“上値追い”には細心の注意を…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/08/29 11:24

◆ “タカ派寄り”との認識から… - “138円回復”


注目のパウエルFRB議長講演では、『高インフレ抑制に向けた利上げを継続』との意向が示されました。
「インフレ抑止を最優先」との意向が強調された格好であり、“金利選好→ドル買い”が進行しました。
こうしてユーロドルは再び“パリティ割れ”で先週の取引を終える中、ドル円は“137.534円”へと駆け上がり、そして週明けの本日には“138円台”に到達しています。

◆ ただ、これまでのFRB関係者発言に比べると…?


一方で“タカ派”と捉えられた同発言ですが、直近2週間にわたって相次いだFRB関係者の“タカ派”発言に比べると、若干“ニュアンスが緩い”のも否めないところです。
「9月0.75%利上げ」への明確な言質もないだけに、今後は「米経済指標の動向次第」に再び押し戻された印象があるのも否めないところがあります。

そうなると気になるのは、講演直前に値を落とすキッカケとなった「米PCEコア・デフレータ(前年比+4.6%)」です。
“前月(+6.8%)”のみならず、“事前予想(+6.4%)”をも下回った結果は、「米景気後退の可能性」を改めて意識させるには十分な材料といえます。

◆ “追い風”が吹きやすいのは事実だが…!?


“金利選好→ドル買い”に傾斜しやすい状況となっているだけに、ドル円にとっては“追い風”が吹きやすい状況であるのは事実です。
このため“値頃感に伴うドル売り”は極めて危険といえそうですが、一方でこのまま“上値追い”に移行できるかは些か疑問…?

短期金先市場を見ると、「米9月0.75%利上げ」の可能性は“(65%弱)”へと上昇しています。
しかし“既定路線”と呼べるほどの上昇でないのも、また事実といえます。
その分“上値余地あり”と考えることも可能ですが、“上値追い”に関しては細心の注意を持って臨む必要がありそうです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:138.874(7/21高値、+2σ)
上値4:138.564(7/18高値)
上値3:138.385(7/19-20高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:137.955(7/22高値、大台、ピボット1stレジスタンス)
上値1:137.699(8/23高値)
前営業日終値:137.508
下値1:137.162(日足・一目均衡表先行スパン上限)
下値2:136.943(+1σ、大台)
下値3:136.716(ピボット1stサポート)
下値4:136.243(日足・一目均衡表転換線)
下値5:136.171(8/24安値、8/26安値)

《10:45》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想