[資源・新興国通貨7/18~21のポイント&注目通貨]トルコ中銀はどの程度利上げするか

著者:八代和也
投稿:2023/07/18 12:29

今週のポイント

カナダの6月CPI(消費者物価指数)が18日に発表されます(本稿執筆時点で未発表)。CPIが市場予想を上回る結果になれば、BOC(カナダ中銀)の利上げ観測が高まるとともに、カナダドルが堅調に推移しそうです。

NZドル/円やNZドル/米ドルは、19日のNZの1-3月期CPIに注目です。豪ドル/NZドルについては、20日の豪州の6月雇用統計にも影響を受ける可能性があります。

原油価格が堅調に推移しており、WTI原油先物は14日に4月下旬以来の高値をつけました。原油価格が上昇を続ける場合、カナダドルやメキシコペソの支援材料になりそうです。

TCMB(トルコ中銀)は20日に政策会合を開きます。6月に続いて利上げが行われると考えられます。トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は依然として高い(6月は前年比38.21%)うえ、TCMBは6月会合の声明で「インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、金融引き締めは適切なタイミングかつ緩やかなペースで必要な限り強化される」と表明したからです。市場は利上げをほぼ確実視しており、どのくらい利上げするのか(利上げ幅)が焦点になりそうです。利上げ幅が市場予想を下回れば、トルコリラが軟調に推移する可能性があります。

TCMBと同じ20日にSARB(南アフリカ中銀)は政策会合を開きます。市場では、「0.25%利上げする」と「政策金利は据え置かれる」とで見方が割れており、そのためどのような結果になっても南アフリカランドが反応すると考えられます。利上げが行われれば、南アフリカランドは堅調に推移しそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.09000NZドル>

RBNZ(NZ中銀)は7月12日に政策会合を開き、政策金利を5.50%に据え置くことを決定。21年10月に開始した利上げを停止しました。RBNZが政策金利を据え置いたのは、21年8月以来、約2年ぶりです。

RBNZは声明で、「政策金利は予見可能な将来において抑制的な水準に維持する必要があるとの認識で一致した」とし、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。

市場では政策金利は据え置かれるとの見方が大勢だったことや、声明や議事録で今後の政策変更の可能性が示されなかったため、RBNZの政策会合に対して市場の反応は限定的でした。


今週の豪ドル/NZドルは、NZの4-6月期CPI(消費者物価指数。19日)や豪州の6月雇用統計(20日)が材料になりそうです。

NZのCPIの市場予想は前年比5.9%と、RBNZのインフレ目標(1~3%)は引き続き大きく上回るものの、上昇率は1-3月期の6.7%から鈍化するとみられています。

RBA(豪中銀)は 4日の政策会合で政策金利を据え置いたものの、市場ではRBAは今後再び利上げするとの観測があります。豪州の雇用統計の結果を受けて利上げ観測が強まるかどうかに注目です。

CPIが市場予想を下回る、あるいはRBAの利上げ観測が強まれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそう。豪ドル/NZドルの目先の上値メドとして、200日移動平均線(7/18時点で1.08291NZドル)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.30000カナダドル~1.33000カナダドル>

米ドル/カナダドルは7月14日に一時1.30888カナダドルへと下落し、22年9月以来の安値をつけました。米FRBの利上げ打ち止め観測が高まって米ドルが全般的に下落したほか、BOC(カナダ中銀)が12日の政策会合で0.25%利上げしたことが、米ドル/カナダドル下落の主な要因と考えられます。

今週発表される米国の経済指標が市場予想よりも弱い結果になる、あるいはカナダの6月CPI(消費者物価指数。18日発表)が市場予想を上回る結果になれば、米ドル/カナダドルは下落しそうです。

原油価格の動向にも注目です。米WTI原油先物は14日に一時1バレル75ドル台へと上昇し、4月26日以来の高値をつけました。原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料のため、WTI原油先物が上昇を続ければ、米ドル/カナダドルの下落要因になる可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想