ストレージ王、売上高・営業利益は前年同程度の実績 2024年1月期は業務提携によるシナジー創出を狙う
目次
荒川滋郎氏:本日はお忙しい中、株式会社ストレージ王の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。この説明会は、当社の2023年1月期の決算について、投資家のみなさまにご理解いただくことを目的としています。私は代表取締役の荒川滋郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、本説明会の流れについてご説明します。まず、先週開示した2023年1月期の決算と2024年1月期の業績見通し・施策についてご説明したのち、事業計画および成長可能性についてお話しします。
時間の都合上、会社の概要のご説明は割愛させていただきます。また、ご質問については最後にまとめて回答させていただきます。
2023年1月期業績
2023年1月期決算の概要についてご説明します。売上高と営業利益は前年並みの数字で着地しました。トランクルーム運営の売上高は、予算比104.2パーセントです。
開発分譲案件は、予定していた大型のプロジェクトについてはすべて完成・売却しましたが、建築資材の高騰などもあり、コンテナ案件の売却と既存商業施設への出店が計画を下回ったため、予算は未達となりました。
2023年1月期決算の概要_PL
売上高と営業利益の数値です。トランクルームの売上高は前期比9,000万円増の6億4,600万円と、順調に推移しています。2023年1月期は15店舗を開業し、部屋数は864部屋増加しました。増加した部屋の稼働率を早期に高めることが最大の課題であり、個人のお客さまに加え、法人向けの営業活動など、営業体制を強化していきます。
開発分譲案件は、予定していた大型案件はすべて売却が完了したものの、一部の小型案件の売却が足りなかったため、売上高は前期比9,400万円減の24億1,800万円となりました。一方で、開発分譲案件は原価を削減できたため、営業利益は前期比40万円減の1億5,300万円で着地しました。
2023年1月期決算の概要_PL
損益計算書です。売上高は前期比300万円減の30億6,500万円となりました。売上原価は前期比3,800万円減少し、売上総利益は前期比3,400万円増の5億200万円となりました。一方で、さまざまな体制強化を行ったことにより、販管費は前期比で3,400万円増加しました。その結果、営業利益は前期比40万円減の1億5,300万円となりました。
経常利益は前期比900万円減の1億4,800万円です。一昨年度に特別利益が3,600万円ほどあった関係で、税引前当期純利益は前期比4,500万円減となり、当期純利益は前期比2,000万円減の1億200万円となりました。
2023年1月期決算の概要_BS
貸借対照表です。総資産は18億1,900万円となりました。資産の部は、開発分譲案件の売却により現預金が増加し、総資産の45パーセントを占める8億3,100万円となりました。負債の部は、大型案件の売却により短期借入金はすべて返済し、長期借入金が6億1,300万円となっています。
これらにより、流動比率は652.6パーセント、自己資本比率は50.4パーセントとなりました。
2023年1月期決算の概要_CF
キャッシュ・フローの状況です。2023年1月末に開発分譲案件を売却したことにより、2023年1月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2億7,500万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1億200万円のマイナスです。新規店舗に対する敷金の差し入れと投資有価証券の取得、新店舗の開業に伴う固定資産の取得によるものです。フリーキャッシュ・フローは1億7,300万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは2億6,800万円のプラスです。プロジェクト資金と運転資金の返済が2億8,600万円、運転資金の借り入れが3億7,900万円、上場に伴う株式発行による収入が1億8,100万円となっています。
以上により、期末の現金および現金同等物は8億3,100万円となりました。
2023年1月期トピック_パルマとの業務提携
