今週のポイント
米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇する中で全般的に米ドル高が進んでいます。先週(8/14- )、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルは9カ月ぶりの安値を記録し、米ドル/カナダドルは2カ月半ぶりの高値をつけました。
豪ドル/米ドルとNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは引き続き米長期金利の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。25日のパウエル米FRB議長の講演も材料になると考えられます。これら次第では米ドル高がさらに進んで、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは一段と下押しし、一方で米ドル/カナダドルはさらに上値を試す可能性があります。
米ドル/円の動向には注意が必要です。本邦当局からの円安(米ドル/円の上昇)をけん制するトーンが強まる場合、米ドル/円が下落して、それに豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円が引きずられるかもしれません。
TCMB(トルコ中銀)が24日に政策会合を開きます。会合では、6月と7月に続いて利上げすることが決定されると考えられ、「どの程度利上げするのか?」に注目です。利上げ幅が市場予想の中央値である2.50%を下回れば、利上げが行われたとしても、トルコリラは軟調に推移しそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.09000NZドル>
RBNZは8月16日の政策会合で、政策金利を5.50%に据え置くことを決定しました。RBNZは声明で「政策金利は予見可能な将来において抑制的な水準に維持する必要がある」と改めて表明し、政策金利を今後も据え置くことを示唆しました。
四半期に一度のRBNZの金融政策報告が公表され、その中で示される政策金利見通しが5月時点から全般的に上方修正されました。
政策金利見通しにおける注目点は次の2つです。
(1)5月時点では、政策金利は23年7-9月期から24年4-6月期まで現在の5.50%に維持されるとの見通しが示されました。それが今回は、23年7-9月期から24年7-9月期にかけて5.50%よりも高い水準が示されました。確率は高くないものの、追加利上げも想定されています。
(2)政策金利が現在の水準を下回る(利下げ開始)時期の見通しが5月時点の24年7-9月期から25年1-3月期へと後ズレしました。RBNZの政策金利は、より長期にわたって高止まりすることが示唆されました。
RBNZの政策金利見通しが上方修正されたことは、NZドルにとってプラス材料と考えられます。
一方で、豪州の4-6月期賃金コスト指数(15日)と7月雇用統計(17日)は、いずれも市場予想よりも弱い結果でした。これらは豪ドルにとってマイナス材料です。
<賃金コスト指数>
・前年比3.6%(市場予想3.7%)
<雇用統計>
・失業率:3.7%(同3.6%)
・雇用者数:前月比マイナス1.46万人(同プラス1.50万人)
今週(8/21- )は、豪州とNZの主要な経済指標の発表はありません。RBNZの政策会合や豪州の経済指標の結果が引き続き市場で意識される可能性があり、その場合には豪ドル/NZドルは上値が重い展開になりそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34000カナダドル~1.37000カナダドル>
米ドル/カナダドルは8月18日に一時1.35697カナダドルへと上昇し、6月1日以来の高値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因として、米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇や中国景気への懸念からリスクオフ(リスク回避)の動きが強まっていることが挙げられます。これらは米ドル高要因です。
今週(8/21- )は、カナダの6月小売売上高が23日に発表されるものの、材料としては力不足かもしれません。引き続き米長期金利の動向や投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に米ドル/カナダドルは影響を受けやすいと考えられます。25日のパウエル米FRB議長の講演も重要です。米長期金利が上昇を続けるなどして米ドル高がさらに進めば、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。
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