■今後の見通し
2. 中期経営計画
キャリアリンク<6070>は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定している。1年前に発表した業績計画では2024年3月期に売上高46,980百万円、営業利益4,240百万円を目標に掲げていたが、営業利益は2年前倒しで達成し、売上高についても1年前倒しで達成する見込みとなった。BPO案件獲得のための中核人材の採用・育成が順調に進み、BPOサービスの売上高が大きく伸長したことが主因だ。こうした状況を踏まえて、今回策定した中期業績計画では2025年3月期に売上高61,476百万円、営業利益6,053百万円、経常利益6,051百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,139百万円を目標に掲げた。今後3年間の年平均成長率は、売上高、営業利益、経常利益で10%台となる。営業利益率については2023年3月期に一旦9.3%に落ち込むものの、2024年3月期以降は上昇に転じ、2025年3月期は9.8%を見込んでいる。
(1) 投資計画
年率10%台の売上成長を実現していくために、投資も継続していく方針だ。第1に、自治体などでの需要拡大が見込まれる、IT要素を取り入れたBPO案件の受注獲得に向けて必要となる中核人材の採用並びに次世代中核人材の育成に注力する。中核人材とは、BPOサービスの企画・設計や構築など上流工程に携わる人材や営業開発要員、システム開発要員などが含まれる。採用した人材は研修も兼ねてBPO業務の現場を経験し、その後に責任者として各現場に配属されることになる。このため、中核人材を増員することでBPO案件を数多く受注することが可能となる。
第2に、生産性向上のためのシステム投資を行う。具体的には、人材育成のためのナレッジマネジメントツールの拡充を図っていくほか、スタッフマイページやスタッフ管理機能の強化に着手する。また、RPAを社内外問わず活用し、業務効率の向上を図る。
第3に、事業規模拡大に向けたインフラ投資を進めていく。具体的には、需要に応じてBPOセンターを拡充するほか、製造系人材サービス事業でも新規エリアへ拠点を展開し、さらなる業容拡大を図る。また、従業員、顧客、スタッフの安全性確保や、新しい働き方に対応するインフラ整備も進めていく予定だ。
(2) 成長戦略
a) 事務系人材サービス
事務系人材サービス事業の売上高は年率12.0%成長を目指す。成長戦略としては、公共分野のDX化に伴い発生するBPO需要を取り込んでいくことを最重点施策として掲げている。デジタル庁が2021年12月に発表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によると、2025年度までに国と地方自治体で業務システムの統一化を図り、共通のクラウド基盤上ですべての自治体が利用できるガバメントクラウドシステムを構築する計画となっている。このため、各自治体は従来のシステムから新たな標準システムへの移行を進める必要があり、こうした移行作業においてBPOサービスの需要が見込まれている。
自治体のBPO案件については、過去の運用実績が発注先を決定する際の大きな判断材料となるため、マイナンバー・マイナポータル関連業務を多く手掛けてきた同社にとっては強みとなる。実績を足がかりとして、取引自治体数(再委託先含む)を直近3年間の実績(79自治体)の約2倍となる161自治体に拡大していくことを目標にしている。2倍増というのはアグレッシブな目標に見えるが、継続率が80%超と高いことや、BPO案件を獲得していくための中核人材の採用・育成も進んでいることから、実現可能な目標と弊社では見ている。
b) 製造系人材サービス
製造系人材サービス事業の売上高は年率15.6%成長を目指す。「コンプライアンスを重視した外国人労働者に対しての遵法経営」が顧客からも高く評価されており、そのナレッジの積み重ねと習熟を図りながら営業エリアを拡大し、売上成長を目指す戦略となっている。製造系派遣市場のなかで同社のシェアはまだ低いこともあり、既存大手顧客の他拠点に横展開し、進出したエリアで新規顧客の開拓も進めていくことにより、年率2ケタ成長を目指す。派遣スタッフに占める外国人労働者の比率が5割と高く、今後も外国人居住者の多いエリアを優先して拠点を展開していく。なお、外国人労働者の採用については独自のノウハウを持っているようで、スムーズに採用できているようだ。今後は外国人の入国制限が徐々に緩和される見通しであることも追い風となる。
c) 営業系人材サービス
営業系人材サービス事業の売上高は年率23.2%成長を目指す。事業を開始して4年が経過し、広域にわたる新規商材獲得といった営業活動に関するナレッジマネジメントを蓄積してきた。コロナ禍で直近2期間は苦戦を強いられたが、既存の主要顧客からの継続受注だけでなく、「新規商材×広域」をキーワードとした案件を受注していくことで成長を目指していく考えだ。
なお、2026年3月期以降についてもBPOプラットフォーマーとしての強みを生かし、公共分野のDX需要を取り込みながら、持続的な成長を目指していく方針となっており、今後の展開が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画
