*16:11JST クリレスHD Research Memo(1):2023年2月期はコロナ禍からの一定の回復により大幅な増収
■要約
1. 会社概要
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387> は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略や、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」に特長を有してきた。2023年2月期末現在の店舗数は約240業態で1,145店舗※に上る。2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による影響が外食業界に影を落としているが、徹底したコストコントロールを通じた収益体質の強化を図るとともに、コロナ収束後(以下、アフターコロナ)を見据えたポートフォリオの見直しにも取り組んでいる。2022年12月にはベーカリー業態の(株)サンジェルマン(及びその子会社の(株)北海道サンジェルマン)を全株式取得により連結化した。今後はロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換も進めていく考えだ。
※業務受託店舗、FC店舗の全てを含む(以下、同様)。
2. 2023年2月期決算の概要
2023年2月期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前期比51.0%増の118,240百万円、営業利益が同33.4%減の5,083百万円と増収ながら協力金の減少等により減益となった。もっとも、協力金等の影響を除く実質的な営業利益では大幅な損益改善を実現した。売上収益はコロナ禍からの一定の回復により、すべてのカテゴリーで増収を確保した。実質既存店売上高(連結)はコロナ禍前比(2020年2月期比)79.5%(前期は52.7%)にまで戻っている。また、サンジェルマン等のグループインについても上乗せ要因(3ヶ月分)となっている。損益面では、協力金等の減少は想定内であるが、保守的判断により減損損失を追加計上したことで計画を下振れる着地となった。ただ、一過性費用である減損損失による影響を除くと約40億円の利益水準を確保したところは、本来の収益力を評価するうえで特筆すべきポイントと言える。特に昨今のインフレに伴う厳しい収益環境にあるなか、これまで進めてきた筋肉質なコスト構造への転換が奏功し、各経費率(原価率、人件費率、諸経費率)はコロナ禍においても安定した水準を維持することができた。
3. 2024年2月期の業績見通し
2024年2月期の業績予想について同社は、売上収益を前期比19.2%増の141,000百万円、営業利益を同27.9%増の6,500百万円と協力金がはく落するものの、大幅な増収増益を見込んでいる。売上収益は全国旅行支援による観光客増やインバウンドの回復、コロナ5類への移行(5月8日予定)などが追い風となるほか、サンジェルマン等の連結効果(9ヶ月分の上乗せ)も増収に寄与する前提である。実質既存店売上高(連結)はコロナ禍前比89.8%を想定。新規出店は30店舗(退店23店舗)を計画しており、成長回帰に向けた投資を再開していく方針である。損益面では、厳しい収益環境が続くうえ、協力金のはく落がマイナス要因となるものの、売上収益の伸びや筋肉質なコスト構造を引き続き維持強化すること等により増益を確保する見通しである。
4. 今後の方向性
同社は新たに3ヶ年の中期経営計画(ローリングプラン)を公表した。1) アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し、2) グループ連邦経営のさらなる進化、3) DX推進による生産性の向上・人財不足への対応、といった成長戦略の3 本の柱に見直しはなく、「食を通じて、ステークホルダーに対し、『豊かさ』を提供し続ける企業グループ」を目指していく方向性である。特に、2024年2月期を「STEP」と位置付け、2025年2月期以降の「JUMP」に向けて、既存店の更なる質の向上、「守り」から「攻め」への投資の再開、人財不足への対応などに取り組む方針である。最終年度である2026年2月期の業績目標として、売上収益1,540億円、営業利益108億円、調整後EBITDA266億円を掲げており、毎期30店舗(2025年2月期~2026年2月期)の新規出店等により、成長軌道に回帰させるシナリオを描いている。
■Key Points
・2023年2月期の業績は協力金等の減少により表面上は増収減益ながら、協力金の影響を除くと、実質的には増収増益(黒字化)を達成
・ベーカリー業態を展開するサンジェルマン等のM&Aでは戦略的な進展も図ることができた
・2024年2月期も既存店の回復(コロナ禍前比89.8%)や新規出店(30店舗)により増収増益を見込む
・新たに3ヶ年の中期経営計画を公表。アフターコロナを見据えた成長戦略により、成長回帰を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<AS>