当社は、2022年11月にトランクルーム事業を行う株式会社パルマと業務提携契約を締結しました。同社とは従前より、保証事業などでの取引がありました。今回の提携は、トランクルーム用の不動産の開発、物件売却時の連携、効率的な受付業務体制の構築、リーシング力の強化などを目的としています。
当社やパルマが扱うトランクルームは、早期に稼働率を上げることを目的とするため、延べ床面積200坪程度の小型物件を中心に開発しています。その結果、1件あたりの不動産の価格は5億円から7億円の規模となっています。
不動産投資家の中には、10億円以上の規模での不動産取得を希望される方も多くいらっしゃるため、当社のように物件を売却する側もある程度の規模が必要となります。
その点で、パルマとトランクルーム施設のスペック等を共有するなどして、売却側として規模や品質の向上を図り、有力な不動産投資家開拓のための連携や運営の協力など、幅広い提携を検討しています。
直近では、2023年1月にオープンした大型案件の開業業務をお手伝いいただくなど、さまざまな取り組みで連携を図っているところです。
2023年1月期トピック_クリアルとの業務提携
2023年1月に、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL(クリアル)」を運営するクリアル株式会社と業務提携を結びました。同社は不動産特定共同事業法などを活用し、不動産の小口化に取り組んでいます。
同社とは、トランクルームの開発・売却に加え、例えばオフィス案件をコンバージョンして一部をトランクルームにするなど、さまざまな取り組みが検討できると思っています。物件の開発や売却先の安定的な確保に向けて、さまざまな案件を検討しているところです。
事業の状況_開発分譲
各事業の状況についてご説明します。まず、大型案件の売却です。江戸川橋のトランクルーム、尾山台のトランクルーム、本八幡のトランクルーム、新大塚のトランクルームは新築で、屋内型のトランクルームです。これらはすべて、1月末までに売却を完了しています。
スライド右上の画像は江戸川橋のトランクルームです。東京都新宿区の江戸川橋駅に近く、マンションが非常に多いエリアで、稼働率は順調に伸びています。
スライド右下の画像は、当社の地元、千葉県市川市南八幡にある本八幡トランクルームです。ショッピングセンターに近く、車や人の通りが非常に多いため、こちらも順調に立ち上がっています。
藤岡ガレージオフィスは、昨年12月に栃木県にオープンした案件です。いわゆるロードサイド型のオフィスで、1階はガレージ、2階はオフィスという新しいかたちの案件として取り組んでいるところです。
事業の状況_運営管理
運営管理の状況です。部屋数は前期比111パーセントと、10パーセント以上増えています。2年以上の物件の稼働率は前期比103パーセントです。運営管理の売上高は前期比116パーセントで、運営面については堅調に推移しています。部屋数は8,574部屋に到達しました。
事業の状況_運営管理
8,574部屋の分布です。当社は岡山にある会社をM&Aで合併した関係もあり、関東と岡山を中心に事業展開しています。2023年1月31日時点で149店舗あり、この2月に2店舗をオープンしたため、現在は151店舗で8,800部屋余りのトランクルームを運営しています。
地域別では、岡山は42店舗で2,064部屋、東京は40店舗で3,090部屋と、全国に展開しています。
事業の状況_運営管理
過去3年間の稼働率の推移です。月次実績ということで、毎月グラフをみなさまに開示しています。スライドの黄緑色の折れ線グラフは稼働率です。直近になり若干低下しているのは、新規の大型案件が開業した関係で起こった一時的なものです。
トランクルームは、オープン後にお客さまにトランクルームができたことを認識していただき、借りていただくことが多いため、1年目、2年目の稼働率が上がりにくい傾向があります。それが稼働率が低下した要因だと考えています。
2年以上の稼働率については、2020年頃は83パーセント台で、2023年に入って86パーセント台となり、一時は87パーセント台に到達しています。稼働が2年を超えて安定してきた物件については、2020年から2023年にかけて稼働率が上がっていることがわかります。
このように、オープン後の1年から2年は稼働率が少し低下しますが、2年経過すると順調に売上・利益に貢献しています。
