■品川リフラクトリーズ<5351>の業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の連結業績概要
(1) 2023年3月期第2四半期の業績概況
2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.4%増の61,064百万円、営業利益が同6.0%増の5,401百万円、経常利益が同17.3%増の6,299百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同29.3%増の4,587百万円となった。第1四半期決算発表時点の予想との比較では、売上高が1.8%増、営業利益が8.0%増、経常利益が5.0%増、四半期純利益が同52.9%増であった。
最大の需要先である鉄鋼業界は、半導体不足による自動車の減産が影響して2022年度上半期の国内粗鋼生産量が4,480万トンと前年同期比7.5%減少した。同社は、タイムラグがあるもののスプレッドを一定幅に保つよう価格改定に努めており、利益の増減は主に粗鋼生産量の変動に影響を受ける。当第2四半期の増収は、期中に急速に進んだ円安影響を十分に価格改定に反映ができなかっものの、市況による耐火物原料価格の高騰は販売価格に概ね転嫁できたことによる。
第2四半期の平均為替レートは、前年同期の1ドル当たり109.8円から134.0円と24.2円、約22%の円安となった。同社の為替感応度は、1ドル当たり1円の円安で年60百万円から70百万円の営業減益要因となる。一方、棚卸資産評価益の発生や海外向け売上が堅調に推移したことに加え、急激な円安傾向が為替差益を増加させた。営業外収益に計上された為替差益は、前年同期の15百万円から566百万円に増え、経常利益の伸び率を大きくした。
当第2四半期純利益の予実差が大きくなったのは、社宅として使用していた遊休資産を売却し、固定資産売却損益(2,517百万円)を特別利益に計上したためである。売却代金は、持続的な成長に向けた投資資金に充てる。四半期純利益が予想以上となったため、1株当たり中間配当を当初計画の95円から100円へ増額した。年間予想配当も当初の1株当たり190円から200円に修正した。
(2) 事業別動向
事業別では、耐火物及び関連製品部門が、原料価格上昇の販売価格への転嫁が進んだことにより増収増益となった。エンジニアリング事業と不動産事業は小幅減収となったものの、増益を確保した。
a) 耐火物及び関連製品
売上高の約8割を占める耐火物及び関連製品事業は、売上高が49,204百万円と前年同期比21.9%増加した。セグメント利益は5,277百万円、同9.0%増にとどまった。前述したように、価格転嫁が進んだ反面、国内粗鋼生産量が減少し、急激な円安が進行したためである。増収増益を実現したものの、売上高利益率は前年同期比1.3ポイント減の10.7%となった。海外子会社の業績は、現地通貨建てでも堅調に推移した。
b) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業は、売上高が前年同期比1.7%減の11,317百万円、セグメント利益が同15.7%増の834百万円、売上高利益率は同1.1ポイント増の7.4%となった。利益率の改善は、工事案件の構成差による。
c) 不動産事業
不動産事業は、売上高が前年同期比3.5%減の542百万円、セグメント利益が同4.9%増の268百万円であった。減収は一部物件の賃貸契約が終了したことによる。賃貸契約が終了した資産の取り壊しによる固定資産税額の減少が増益をもたらした。
2. 財務状況
2023年3月期第2四半期末の総資産は、前期末比5,917百万円増加の125,627百万円となった。流動資産は、同4,856百万円増の83,596百万円であった。現金及び預金が前期末比1,020百万円減少したが、受取手形・売掛金等が1,169百万円増加した。たな卸資産は、同4,509百万円増加した。増額分のうち原材料及び貯蔵品が2,657百万円を占めた。原材料価格が高騰していたことから、原材料の在庫を積み増した。また、新型コロナウイルス感染症拡大対策などで物流網が停滞するときのリスクに備えた。負債の部では、有利子負債の増加が525百万円に留まった。財務の健全性指標である、流動比率が前期末比7.5ポイント増の207.4%、自己資本比率が同1.4ポイント増の51.7%といずれも良好な水準だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 2023年3月期第2四半期の連結業績概要
