まだ“揺れ動き”の範囲内…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/01/26 10:53

◆ 「早期の米利上げ停止」が再燃… - “129円前半”に下落


欧州タイムにかけてじりじりと上値を伸ばしたものの、その後は“ドル売り”が優勢となりました。

昨日発表の「カナダ政策金利」は“8会合連続の利上げ(0.25%)”となったものの、声明では「次回以降は現状維持」との姿勢が示されたからです。
これが「米国も早期に様子見入り…?」との思惑を誘い、米10年債利回りは“緩やかに低下(3.48%→3.42%)”しました。
一方で『日銀新総裁就任から半年以内にYCC政策撤廃の可能性』との前田日銀前理事発言も、“円買い”として機能したと見られるところです。
こうして冒頭で記した“ドル売り”につながり、ドル円は“130円割れ(安値は129.259円)”へと押し戻されていきました。

◆ こうなると“上値の重さ”を意識せざるを得ないが…?


一方で「FRBのタカ派姿勢」が急速に軟化する可能性は低く、「日米金利格差」もすぐさま縮小する訳ではありません。
このため加速度的な“ドル売り”にはつながっておらず、“下値も限定的”というのが実状といえます。
それでも連日記す“20日移動平均線(昨日は130.635円、本日は130.399円にさらに低下)”で跳ね返された格好ですので、目先は“上値の重さ”を意識せざるを得ないのが実状といえます。

◆ それでも「米労働市場ひっ迫」との思惑は残る…!?


ただ本日は「米10-12月期GDP」と「新規失業保険申請件数」の発表が予定されています。
前者は“伸び鈍化(前期比年率+2.6%)”が見込まれていますが、一方で後者は前回に“20万件割れ(19.0万人)”を記録したという経緯があります。
このため後者が仮に“2週連続の20万件割れ”ともなれば、「米労働市場ひっ迫→米利上げ停止観測後退」との思惑が台頭してもおかしくないことになります。
つまり“様子見(結果を見るまでは…)”になりやすい状況下、このまま“さらなる下値追い”というのは微妙といわざるを得ない…?

筆者想定より“下方向”に振れた格好といえますが、まだ“揺れ動き”の範囲内、基本は“落ち着き処を探る”の継続と見たいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しております。

131.885(1/6~1/16の61.8%戻し)
131.672(ピボットハイブレイクアウト)
131.572(1/18高値)
131.107(1/24高値、ピボット2ndレジスタンス)
131.000(大台、日足・一目均衡表基準線)
130.904(週足・一目均衡表先行スパン上限)
130.581(1/25高値)
上値5:130.399(20日移動平均線、1/24~1/25の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値4:130.183(1/24~1/25の50%戻し)
上値3:129.965(1/24~1/25の38.2%戻し、1/25高値後の61.8%戻し、大台)
上値2:129.849(1/25高値後の50%戻し)
上値1:129.676(1/25高値後の38.2%戻し)
前営業日終値:129.573
下値1:129.399(日足・一目均衡表転換線)
下値2:129.259(1/25安値)
下値3:129.167(1/16~1/24の50%押し)
下値4:129.038(1/23安値、ピボット1stサポート、大台)
下値5:128.801(-1σ)
128.709(1/16~1/24の61.8%押し)
128.482(ピボット2ndサポート)
128.343(1/20安値)
128.000(大台)
127.770(1/19安値、ピボットローブレイクアウト)
127.554(1/18安値)

《10:30》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想