2024年1月期の見通し
今後の業績見通しです。まず、今期の予算についてご説明します。2024年1月期の売上高は前年同期比1億8,100万円増の32億4,700万円を見込んでいます。営業利益は前年同期比600万円増の1億6,000万円、経常利益は前年同期比1,900万円増の1億6,800万円です。当期純利益は1億1,400万円を目標としています。
2024年1月期の見通し
四半期ごとの売上と営業利益です。昨年度は第3四半期までが赤字で、第4四半期で売上・利益を上げて取り戻すというところで非常にご心配かけましたが、今期についてもその傾向から抜け出せていません。
当社が開発するトランクルームは、プロジェクト全体の売上規模が5億円から7億円で、3億円から5億円規模の底地を買って開発しています。この3億円から5億円規模の土地の動きが、年末の12月から年度末の3月にかけて非常に活発になります。当社はその時期に厳選して物件を仕入れるため、どうしても3月頃の物件取得が多くなります。
また、当社が建てる建物は鉄骨造のため、10ヶ月ほどの開発期間を要します。そのため、1月末に近いタイミングでの完成・売却となり、第4四半期に開発分譲案件の売上・利益が大きく上がります。
後ほど物件の仕入数等についてご説明しますが、物件の仕入や工程管理を十分に行い、1月までには売却します。第1四半期から第3四半期までの数値は低空飛行となるものの、年度を通してきちんとした数字を上げることに取り組んでいます。
取り組み_提携で狙う効果
今期の重点施策についてご説明します。当社は、先ほどお伝えしたクリアル、パルマ、そして一昨年度に提携したタスキなどの外部企業との提携で狙う効果に非常に期待しています。
事務効率化による管理部屋数の増加についてはパルマとの提携、販路の拡大、出店場所の拡大ではクリアル、タスキとの連携など、各社のお力も借りながら優良なトランクルームを作り運営していくことで、さまざまな提携効果を出していきたいと考えています。
取り組み_開発・出店予定
具体的な物件についてです。2023年1月期は、新たな取り組みとして2件あります。1つは、ユーカリが丘のトランクルームで、商業施設内へ出店したものです。もう1つは、藤岡町のガレージオフィスで、1階はガレージ、2階はオフィスという新しいタイプの物件です。
2024年1月期の計画として、用地取得済みの2件をご紹介します。1つ目は、沖縄那覇市のトランクルームです。建築許可も取得済みで、これから工事に入ります。沖縄で取り組むのは初めてですが、トランクルームの単価が高いエリアでもあります。1階はオフィス、2階以上はトランクルームというタイプの新築案件を建てるべく、事業を推進しています。
2つ目は、スライド右下の画像の千葉県市川市のマンション併設店舗です。既存マンションの1階、2階部分を企業が倉庫として使っていましたが、当社が買い取りました。1階、2階はトランクルームとして改装し、3階、4階はそのまま住居とし、複合店舗として開発しています。大型既存店舗の改装とマンション併設という新たな取り組みです。
さらに、2月24日にマンション5部屋を取得したというリリース、3月17日に目黒区のトランクルーム用地261平米を取得したというリリースを出しています。こちらの案件については、新たな物件を開発して売却する予定で取り組んでいます。
この他にも都内でトランクルーム用地の取得について調整しており、取得後にリリースできるように準備しているところです。
取り組み_トランクルーム以外も含む不動産による利益の獲得
今期はトランクルーム以外の不動産でも利益を獲得していくことを想定しています。当社は、トランクルームを新築して投資家に売却することを利益の大きな柱にしています。しかし、当社のトランクルームを購入してくださる不動産投資家は、トランクルームだけを取得しているわけではなく、オフィスや住宅、ホテルなど、さまざまな収益物件を取得されます。
当社は手持ちの商品が主にトランクルームのため、トランクルームを買っていただけるように投資家と商談している一方で、先ほどお伝えした住宅と複合している建物や、「事務所の一部をトランクルームにできないか?」などの相談も受けています。