キャリアリンク<6070>は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定している。1年前に発表した業績計画では2024年3月期に売上高46,980百万円、営業利益4,240百万円を目標に掲げていたが、営業利益は2年前倒しで達成し、売上高についても1年前倒しで達成する見込みとなった。BPO案件獲得のための中核人材の採用・育成が順調に進み、BPOサービスの売上高が大きく伸長したことが主因だ。こうした状況を踏まえて、今回策定した中期業績計画では2025年3月期に売上高61,476百万円、営業利益6,053百万円、経常利益6,051百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,139百万円を目標に掲げた。今後3年間の年平均成長率は、売上高、営業利益、経常利益で10%台となる。営業利益率については2023年3月期に一旦9.3%に落ち込むものの、2024年3月期以降は上昇に転じ、2025年3月期は9.8%を見込んでいる。
(1) 投資計画
年率10%台の売上成長を実現していくために、投資も継続していく方針だ。第1に、自治体などでの需要拡大が見込まれる、IT要素を取り入れたBPO案件の受注獲得に向けて必要となる中核人材の採用並びに次世代中核人材の育成に注力する。中核人材とは、BPOサービスの企画・設計や構築など上流工程に携わる人材や営業開発要員、システム開発要員などが含まれる。採用した人材は研修も兼ねてBPO業務の現場を経験し、その後に責任者として各現場に配属されることになる。このため、中核人材を増員することでBPO案件を数多く受注することが可能となる。
第2に、生産性向上のためのシステム投資を行う。具体的には、人材育成のためのナレッジマネジメントツールの拡充を図っていくほか、スタッフマイページやスタッフ管理機能の強化に着手する。また、RPAを社内外問わず活用し、業務効率の向上を図る。
第3に、事業規模拡大に向けたインフラ投資を進めていく。具体的には、需要に応じてBPOセンターを拡充するほか、製造系人材サービス事業でも新規エリアへ拠点を展開し、さらなる業容拡大を図る。また、従業員、顧客、スタッフの安全性確保や、新しい働き方に対応するインフラ整備も進めていく予定だ。
(2) 成長戦略
a) 事務系人材サービス
事務系人材サービス事業の売上高は年率12.0%成長を目指す。成長戦略としては、公共分野のDX化に伴い発生するBPO需要を取り込んでいくことを最重点施策として掲げている。デジタル庁が2021年12月に発表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によると、2025年度までに国と地方自治体で業務システムの統一化を図り、共通のクラウド基盤上ですべての自治体が利用できるガバメントクラウドシステムを構築する計画となっている。このため、各自治体は従来のシステムから新たな標準システムへの移行を進める必要があり、こうした移行作業においてBPOサービスの需要が見込まれている。
自治体のBPO案件については、過去の運用実績が発注先を決定する際の大きな判断材料となるため、マイナンバー・マイナポータル関連業務を多く手掛けてきた同社にとっては強みとなる。実績を足がかりとして、取引自治体数(再委託先含む)を直近3年間の実績(79自治体)の約2倍となる161自治体に拡大していくことを目標にしている。2倍増というのはアグレッシブな目標に見えるが、継続率が80%超と高いことや、BPO案件を獲得していくための中核人材の採用・育成も進んでいることから、実現可能な目標と弊社では見ている。
b) 製造系人材サービス
製造系人材サービス事業の売上高は年率15.6%成長を目指す。「コンプライアンスを重視した外国人労働者に対しての遵法経営」が顧客からも高く評価されており、そのナレッジの積み重ねと習熟を図りながら営業エリアを拡大し、売上成長を目指す戦略となっている。製造系派遣市場のなかで同社のシェアはまだ低いこともあり、既存大手顧客の他拠点に横展開し、進出したエリアで新規顧客の開拓も進めていくことにより、年率2ケタ成長を目指す。派遣スタッフに占める外国人労働者の比率が5割と高く、今後も外国人居住者の多いエリアを優先して拠点を展開していく。なお、外国人労働者の採用については独自のノウハウを持っているようで、スムーズに採用できているようだ。今後は外国人の入国制限が徐々に緩和される見通しであることも追い風となる。
c) 営業系人材サービス
営業系人材サービス事業の売上高は年率23.2%成長を目指す。事業を開始して4年が経過し、広域にわたる新規商材獲得といった営業活動に関するナレッジマネジメントを蓄積してきた。コロナ禍で直近2期間は苦戦を強いられたが、既存の主要顧客からの継続受注だけでなく、「新規商材×広域」をキーワードとした案件を受注していくことで成長を目指していく考えだ。
なお、2026年3月期以降についてもBPOプラットフォーマーとしての強みを生かし、公共分野のDX需要を取り込みながら、持続的な成長を目指していく方針となっており、今後の展開が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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