今週は様子見で手を出さずに年越しを

著者:出島 昇
投稿:2022/12/26 17:45

先週は、20日の日銀の緩和修正のサプライズを受け急落し下値確認へ

先週の予測では、27000~28000円のレンジの中でのもみあいを想定していましたが、20日(火)の前場は△77円の27315円と4日ぶりの反発となったものの、午後の日銀金融政策決定会合で事前の予想の現状維持に反して、大規模緩和の修正を発表し、ネガティブサプライズとなりました。

為替は急速な円高が進み、日経平均は一時▲820円の26416円まで急落し、▲669円の26568円で引けました。
21日(水)には、▲298円の26269円まで下げ、終値でも▲180円の26387円と26500円を割り込んで引けました。

この日の引け後の米国市場では、ナイキなどの好決算を受けて、過度な警戒感が和らぎNYダウは△526ドルの33376ドルと反発しました。
これを受けて22日(木)の日経平均は、直近の5日間で1700円強の下落となっていたことで、自律反発も加わって反発となりましたが、海外投資家がクリスマス休暇入りで買い手が少なく△120円の26507円の反発で終わりました。

しかし、引け後の米国市場では、7~9月期のGDPが予想を上回ったことで、利上げ懸念が再燃し、主要3指標そろって大幅下落となり、NYダウは一時▲803ドルの32573ドルまで下げ、終値では▲348ドルの33027ドルとなりました。

週末の23日(金)は、前日の米株式が半導体企業の先行き業績の警戒感からフィラデルフィア半導体株指数が4%を超える下げとなったことで、半導体関連株が売られ、これを受けて日経平均は、半導体関連株は円高もあって大きく売られ、一時▲401円の26106円まで下げました。売り一巡後の戻りも限定的で終値は▲272円の26235円でした。

週末のNYダウは、クリスマス休暇の市場関係者が多く薄商いの中で原油相場高を受け、エネルギー株が上昇し、NYダウは△176ドルの33203ドル、ナスダックは△21Pの10497Pでした。シカゴ日経先物は△65円の26215円となっていました。

今週は様子見で手を出さずに年越しを

今週は、先週に引き続き様子見となりそうです。ただ、日銀の金融政策変更を受けて株価が急落し、10日ほどで2000円を超す下落幅となっていることで、短期的には調整が相当進んだとみてよく、為替の動きによっては今週いったん底入れして来年に向けての反発局面への体制の週となるかもしれません。ただ、米国ではFRBは利上げペースを緩められない状況が続いており、金融引締めの長期化が世界経済を冷え込ませる懸念が継続することになります。

先週のチャートは、日銀の「実質増税」と岸田政権の「増税」を受け、週末の23日には26106円まで下げました。200日移動平均線(22日時点27245円)や52週移動平均線(27312円)を大きく割り込み、調整入りを鮮明にしています。目先は一服して反発があったにしても、この先、10月の安値25621円や3月安値の24681円を模索してもおかしくありません。

信用買い残も16日申込時点でみると、3兆3354億円となり、3月4日の3兆3522億円以来の高水準となっています。20日の日銀ショック(▲669円)で信用買い残の多くが評価損をかかえていることになっていますので、年末に信用買い残の見切り売りが出る可能性があります。今年は手を出さずに年越しが基本といえます。

(指標)日経平均

先週の動き

先週の予測では、27000~28000円のレンジ内の動きを想定。19日(月)は、▲289円の27237円と27500円の心理的フシ目を切りました。20日(火)になると後場の日銀金融政策決定会合で予想外の大規模緩和の修正を発表。変動許容幅を0.25→0.5%としました。市場では実質の0.25%の利上げとみられ、日経平均は一時▲820円の26416円まで急落。21日(水)は▲298円の26269円まで下げるものの、翌22日(木)は下げすぎからの△120円の26507円と反発。しかし引け後のNYダウが▲348ドルの急落となったことで、週末の日経平均は一時▲401円の26106円まで下落し、終値では▲272円の26235円となりました。

今週の見通し

今週も先週の流れを引き継ぎ様子見となりそうです。26日(月)は欧米各国はクリスマスで休場。イギリスや香港は27日(火)も休場となり、薄商いで個別銘柄物色相場となりそうです。国内も年末年始モードに入りますが、海外勢はクリスマス休暇が終わり、新年に向けて本格体制になってくるので、まず、来年をみてから動くことになります。

(指標)NYダウ

先週の動き

前週末からFRBの利上げ継続が景気を冷やし、企業業績への懸念も生まれて下落が続き、19日(月)は▲162ドルの32757ドルでスタートしました。20日(火)は日銀のネガティブサプライズを受けたものの、NYダウは△92ドルの32849ドルと5日ぶりの反発となり、21日(水)はナイキやフェデックスが好決算を発表したことで、企業業績の過度な警戒心が和らぎNYダウは△526ドルの33376ドルと大幅続伸となりました。しかし22日(木)は7~9月期GDPが予想を上回って好調だったことから、利上げ懸念が再燃し、一時▲803ドルまで下げて、終値は▲348ドルの33027ドルと反落しました。週末の23日(金)は、クリスマス休暇で市場参加者が少ない中、原油高を受けてNYダウは△176ドルの33203ドル、ナスダックは△21Pの10497Pの反発でした。

今週の見通し

本日26日(月)は、クリスマスの振替え休日で休場。FRBの利上げ継続と、それが景気後退につながるという懸念は根強く、年末ラリーへの期待も薄まるため、年末にかけての大きな上昇は期待できそうにありません。
1月4日にFOMC議事録公開、6日には雇用統計の発表を控え様子見が続きそうです。

(指標)ドル/円

先週の動き

先週は、20日(火)の日銀の金融政策決定会合での長期金利の許容変動幅の拡大を受け、実質利上げとの見方から、一時、1ドル=130.58円まで急落しました。ただ、131円以下ではドル買いが観測されており、23日には一時133.14円まで上昇し、週末は132.84円で引けました。131~134円のレンジの動きとなっています。

今週の動き

日銀は、今後、引締め的な政策に転換するとの見方が広がっていますが、株式などのリスク資産から安全資産であるドルへの逃避が広がる可能性があり、ドルは下げ渋りとなりそうです。

配信元: みんかぶ株式コラム