商業施設においても、一部をトランクルームにすることや、一部が商業施設で一部が事務所といった建物の紹介を受けるケースもあります。そのようなものをコンバージョンしたり、収益不動産として工夫する中で、再販が可能だということに気がつきました。
当社はトランクルーム以外にも、不動産投資家が求めるさまざまな利回り物件の売却に、あらためて取り組みたいと考えています。物件を仕入れる力・売る力を活かすことにより、不動産投資家の幅広いニーズに対応することで、今期の利益の柱の1つにしていきたいと考えて取り組んでいます。
取り組み_不動産投資家ニーズに対応して収益獲得
現在、当社が不動産を売却している投資家は、大きく3つのカテゴリーに分かれています。
1つ目は、トランクルーム事業者です。自社でもトランクルームを開発している事業者や、規模の経済を獲得するために既存のトランクルームの購入を希望する事業者もいます。当社は、このような方への販売実績があります。
2つ目は、大型案件も扱う投資家です。利回り目的で不動産に投資している大型投資家は、当然ながらホテルや住宅、オフィス、物流施設にも分散投資しています。当社のトランクルームは、大型投資家が扱う案件として1件あたりのサイズは小さいですが、追加投資が少ないとご理解いただいています。
例えば、住宅やオフィスには台所やお風呂などの水回りがあるため、10年、20年保有していると、修繕費などの追加投資がかかります。
しかし、当社のトランクルームは基本的に水回りがないため、初期投資を抑えられるだけではなく、他の案件と比べて新たな追加投資が少ない特性があります。このようなことから、投資家に当社のトランクルームを購入していただいています。
先ほどもお伝えしましたが、今後、投資家の方にさまざまな案件を売却する機会があると考えています。また、トランクルームはボラティリティが非常に少ない不動産として、より多くの投資家に注目されているため、当社のトランクルームが販売できる環境を求めていきたいと考えています。
3つ目は、短期償却案件・小型案件の投資家です。コンテナ型トランクルームは通常の建物と比べて償却が短く、案件の規模も小さいということで購入する投資家もいます。当社は引き続き、コンテナ型トランクルームの開発や藤岡のガレージオフィスといった短期償却案件の販売を行うことで、さまざまな投資家を開拓していきたいと考えています。
大型案件も扱う投資家については、期末に売却した4物件の中で新たな開拓を行っています。有価証券報告書が開示前のため、具体的な名称はお伝えできませんが、売却先の拡大も達成しています。
3か年の見通し
事業計画について、3ヶ年の業績見通しをご説明します。今年度の売上高は32億4,700万円、当期純利益は1億1,400万円を見込んでいます。
先ほどお伝えしたとおり、物件を仕入れてから売却するまで約1年のタームがあります。したがって、具体的な土地を仕入れていない段階での計画ですが、事業の目的として、このようなかたちで会社の規模を大きくしていきたいと考えています。
その後はリーシングによってしっかりと空室を埋めていきます。事業の規模が急激に大きくなることはありませんが、稼働率の上昇により、収益の安定化を目指します。
質疑応答:採用活動の進捗状況について
「開発のスピード、ひいては売上を伸ばすために物理的に開発・営業の人数を増やす必要があります。人材の確保が必要不可欠だと思いますが、採用活動は順調に進んでいるのでしょうか?」というご質問です。
昨年度まで開発要員は関東に2名、岡山に1名でしたが、案件数を増やすため、昨年9月に1名、今年3月に1名増員し、5名体制になっています。
また、当社にとって設計事務所やゼネコンの協力は非常に重要なため、取引実績のある企業に加え、新しいゼネコンや設計事務所の拡大に努めています。
質疑応答:沖縄県にあるオフィス併設ビルの完成時期について
「沖縄県のオフィス併設ビルは、トランクルーム以上に工期が長くなりそうですが、今期中に完成するものでしょうか?」というご質問です。
今年9月の完成を目指し、すでに建設プロセスに入っています。先日も打ち合わせを行いましたが、規模がそれほど大きくないため、現状では9月に完成すると考えています。
質疑応答:売上・利益の見通しについて
「2026年までの売上予想については、堅めに予想した結果ということでよいでしょうか? 成長産業だということに加え、パルマおよびクリアルとの提携で、この成長率はあまりにも低く、時価総額の上積みが期待できないのではないでしょうか。せめて8から10パーセントの成長率は欲しいところです」というご質問です。
