米ドル/円版“ゆく年くる年”!歴史的な一年の振り返り

著者:津田隆光
投稿:2022/12/30 13:36

米ドル/円の目先注目ポイントは?

米ドル/円・日足・複合チャート
米ドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「135.000円」を上抜け突破するか否か
【シナリオ①】同レートを上抜け突破なら、「140.000円」付近までの上昇もあり得そう
【シナリオ②】同レートで上値抑制なら、「130.000円」付近までの下落も想定
【年末年始の想定“主戦場”(コアレンジ)】「130.000~140.000円」


米ドル/円における喫緊の注目ポイントとして注目していた「130.000円割れ成否」ですが、本稿執筆(30日午前11時)時点までの動きは、「130.000円割れ回避」→「下値固め」→「小反発フロー」となっています。


図1の各メルクマールを見てみると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方で推移していること、3) ローソク足の上方に赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩下がり推移となっている(図1青色点線丸印)ことから、米ドル/円・日足チャートは下降トレンド継続を示すチャート形状であると判断します。


目先の注目ポイントは・・・約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAを基準とする「135.000円」(図1黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて「135.000円」を終値ベースで上抜け突破した場合は、「基準線突破」→「もう一段の上値切り上げ」となる可能性も。当該ケースでは、「(約1年間の市場参加者の平均コストを示す)200日MA(≒136.230円)超え」や「SARの買いサインへの転換」、また「-DI>+DIの乖離縮小」なども伴いながら、BB(ボリンジャーバンド)・+2σラインをややオーバーシュートする「140.000円」(図1Ⓐ赤色線)付近までの上昇もあり得そうです。ただし、現在の赤色雲は分厚い形状(=強い上値抵抗帯)となっていることから、上値余地は限定的となりそうです。

[シナリオ②]
一方で、「135.000円」手前付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「下押しフロー」となりそうです。当該ケースでは、「下降バンドウォークの再開」や「遅行スパンの下放れ」、また「-DI>+DIの乖離拡大」なども伴いながら、BB・-2σラインをややアンダーシュートする「130.000円」(図1Ⓑ水色線)付近までの下落も想定すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、当面※の米ドル/円は上値の重い相場付きが継続する中、「130.000~140.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は、年末年始を挟んだ1~2週間のスパンを想定しています。)

米ドル/円相場は、まさに歴史的な一年に!

米ドル/円・日足チャート+200日MA
米ドル/円・日足チャート+200日MA出所:マネースクエアFXチャート

そんな中、本日30日は22年の最終取引日ということもあり、米ドル/円版の“ゆく年くる年”の意味合いも兼ねて、歴史的ともいえる22年相場を振り返っていきましょう。


今年1月、米FRBによる金融引き締め前倒し観測の台頭もあり、「日米金融政策スタンスの相違(乖離)予測」→「米ドル買い、円売り」の起点となりました。よって、図2にある通り、米ドル/円は1月24日に今年最安値※となる「113.458円」を付けた後、徐々に上値を切り上げる展開に。その後はある程度の“往って来い”もこなしながら、10月21日に今年最高値※となる「151.899円」まで上昇しました。(※22年12月30日午前11時時点)


22年の取引については本稿執筆時点では終了していないことから、あくまで暫定的な結論を述べると、22年における米ドル/円の年間高低差は・・・「38.441円」。


ちなみに、2000年以降、21年末までの22年間の米ドル/円の年間高低差平均は「14.971円」。(当該期間における年間高低差の最大は「24.750円」[08年]、同最小は「8.010円」[19年]。昨年(21年)の年間高低差は「12.912円」。)


つまり、22年の年間高低差(=38.441円)は、2000年以降21年間の年間高低差平均の約2.5倍となる、まさに歴史的な一年であったと総括することができます。


そのような歴史的な一年であり、同時に(ほぼ)“一本調子”の上昇フローとなった米ドル/円ですが、9月および10月には本邦当局による「米ドル売り、円買い」介入で150円超えのモメンタムが弱まり、その後の「米CPIショック」(11/10)でフェーズ(局面)転換の兆しが見え、そして記憶に新しいところでは、“まさかの坂”とも言える「日銀ショック」(12/20)による下落で、今年初めて200日MAを割り込む動きとなりました。こうして振り返ると、まさに私個人の今年の漢字である『弗(ドル)』の動きに集約される1年であったような気がします。


皆さんにとって、22年はどんな1年だったでしょうか。年越しの準備で忙しい中、一度相場環境を振り返り、ゆっくりと個人的な総括をしてみるのもいいかもしれません。


今年一年、当コラムをご覧いただき、誠にありがとうございました。来る23年も何卒よろしくお願いいたします。

皆様におかれましては良いお年をお迎えください。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想