目先は“やや下方向”、ただ“神経質な揺れ動き”…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/01/10 11:08

◆ 米雇用統計&ISM非製造業景況指数で一転… - “131円台”へ


先週末の米雇用統計では、概ね“好内容(非農業部門雇用者数は+22.3万人/失業率は3.5%)”が示されました。
ただ平均時給が“伸び鈍化(前月比+0.3%)”を示したことで、にわかに「賃金インフレ鈍化」が囃されました。
またISM非製造業景況指数が“想定外の50割れ(前月比△6.9ポイントの49.6)”となったことから、「米景気失速懸念」も台頭するに至っています。
このため「米政策金利は5%手前でピークアウト」との思惑が台頭し、先週末・そして週明けとドルは主要通貨に対して“最弱通貨”の地位に甘んじています。

一方、「中国ゼロコロナ政策撤廃」は進行し、8日には「入国者の隔離措置終了」も打ち出されました。
この影響は「中国経済再開への期待」と「コロナ感染再拡大という懸念」に二分されていますが、ファーストアクションとしては“前者(景気回復期待)”が上回っています。
このためリスク通貨に対して“円売り”も台頭しやすくなっており、ドル円に関しては“上値が重い”のもまた事実です。

◆ ただ“方向感定まらず”は変わっていない…?


米雇用統計前までの“賃金インフレ警戒→米利上げ観測長期化”から、“米利上げペース鈍化→米10年債利回り低下”へと一転したマーケットですが、まだまだ“方向感定まらず”を脱したとはいい難いのが実状といえます。
特に今週は「パウエルFRB議長発言(本日10日)」、そして注目の「米CPI(12日)」が予定されているだけに、思惑を“一方向へ傾けづらい”というマーケット環境でもあります。
昨日の“NYダウ反落→株高の連鎖ストップ”を考えれば、“リスク選好→円売り”が緩む可能性はありますが、ただそれでどこまで…?

“やや下方向”を目先は想定しつつ、しかし“方向感定まらず”は継続と見たいところです。
“膠着”というより“神経質な揺れ動き”を想定しながら…。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しております。

134.765(1/6高値)
133.948(1/6~1/9の76.4%戻し、ピボットハイブレイクアウト、大台)
133.843(日足・一目均衡表基準線)
133.443(1/6~1/9の61.8%戻し)
133.293(ピボット2ndレジスタンス)
133.219(20日移動平均線)
133.035(1/6~1/9の50%戻し、大台)
上値5:132.839(50週移動平均線)
上値4:132.655(1/9高値、1/6~1/9の38.2%戻し)
上値3:132.581(ピボット1stレジスタンス)
上値2:132.136(日足・一目均衡表転換線、1/6~1/9の23.6%戻し)
上値1:132.000(大台)
前営業日終値:131.869
下値1:131.305(1/9安値)
下値2:131.231(ピボット1stサポート、-1σ)
下値3:131.000(大台)
下値4:130.747(1/3~1/6の76.4%押し)
下値5:130.593(ピボット2ndサポート)
130.000(大台)
129.933(1/4安値、ピボットローブレイクアウト)
129.661(週足・一目均衡表先行スパン上限)
129.495(22/6/2安値、1/3安値)

《10:40》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想