おっしゃるとおりです。大きな目標を打ち出す手法もありますが、当社は土地の仕入から1年で売上計上される事業モデルです。土地の仕入が確定しておらず、根拠が薄い段階で「ここまで伸びます」とはお伝えしにくいため、控えめな数字になっていると考えています。
一方で、慎重にならなければならない部分もあります。今回、アメリカで0.25パーセントの利上げがありました。当社は借入金で土地を仕入れて物件を開発しているため、自分たちの努力だけでは決められない部分もあります。
世界情勢を見ている中で、過大な数字を挙げて投資家のみなさまに誤解を与えることのないよう、手が届く数字を挙げていますが、事業が進むにつれて売上が上げられる状況が見えれば上方修正していきたいと考えています。現時点では、手堅く見ているとご理解ください。
質疑応答:業績見通しの成長率がトランクルームの成長率より低い理由について
「ここ数年の業績見通しの成長率が、トランクルームの成長率より低い理由を教えてください。上場企業として、トランクルーム全体の成長率を上回ってほしいところです」というご質問です。
当社としては、当然ながらトランクルーム業界を上回るスピードで、きちんと売上を伸ばしていきたいと考えています。
一方で、すでに運営しているトランクルームをしっかりとリーシングするところにも力を入れていきたいと考えています。こちらもある程度手堅く見ていますが、予想を上回る数字にしていきたいと思います。
トランクルームの成長率について、年間5パーセント伸びるなどいろいろな予想があります。日本の人口が頭打ちになってくる中、どれだけ競争に勝っていけるかというところがありますが、東京都23区の案件については当社が業界の中でも開発スピードが早いと思います。トランクルームは陣取り合戦でもあるため、よい立地を抑えることに尽力したいと思います。
質疑応答:業界における優位性について
「業界における御社の優位性は何でしょうか?」というご質問です。
当社のトランクルームの質は、業界の中で一番優れていると自負しています。トランクルームはお客さまの大切な荷物を預かるため、特に空調と断熱が重要だと考えています。
荷物を預かる上で避けなければならないのは、カビが生えることです。カビは空気が淀んでいて湿気が高いと繁殖しやすい性質がありますが、当社の屋内型トランクルームには、全館で空調を取り入れています。また、サーキュレーターで空気を循環させており、非常にカビが生えにくい対策を取っています。
断熱性能も非常に重要です。外気で温度が急激に変化すると湿気を帯びやすくなりますが、当社は業界の中でも非常に高い断熱のスペックを誇っています。
好みの問題もあると思いますが、当社の屋内型トランクルームはカーペットを敷いて、お客さまの大切な荷物が傷つきにくいようにしています。また、窓を多めにして明るい環境を作っています。女性の方でも利用しやすい、物置ではなくクローゼットのようなイメージのトランクルームを作り込んでいるところが、競合と比較して優れている点だと思います。
コンテナ型トランクルームは、空調が整っていない案件がほとんどです。しかし、当社は当時親会社であった株式会社デベロップのコンテナを使った建築事業からスタートしているため、コンテナの品質でも、コンテナ建築の安全性でも優れています。屋内型・コンテナ型トランクルーム両方の建築において、業界の中でも非常に優れていると自負しています。
質疑応答:棚卸資産および固定負債について
「バランスシートについて、棚卸資産、固定負債とは何のことでしょうか?」というご質問です。
棚卸資産は、物件として売り切っているものもありますが、現在開発中の案件がほとんどです。例えば、前期末の沖縄県那覇市や千葉県市川市の案件など、先期に購入したもののまだ売却していない案件が棚卸資産に計上されています。
固定負債の多くは長期借入金です。太陽光発電所を所有している部分の借入もありますし、運転資金として金融の変化に備えて手持ちの資金を厚めにするために借りているものもあります。
質疑応答:時価総額について
「流通時価総額について、今後どのようにして充足する予定でしょうか?」というご質問です。
3月16日に発表したとおり、流通時価総額は、グロース市場上場基準の5億円に満たない状況です。時価総額そのものも10億円前後と非常に小さいサイズで、投資家の方にはご心配をおかけして大変申し訳なく思っています。
