■要約
1. 総合エネルギーサービス企業への進化を目指す
シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業では、シェアサイクル事業や抗菌事業など多様な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化に応えるため、総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。
2. 強みは全国にある供給基地と販売ネットワーク
同社の強みは、全国にあるLPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)などの供給基地、及び販売店のネットワークにある。同社から販売店や消費者へのリーチが短くなることでサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなるからである。一方、競争の激しい石油製品の依存度抑制や新たな時代へのアプローチといった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに第一次~第二次の中期経営計画を策定、課題を解消し持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現在同社は、創業100周年に向けたマイルストーンとして第二次中期経営計画を進行中で、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」の3つを定性目標に、事業基盤を整備しているところである。
3. 新規事業ではシェアサイクル事業と建物維持管理事業に注目
2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による足踏みはあったが、第二次中期経営計画の定性目標の達成に向けて施策を進めているところである。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却などを進めた。持続的成長を実現する投資の実行では、新型マイクロ風車の開発で埼玉県さいたま市や北海道札幌市における実証実験の実施などの進展があったほか、韓国の大型風力発電については、引き続き、開発許可を待つ状況が続いている。また、シェアサイクル事業は、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設などを巻き込んだステーション開発を推進、2023年3月期の収益化が見えてきた。建物維持管理事業は、病院や斎場の運営などファシリティマネジメントや消毒清掃といった強みを背景に受注を伸ばしており、今後、グループ内再編によってシナジーやスケールメリットを追求する計画になっている。
4. 創業100周年に向け持続的にROE6.0%以上を生み出す事業構造を確立へ
2022年3月期の業績は、売上高289,340百万円(前期比33.3%増)、営業利益2,480百万円(同15.5%減)となった。売上高は原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価上昇で大きく伸びたが、IT関連や新規事業の戦略投資が先行して営業減益となった。2023年3月期業績見通しについて、同社は売上高310,000百万円(同7.1%増)、営業利益2,500百万円(同0.8%増)を見込んでいる。売上高は高水準の原油価格を前提に増収の予定だが、経営基盤整備に向けたIT投資などを引き続き継続するため、営業利益は横ばい圏にとどまる見込みである。コロナ禍でペースが緩やかになったと思われる定量目標だが、先行投資の効果により中期的にキャッチアップできれば、2027年の創業100周年に向けてROE6%以上の達成だけでなく、投資家が一定の目安とするROE8%も視野に入ってくると思われる。
■Key Points
・大手燃料卸売業者、再生可能エネルギー事業など脱炭素社会につながる事業を積極推進
・好調のシェアサイクル事業や建物維持管理事業などを中心に非エネルギー事業の収益拡大が進む
・投資先行の中、2027年の創業100周年に向け、ROE6%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 総合エネルギーサービス企業への進化を目指す
シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業では、シェアサイクル事業や抗菌事業など多様な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化に応えるため、総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。
2. 強みは全国にある供給基地と販売ネットワーク
同社の強みは、全国にあるLPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)などの供給基地、及び販売店のネットワークにある。同社から販売店や消費者へのリーチが短くなることでサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなるからである。一方、競争の激しい石油製品の依存度抑制や新たな時代へのアプローチといった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに第一次~第二次の中期経営計画を策定、課題を解消し持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現在同社は、創業100周年に向けたマイルストーンとして第二次中期経営計画を進行中で、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」の3つを定性目標に、事業基盤を整備しているところである。
3. 新規事業ではシェアサイクル事業と建物維持管理事業に注目
2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による足踏みはあったが、第二次中期経営計画の定性目標の達成に向けて施策を進めているところである。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却などを進めた。持続的成長を実現する投資の実行では、新型マイクロ風車の開発で埼玉県さいたま市や北海道札幌市における実証実験の実施などの進展があったほか、韓国の大型風力発電については、引き続き、開発許可を待つ状況が続いている。また、シェアサイクル事業は、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設などを巻き込んだステーション開発を推進、2023年3月期の収益化が見えてきた。建物維持管理事業は、病院や斎場の運営などファシリティマネジメントや消毒清掃といった強みを背景に受注を伸ばしており、今後、グループ内再編によってシナジーやスケールメリットを追求する計画になっている。
4. 創業100周年に向け持続的にROE6.0%以上を生み出す事業構造を確立へ
2022年3月期の業績は、売上高289,340百万円(前期比33.3%増)、営業利益2,480百万円(同15.5%減)となった。売上高は原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価上昇で大きく伸びたが、IT関連や新規事業の戦略投資が先行して営業減益となった。2023年3月期業績見通しについて、同社は売上高310,000百万円(同7.1%増)、営業利益2,500百万円(同0.8%増)を見込んでいる。売上高は高水準の原油価格を前提に増収の予定だが、経営基盤整備に向けたIT投資などを引き続き継続するため、営業利益は横ばい圏にとどまる見込みである。コロナ禍でペースが緩やかになったと思われる定量目標だが、先行投資の効果により中期的にキャッチアップできれば、2027年の創業100周年に向けてROE6%以上の達成だけでなく、投資家が一定の目安とするROE8%も視野に入ってくると思われる。
■Key Points
・大手燃料卸売業者、再生可能エネルギー事業など脱炭素社会につながる事業を積極推進
・好調のシェアサイクル事業や建物維持管理事業などを中心に非エネルギー事業の収益拡大が進む
・投資先行の中、2027年の創業100周年に向け、ROE6%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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