[資源・新興国通貨6/20~24のポイント&注目通貨] メキシコペソ:BOM会合が重要!?

著者:八代和也
投稿:2022/06/20 13:17

今週のポイント

BOC(カナダ中銀)やRBA(豪中銀)、RBNZ(NZ中銀)はすでに利上げを開始し、今後も利上げを続けるとみられる一方、日銀は現在の大規模な金融緩和策を継続する姿勢を示しています。日銀とBOCなどとの金融政策の方向性の違いに支えられて、カナダドル/円や豪ドル/円、NZドル/円は堅調に推移しそうです。

ただ、主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。米FRBなど主要中銀(日銀を除く)の利上げを受けて、欧州や米国はリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が市場で浮上しており、主要国の株価に対して下押し圧力が加わっています。株安が続けば、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。リスクオフは、円高材料や米ドル高材料です。

今週(6/20- )は、BOM(メキシコ中銀)とTCMB(トルコ中銀)の政策会合があります(いずれも23日)。BOMは、0.75%の利上げを行うことを決定しそうです(後述)。

TCMBについては、政策金利を14.00%に据え置くとみられます。トルコの5月CPI(消費者物価指数)は前年比73.50%と、上昇率は前月の69.97%から加速したものの、エルドアン大統領は低金利を志向しており、その状況でTCMBが利上げするのは困難と考えられるからです。トルコリラ/円については、米ドル/円の上昇に下支えされているものの、TCMBが政策金利を据え置いた場合には、下押しする可能性があります。

今週の注目通貨ペア(1):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.25000~1.32000カナダドル>

カナダの5月CPI(消費者物価指数)が22日に発表されます。CPIの市場予想は前年比7.3%と、91年1月以来の高い伸びを記録した前月の6.8%から上昇率が加速し、BOC(カナダ中銀)のインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)を大きく上回るとみられています。

BOCの現在の政策金利は1.50%。市場では、BOCは次回7月13日の政策会合で0.75%の利上げを行い、政策金利は22年末までに3.50%へと上昇するとの見方が有力です。CPIが市場予想を上回る結果になれば、BOCの利上げ観測が一段と強まり、カナダドルの支援材料となりそう。米ドル/カナダドルは軟調に推移する可能性があります。

一方で、米国の長期金利(10年物国債利回り)は14日に一時3.50%に接近し、11年4月以来の高い水準をつけました(長期金利はその後低下)。また、米国の代表的な指標であるダウは17日に終値としては20年12月以来の安値をつけました。米長期金利が上昇する、あるいは米国株が下落を続ける場合には(リスクオフは米ドル高要因のため)、米ドル/カナダドルは下値も堅いかもしれません。

今週の注目通貨ペア(2):<メキシコペソ/円 予想レンジ:6.400~6.800円>

BOM(メキシコ中銀)は23日に政策会合を開きます。その結果にメキシコペソ/円が反応しそうです。

BOMは前回5月の会合で0.50%の利上げを行っており、現在の政策金利は7.00%です。メキシコの5月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比7.65%、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコア指数は同7.28%でした。いずれもBOMのインフレ目標(3%。その上下1%が許容レンジ)を大きく上回っており、BOMは23日の会合で追加利上げを決定するとみられます。

必要なら0.75%の利上げを行うとの姿勢をBOMが示していることもあり、利上げ幅は0.75%になるとの見方が市場では有力です。その通りの結果になれば、5人の政策メンバーの投票行動に注目。全会一致で0.75%の利上げが決定される、あるいはより大幅な利上げを主張したメンバーがいれば、メキシコペソの支援材料となりそうです。主要国の株価動向には注意が必要なものの(株安は円高要因のため)、メキシコペソ/円は6.829円(6/9高値)に接近する可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想