現在、流通株式比率は約38パーセントですが、大株主のデベロップが約49パーセントの株式を持っており、3月28日に立会外分売で5パーセントの株式を売り出していただく予定です。引き続き、いろいろなかたちで株式の一部を売り出していただき、まずは流通株式数を増やすことを考えています。
当然ですが、流通株式数が増えても株価が上がらなければ、流通時価総額は上がりません。株価を上げる対策として、当社の事業がここまで進んでいるということを、投資家の方にきちんと伝えていくことが大切だと思っています。
当社は、物件の稼働状況については毎月リリースしており、物件も取得する度にリリースしています。先般も、土地や不動産の購入についてリリースしました。今期の事業がしっかり進むかどうかをきちんと開示し、投資家の方の理解を得て、株価を少しでも上げていきたいと思います。
流通株式数も東京証券取引所や証券会社、信託銀行など、専門の方に相談しており、早期に5億円クリアを目指して対策を打っているところです。
質疑応答:不動産取得の相談について
「相続で不動産を取得する予定です。岩手県盛岡市ですが、相談できるでしょうか?」というご質問です。
不動産は物件次第のため、どの県でも取り組める可能性があります。具体的に教えていただければ、できる・できないも含めてご回答します。
当社は事業範囲として、栃木県や茨城県あたりにまで出店しています。しかし、主力で展開しているコンテナ型トランクルームは雪に弱い部分があるため、北へ進めていなかったのが事実です。
そのような意味で、エリアは南に寄っている部分がありますが、あくまでも物件次第だと思いますので、具体的に教えていただければ検討します。
質疑応答:株価の上昇について
「流通時価総額が上場維持基準に満たないということで、株価と流通株式数の改善を軸に、基準適合に向けた計画を策定されており、『第3四半期までに適合を目指す』という記載が計画中にありました。
企業体質から、第3四半期までには赤字に近い状況になることが想像に難くなく、株価や企業価値が上がらず、目標が達成されないことが危惧されます。株価を上げることはできるのでしょうか」というご質問です。
ご指摘のとおり、発表については第3四半期を目処としていますが、そこまで待たずに実施する手法もありますので、現在、専門家の意見も聞きながら対策を練っているところです。
当社としては、クリアできるような手が打てると思って対策に取り組んでいますが、現時点では株価について必ず達成できるとお伝えすることはできません。しかし、当社としては年度内に基準をきちんとクリアできると考えて着実に手を打っている状態です。
歯に物が挟まったような言い方で恐縮ですが、一所懸命に対策をとっていますので、期待していただければと思います。
質疑応答:営業利益の増益率について
「2024年1月期の営業利益の増益率が増収率よりも小幅に止まる主な要因を教えてください」というご質問です。
建設費の上昇により、物件売却の粗利率については昨年度よりも若干低く見ていることが要因です。エレベーターなどの資材の調達や鉄骨・他の部材についても、4月以降は5パーセント程度の値上げが予想されています。この部分を事業計画に織り込んでいるため、利益率は売上高の伸び率よりも若干低めになっています。
当社としては、工事原価を少しでも下げるためにさまざまな工夫を行い、物件の売却以外にも仲介のようなかたちで不動産収入を上げることにより、カバーしていきたいと思っています。
質疑応答:収益認識会計基準適用による売上高への影響について
「2023年1月期からの収益認識会計基準への適応は損益には影響がないとのことですが、売上高にも影響はないのでしょうか?」というご質問です。
会計士の方とも相談していますが、当社の売上高の基準に大きな変更はないと確認が取れています。したがって、損益には影響しないということで取り組んでいるところです。
物件開発については、現時点では確定していない段階のため、まだリリースできていませんが、案件の仕込みには鋭意取り組んでいます。想定している売上高は、ある程度確保できる見通しです。利益率・利益額については、建築費の高騰等のため非常に厳しめに見ています。