(1) 2023年3月期第2四半期の業績概況
2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.4%増の61,064百万円、営業利益が同6.0%増の5,401百万円、経常利益が同17.3%増の6,299百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同29.3%増の4,587百万円となった。第1四半期決算発表時点の予想との比較では、売上高が1.8%増、営業利益が8.0%増、経常利益が5.0%増、四半期純利益が同52.9%増であった。
最大の需要先である鉄鋼業界は、半導体不足による自動車の減産が影響して2022年度上半期の国内粗鋼生産量が4,480万トンと前年同期比7.5%減少した。同社は、タイムラグがあるもののスプレッドを一定幅に保つよう価格改定に努めており、利益の増減は主に粗鋼生産量の変動に影響を受ける。当第2四半期の増収は、期中に急速に進んだ円安影響を十分に価格改定に反映ができなかっものの、市況による耐火物原料価格の高騰は販売価格に概ね転嫁できたことによる。
第2四半期の平均為替レートは、前年同期の1ドル当たり109.8円から134.0円と24.2円、約22%の円安となった。同社の為替感応度は、1ドル当たり1円の円安で年60百万円から70百万円の営業減益要因となる。一方、棚卸資産評価益の発生や海外向け売上が堅調に推移したことに加え、急激な円安傾向が為替差益を増加させた。営業外収益に計上された為替差益は、前年同期の15百万円から566百万円に増え、経常利益の伸び率を大きくした。
当第2四半期純利益の予実差が大きくなったのは、社宅として使用していた遊休資産を売却し、固定資産売却損益(2,517百万円)を特別利益に計上したためである。売却代金は、持続的な成長に向けた投資資金に充てる。四半期純利益が予想以上となったため、1株当たり中間配当を当初計画の95円から100円へ増額した。年間予想配当も当初の1株当たり190円から200円に修正した。
(2) 事業別動向
事業別では、耐火物及び関連製品部門が、原料価格上昇の販売価格への転嫁が進んだことにより増収増益となった。エンジニアリング事業と不動産事業は小幅減収となったものの、増益を確保した。
a) 耐火物及び関連製品
売上高の約8割を占める耐火物及び関連製品事業は、売上高が49,204百万円と前年同期比21.9%増加した。セグメント利益は5,277百万円、同9.0%増にとどまった。前述したように、価格転嫁が進んだ反面、国内粗鋼生産量が減少し、急激な円安が進行したためである。増収増益を実現したものの、売上高利益率は前年同期比1.3ポイント減の10.7%となった。海外子会社の業績は、現地通貨建てでも堅調に推移した。
b) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業は、売上高が前年同期比1.7%減の11,317百万円、セグメント利益が同15.7%増の834百万円、売上高利益率は同1.1ポイント増の7.4%となった。利益率の改善は、工事案件の構成差による。
c) 不動産事業
不動産事業は、売上高が前年同期比3.5%減の542百万円、セグメント利益が同4.9%増の268百万円であった。減収は一部物件の賃貸契約が終了したことによる。賃貸契約が終了した資産の取り壊しによる固定資産税額の減少が増益をもたらした。
2. 財務状況
2023年3月期第2四半期末の総資産は、前期末比5,917百万円増加の125,627百万円となった。流動資産は、同4,856百万円増の83,596百万円であった。現金及び預金が前期末比1,020百万円減少したが、受取手形・売掛金等が1,169百万円増加した。たな卸資産は、同4,509百万円増加した。増額分のうち原材料及び貯蔵品が2,657百万円を占めた。原材料価格が高騰していたことから、原材料の在庫を積み増した。また、新型コロナウイルス感染症拡大対策などで物流網が停滞するときのリスクに備えた。負債の部では、有利子負債の増加が525百万円に留まった。財務の健全性指標である、流動比率が前期末比7.5ポイント増の207.4%、自己資本比率が同1.4ポイント増の51.7%といずれも良好な水準だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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