それでも一方向への動意は“限定的”…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/05/15 11:30

◆ “巻き戻し”先行 - “135円後半”へ反発


前日に続き、主に対ユーロで“ドル買い(戻し)”が進行しましたが、これが先週末は対円にも波及しました。
つれて「ミシガン大消費者態度指数」は“1月以来水準に低下(57.7と)”したものの、同時発表の「5年先インフレ期待」は“2011年来最高(3.2%)”というポジティブが重なりました。
さらに『追加利上げ必要となる可能性』というボウマン米FRB理事発言も加わったことで、“ほぼ100%”で織り込まれてきた「6月利上げ停止」への思惑が幾分ながら緩みました。
こうして米10年債利回りが“上昇(3.36%→3.46%)”を見せる中、“ドル買い”が全般的に進行する格好となり、ドル円を“135.756円”へと押し戻していきました。

◆ “もう一段”への期待が募る局面だが…?


「米インフレ期待(懸念)」が再燃しつつあるだけに、米10年債利回りは“さらに上昇”する可能性が意識されつつあります。
一方で“ほぼ100%”織り込まれていた「米6月利上げ停止」こそ幾分後退したものの、「年内利下げ」への思惑に関しては“ほぼ変わっていない(高水準)”というのが実状となります。
このため“ドル買い”がこのまま進行し続けるかは微妙といわざるを得ず、基本的には“揺れ動き”と見るのが妥当ということになります。

そうした中、本日は主だった経済指標が「NY連銀製造業景気指数」くらいしかなく、一方で「要人発言(カシュカリ/ボスティック/バーキン各連銀総裁)」は目白押しとなっています。
「米債務上限を巡る協議」は“16日(見通し)”と伝わる以上、本日のテーマとなるのは「米金融政策の行方」…?

「FRB-マーケット間のズレ」は大きいだけに、思惑も“錯綜しやすい”とは考えますが、まだ方向感が見えないのが実状でもあります。
少なくともそれら発言を確認するまでは、一方向への動意は“限定的”と見ながら、神経質なマーケットと対峙したいところです。
個人的には“やや上方向”への期待を募らせながら…。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

137.535(ピボットハイブレイクアウト)
137.054(200日移動平均線、大台)
136.738(5/2~5/4の76.4%戻し、+2σ)
136.601(5/3高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値5:136.554(50週移動平均線)
上値4:136.117(5/2~5/4の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値3:136.000(大台)
上値2:135.878(+1σ)
上値1:135.756(5/12高値)
前営業日終値:135.711
下値1:135.615(日足・一目均衡表転換線)
下値2:135.283(5/11~5/12の23.6%押し)
下値3:134.990(5/11~5/12の38.2%押し、大台)
下値4:134.826(20日移動平均線、ピボット1stサポート)
下値5:134.753(5/11~5/12の50%押し、週足・一目均衡表基準線)
134.606(日足・一目均衡表基準線)
134.516(5/11~5/12の61.8%押し)
134.402(5/12安値)
134.000(大台)
133.878(-1σ、ピボット2ndサポート)
133.750(5/11安値、50日移動平均線)
133.692(週足・一目均衡表転換線、3/24~5/1の50%押し水準)
133.487(5/4安値、ピボットローブレイクアウト)

《11:10》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想