある。
※上場維持基準をクリアすることが難しいと判断した企業に対する救済措置として、2023年9月29日を期限としてスタンダード市場への上場を選択、申請することも可能であったが、同社は上場維持基準をクリアすることでプライム市場に留まることを選択した。
4) 「5年後3割」への通過点
DXによる革新、CVC事業を通じた新たな価値創造、持株会社体制下でのM&Aや資本提携、業務提携の加速により、“脱”不動産事業収益の割合を2025年12月期に全体の3割にするビジョンを掲げている。ただ、現状は新規事業の育成に時間が掛かりそうで、目標は先送りされる可能性が高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 第1次中期経営計画の概要
ADワークスグループ<2982>は2021年5月に第1次中期経営計画(2021年12月期~2023年12月期)を発表した。収益不動産カンパニーから投資ソリューションカンパニーへと脱皮し、長期的に持続的な成長を実現していくための準備期間として位置付けており、1) SDGs経営の推進、2) 「複利の経営」への転換、3) 「プライム市場」の上場維持、4) 「5年後3割」への通過点の4つのテーマを掲げ、その取り組みを推進している。
1) SDGs経営の推進
主力の収益不動産販売事業は、「社会資本とも言うべき不動産のポテンシャルを目利き力と商品企画力で最大化する」という社会的意義を有しており、不動産市場でのESG投資の広がりに寄与することでSDGs経営を推進する。SDGs私募債を活用した資金調達も2022年から開始し、2023年8月までに合計7行から13億円を調達しているが、これもSDGs経営の取り組みの1つとなる。
2) 「複利の経営」への転換
従来は、売上高や経常利益などの「額」を増やす経営、または経常利益率など「率」を高める経営を推進してきたが、今後は投下資本が生み出す利益を重要視する「利回りの経営」、さらに再投資のリターンを長期継続する「複利の経営」に転換していく。
3) 「プライム市場」の上場維持基準クリア
2022年4月の東京証券取引所の市場再編において、同社は「プライム市場」への上場を選択した。「プライム市場」に移行することが同社の事業価値を向上させ、中長期的な企業価値向上の実現において必要と考えたためだ。2022年12月末時点の流通株式時価総額が64.5億円と上場維持基準である100億円の基準を満たしておらず、このため超過利潤を創出(WACCを上回るROICの達成)することで企業価値を向上し、100億円の達成を目指す方針を打ち出している。
なお、東京証券取引所では2023年1月にプライム上場基準を満たしていない企業に対する「経過措置期間」についての指針を発表している。2025年3月以降に到来する上場維持基準の判定に関する基準日から本来の上場維持基準を適用することを原則とし、同基準に満たなければ1年間の改善期間に入り、同期間内に基準に適合しなかった場合は、原則として6ヶ月間の監理・整理銘柄指定を経て上場廃止になる※。同社の場合は12月決算となるため、基準日は2025年12月となり、直前3ヶ月間(2025年10~12月)の平均株価(終値ベース)で流通時価総額100億円を達成する必要がある。
※上場維持基準をクリアすることが難しいと判断した企業に対する救済措置として、2023年9月29日を期限としてスタンダード市場への上場を選択、申請することも可能であったが、同社は上場維持基準をクリアすることでプライム市場に留まることを選択した。
4) 「5年後3割」への通過点
DXによる革新、CVC事業を通じた新たな価値創造、持株会社体制下でのM&Aや資本提携、業務提携の加速により、“脱”不動産事業収益の割合を2025年12月期に全体の3割にするビジョンを掲げている。ただ、現状は新規事業の育成に時間が掛かりそうで、目標は先送りされる可能性が高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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