当社は不動産業者として、不動産投資家の方にさまざまな物件を販売していきたいと思っています。そのため、投資家のネットワークの中でさまざまな取り組みを実施することで、利益の確保を図っていくことを目指していきます。
物件をリーシングで埋めていく部分については、すでに出来上がっている物件を埋めていくため、埋めれば埋めるほど利益として上がってきますし、加えて不動産会社としてのさまざまな取り組みについても建築費とは関係なく利益を上げられる可能性があるため、少しでも利益を確保して補っていくことを目指しています。
質疑応答:今後の分配の実施について
「分配が発表されていますが、今後も複数回実施される見込みでしょうか?」というご質問です。
現段階では未定です。現在は、証券会社や信託銀行と一緒にさまざまな手法を模索してる最中です。第1回目は3月28日に実施しますが、次回以降も立会外分売を実施するかについてはまだ決まっていません。少しでも株価に影響を与えにくい手段を選んでいる最中です。
質疑応答:トランクルーム事業の競合による影響について
「トランクルーム事業に成長性はあると思いますが、今後の競合の増加と影響についてはどのように考えていますか?」というご質問です。
トランクルーム市場は、ノウハウが高い他の市場に比べて参入障壁が低いことは、上場の際のリスク要因にも記載しました。極端な話ですが、オフィスを運営している事業者の方が、オフィスとしては貸さずに、間仕切りをしてトランクルームとして貸し出すことも可能なため、そのような意味では競合が発生しやすい業界だと思っています。
当社としては、建物の性能で差別化を図ることで、競合に勝っていきたいと考えています。それ以外にも、トランクルーム運営においては規模の経済がどうしても働いてくると思っています。
トランクルームは、オフィスや住宅に比べて、一つひとつの間仕切りが小さいため、1部屋あたりの契約単価が低く設定されています。例えば、住宅ではワンルームの建物でも10万円前後の値段になりますが、トランクルームでは1万円を切る案件もあります。非常に小割にして貸しているため、リーシングにも手間がかかります。
初めてトランクルームを利用する方からは、「どの大きさのトランクルームを借りたらよいか」など、さまざまなご相談を受けます。そのような部分で専門性が必要で、ある程度トランクルームを理解しているスタッフを抱えなければいけません。
店舗数を増やしたからといってスタッフの人数が増えるわけではないため、規模が大きくなればなるほど、運営の効率化が目指せる側面はあります。
当社としては、パルマとの提携も含め、運営の効率化を図ることにより、競合に対してコスト的な優位性や建物のハード面での優位性といった部分で勝ち抜いていきたいと考えています。
質疑応答:強みと弱みについて
「強みと弱みを教えてください」というご質問です。
もともと建設業の会社の子会社として出発しているため、建築の分野は非常に強いと思っています。不動産業界の中でさまざまな開発に携わってきたメンバーも揃えているため、不動産や土地の仕入についてもある程度の強さをもっています。
不動産や土地の情報には個別性があるため、不動産の業界は非常に不完全情報な市場だと思っています。そのような中で、トランクルームに適した用地を仕入れる力は実績がある不動産会社に持ち込まれる情報が一番新しく、強いという現象が起こりやすいです。
当社に関しては、上場したことや『日経不動産マーケット情報』といった情報誌等にトランクルーム開発を行っていることを掲載したこともあり、トランクルームに適する用地を持っている方が当社に早めにご相談してくださることも、強みとして出てきているイメージです。
したがって、不動産に適した用地の情報が入りやすくなってきたことが、不動産開発において非常に強みになってきています。
また、物件開発を毎年4件くらいのペースで実施しており、不動産の建物やそれに近いスペックのものを繰り返し造っているため、複数回にわたって取引きしていただいているゼネコンも出てきています。
そのような部分で、不動産のコスト感を見るスピードも上がった結果、持ち込まれたさまざまな土地情報に対してスピード感をもって対応できるようになってきたため、鮮度の良い物件情報が入ってくるところも、当社の強みになっていると感じています。
今後はリーシングやお客さまにご購入いただく力をつけていき、物件の稼働率を上げることをますます磨いていくことで、より一層強くなれると感じています。