1. 会社概要
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387> は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略や、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」に特長を有してきた。2023年2月期末現在の店舗数は約240業態で1,145店舗※に上る。2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による影響が外食業界に影を落としているが、徹底したコストコントロールを通じた収益体質の強化を図るとともに、コロナ収束後(以下、アフターコロナ)を見据えたポートフォリオの見直しにも取り組んでいる。2022年12月にはベーカリー業態の(株)サンジェルマン(及びその子会社の(株)北海道サンジェルマン)を全株式取得により連結化した。今後はロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換も進めていく考えだ。
※業務受託店舗、FC店舗の全てを含む(以下、同様)。
2. 2023年2月期決算の概要
2023年2月期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前期比51.0%増の118,240百万円、営業利益が同33.4%減の5,083百万円と増収ながら協力金の減少等により減益となった。もっとも、協力金等の影響を除く実質的な営業利益では大幅な損益改善を実現した。売上収益はコロナ禍からの一定の回復により、すべてのカテゴリーで増収を確保した。実質既存店売上高(連結)はコロナ禍前比(2020年2月期比)79.5%(前期は52.7%)にまで戻っている。また、サンジェルマン等のグループインについても上乗せ要因(3ヶ月分)となっている。損益面では、協力金等の減少は想定内であるが、保守的判断により減損損失を追加計上したことで計画を下振れる着地となった。ただ、一過性費用である減損損失による影響を除くと約40億円の利益水準を確保したところは、本来の収益力を評価するうえで特筆すべきポイントと言える。特に昨今のインフレに伴う厳しい収益環境にあるなか、これまで進めてきた筋肉質なコスト構造への転換が奏功し、各経費率(原価率、人件費率、諸経費率)はコロナ禍においても安定した水準を維持することができた。
3. 2024年2月期の業績見通し
2024年2月期の業績予想について同社は、売上収益を前期比19.2%増の141,000百万円、営業利益を同27.9%増の6,500百万円と協力金がはく落するものの、大幅な増収増益を見込んでいる。売上収益は全国旅行支援による観光客増やインバウンドの回復、コロナ5類への移行(5月8日予定)などが追い風となるほか、サンジェルマン等の連結効果(9ヶ月分の上乗せ)も増収に寄与する前提である。実質既存店売上高(連結)はコロナ禍前比89.8%を想定。新規出店は30店舗(退店23店舗)を計画しており、成長回帰に向けた投資を再開していく方針である。損益面では、厳しい収益環境が続くうえ、協力金のはく落がマイナス要因となるものの、売上収益の伸びや筋肉質なコスト構造を引き続き維持強化すること等により増益を確保する見通しである。
4. 今後の方向性
同社は新たに3ヶ年の中期経営計画(ローリングプラン)を公表した。1) アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し、2) グループ連邦経営のさらなる進化、3) DX推進による生産性の向上・人財不足への対応、といった成長戦略の3 本の柱に見直しはなく、「食を通じて、ステークホルダーに対し、『豊かさ』を提供し続ける企業グループ」を目指していく方向性である。特に、2024年2月期を「STEP」と位置付け、2025年2月期以降の「JUMP」に向けて、既存店の更なる質の向上、「守り」から「攻め」への投資の再開、人財不足への対応などに取り組む方針である。最終年度である2026年2月期の業績目標として、売上収益1,540億円、営業利益108億円、調整後EBITDA266億円を掲げており、毎期30店舗(2025年2月期~2026年2月期)の新規出店等により、成長軌道に回帰させるシナリオを描いている。
■Key Points
・2023年2月期の業績は協力金等の減少により表面上は増収減益ながら、協力金の影響を除くと、実質的には増収増益(黒字化)を達成
・ベーカリー業態を展開するサンジェルマン等のM&Aでは戦略的な進展も図ることができた
・2024年2月期も既存店の回復(コロナ禍前比89.8%)や新規出店(30店舗)により増収増益を見込む
・新たに3ヶ年の中期経営計画を公表。アフターコロナを見据えた成長戦略により、成長回帰を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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