一方で、弱みという意味では、やはりまだ会社の規模が小さく、時価総額が小さい点です。分配の話も含めてみなさまにご心配いただいていますが、株価に関してはボラティリティが非常に大きい状態のため、企業として実力をつけ、少しでも時価総額を上げていくことを目指していきます。
質疑応答:競合と比較した際の優位性について
「競合と比較した場合の優位性」についてのご質問です。
物件情報については、いわゆる不動産の業者や信託銀行からさまざまな情報が入ってくるため、不動産の情報が入手しやすくなっています。ただし、現在は土地の値段が高騰している状態ですので、当社としてはより良い情報を見極めながら、厳選された情報をもとに投資していきます。金融情勢も見ながら、慎重に考えていかなければいけない部分と考えています。
一方で、不動産のマーケットについては、優良な収益物件を欲している不動産投資家の方がまだ多くいらっしゃいます。そのような中で、追加投資が少なく、いったん稼働率が上がればボラティリティが少ないというトランクルームの優位性を不動産投資家の方にご理解いただきつつあります。
より多くの投資家の方にトランクルームという投資商品を見ていただくことが広まっており、トランクルームを利用していただく方も増えています。
トランクルームの使われ方についてお話しすると、現状ではマンションが高止まりしている状態にあります。例えば、20年前は3LDKは75平米の印象があったかと思いますが、今は土地の価格上昇や建設費の上昇により、3LDKが65平米になり、収納部分が削られやすくなっています。
そのような中で、「実際入居してみたら物が入りにくかった」といったことが起こっています。日本は四季があるため、夏物と冬物を使い分ける必要があります。扇風機やストーブ、こたつといった季節の機材が収納できず、トランクルームをご利用いただくケースもあります。
また、最近はテレワークやリモートワークが増えているため、自宅でお仕事をされる方が増えてきましたが、自宅はすっきり使いたいということで、トランクルームを新たに契約していただくこともあります。
さらに、家にこもる時間が長くなり、さまざまな種類の調理家電を増やした家庭で、食料や日用品のストックも増えたため、ストック用のトランクルームを借りるなど、トランクルームの新たな利用者が増加しています。
トランクルームで荷物を預ける経験を一度していただくと、「家の中がすっきりして非常によかった」というお声をいただきます。トランクルームを利用するハードルは高いのですが、一度利用していただくと長く利用していただける商品になっています。
したがって、荷物が増えていく子育て世代からの需要や、時間的な調整弁、都心への引越しに伴う場所での調整弁などでトランクルームを便利に利用していただく機会がこれからもあると思っています。
当社としては、トランクルーム市場はまだ伸びると考えています。今後もより品質の高いトランクルームの供給と、1人でも多くの方にトランクルームの便利さを知っていただくような活動を行っていきます。
日本のトランクルームの世帯普及率は1パーセント前後ですが、トランクルーム先進国のアメリカでは10パーセント近い世帯利用率があると聞いています。
もちろん文化も国情も違うため、一挙に日本のトランクルームの利用率が10パーセントに近づくということはありませんが、日本のトランクルームの利用には伸びしろがあり、これからトランクルームを便利に利用していただける余地が非常に大きいと思っています。
業界全体も伸びていく中で、当社としては土地の仕入力、物件の売却力、リーシング力を強化することで、トランクルーム業界の中でも成長率を高めていくことを施策として取り組んでいきたいと思っています。
荒川氏からのご挨拶
当社としては、トランクルームを便利に利用していただいたり、投資家の方に対して優良な物件を供給することに今後も取り組んでいきます。地道な取り組みではありますが、人に役立つようなトランクルームをきちんと造り、それを便利に使っていただくことを目指していきます。
株主のみなさま、あるいは株主をと考えていただいているみなさまにおいては、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間をありがとうございました。
関連銘柄
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