■業績動向
1. 2022年3月期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2022年3月期の連結業績は、コロナ禍の影響を受けながらも段階的に社会経済活動が再開してきたことによって営業収益(売上高)で前期比15.5%増の14,206百万円、営業利益で同18.9%増の418百万円、経常利益で同6.7%増の614百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.4%増の372百万円となり、前期比で大幅な増収増益を達成するとともに過去最高の営業収益を記録した。
2020年12月に買収し、今年度より損益が反映されることになった株式会社宅都が、主要事業エリアである大阪中心部においてコロナ禍の深刻な影響を受けたことにより、連結決算は当初想定を下回ったものの(営業収益は予想比-2.9%、営業利益は同-15.2%、親会社に帰属する当期純利益は同-23.3%)、既存事業(宅都を除いた営業収益)の業績は好調に推移した。2022年3月期の営業収益は12,775百万円とコロナ禍の影響が深刻化する前の2019年3月期の11,600百万円を上回る実績を残した。連結営業収益に関してもコロナ禍の影響が軽微だった2020年3月期を上回った。また、収益力の回復も業績に現れてきた。第4四半期の営業利益は847百万円となり、2020年3月期第4四半期の825百万円、2021年3月期第4四半期の707百万円を大きく上回る結果となった。
セグメント別の業績は、不動産関連事業の営業収益が12,832百万円(前期比19.3%増)、営業利益が2,010百万円(同2.4%増)となった。国内経済活動が少しずつ活発化していくとともに多くの地域で転居需要の回復が見られるなか、同社のきめ細かい営業施策の工夫の成果が鮮明に表れ、仲介件数も同3,941件増の7万6,220件に伸長した。店舗数の減少は、主に事業環境の変化に対応した統廃合によるものだ。店舗数が減ったなかで仲介件数が増加しているのは、新成長戦略の効果により店舗あたりの生産性が上昇している証左である。施工関連事業の営業収益が1,374百万円(同10.9%減)、営業利益が87百万円(同11.5%増)となった。施工関連事業は、営業収益こそ前期比でマイナスとなったものの、原価・経費の削減に努めた結果、利益の面では前年を上回る結果での着地となった。
2022年3月期は、成長性、収益性の面で将来の見通しが明るいことを示す結果を残した。この背景にあるのは、新成長戦略(後述)の着実な実行であると弊社は考える。
財務体質は非常に健全 流動比率213.5%、固定比率69.5%で手元流動性にも問題なしROEは今後の回復が期待される
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期末時点の同社の財務状況は、親会社に帰属する当期純利益が372百万円と堅調に推移したことにより純資産の部の利益剰余金が355百万円増加している。利益剰余金は2019年3月期以降順調に増加しており、事業活動の結果としてしっかりと利益を積み上げてきたことが窺える。
利益の積み上げの結果、自己資本比率は66.4%まで改善している。また、流動比率と固定比率がそれぞれ213.5%、69.5%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュも45億4500万円としっかりと積み上がっており、同社の財務健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略の下に強化された成長性・収益性によって今後、回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、コロナ禍の影響を受け、利益水準が下がる中で積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2023年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍以前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していく中で再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により営業活動によるキャッシュ・フローが767百万円となり、前期比514百万円と大幅に増加している。投資活動によるキャッシュ・フローが228百万円となった。主な要因は無形固定資産の取得による支出だが、営業キャッシュ・フローの範囲内で賄われており、健全な投資活動であると言える。無形固定資産を見てみると、2019年3月期末時点の73百万円から2022年3月期末時点の1,862百万円と大幅に増加している。この点からも同社たITを積極的にビジネスに取り入れ、競争優位を強化しようとしていることが窺える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2022年3月期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2022年3月期の連結業績は、コロナ禍の影響を受けながらも段階的に社会経済活動が再開してきたことによって営業収益(売上高)で前期比15.5%増の14,206百万円、営業利益で同18.9%増の418百万円、経常利益で同6.7%増の614百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.4%増の372百万円となり、前期比で大幅な増収増益を達成するとともに過去最高の営業収益を記録した。
2020年12月に買収し、今年度より損益が反映されることになった株式会社宅都が、主要事業エリアである大阪中心部においてコロナ禍の深刻な影響を受けたことにより、連結決算は当初想定を下回ったものの(営業収益は予想比-2.9%、営業利益は同-15.2%、親会社に帰属する当期純利益は同-23.3%)、既存事業(宅都を除いた営業収益)の業績は好調に推移した。2022年3月期の営業収益は12,775百万円とコロナ禍の影響が深刻化する前の2019年3月期の11,600百万円を上回る実績を残した。連結営業収益に関してもコロナ禍の影響が軽微だった2020年3月期を上回った。また、収益力の回復も業績に現れてきた。第4四半期の営業利益は847百万円となり、2020年3月期第4四半期の825百万円、2021年3月期第4四半期の707百万円を大きく上回る結果となった。
セグメント別の業績は、不動産関連事業の営業収益が12,832百万円(前期比19.3%増)、営業利益が2,010百万円(同2.4%増)となった。国内経済活動が少しずつ活発化していくとともに多くの地域で転居需要の回復が見られるなか、同社のきめ細かい営業施策の工夫の成果が鮮明に表れ、仲介件数も同3,941件増の7万6,220件に伸長した。店舗数の減少は、主に事業環境の変化に対応した統廃合によるものだ。店舗数が減ったなかで仲介件数が増加しているのは、新成長戦略の効果により店舗あたりの生産性が上昇している証左である。施工関連事業の営業収益が1,374百万円(同10.9%減)、営業利益が87百万円(同11.5%増)となった。施工関連事業は、営業収益こそ前期比でマイナスとなったものの、原価・経費の削減に努めた結果、利益の面では前年を上回る結果での着地となった。
2022年3月期は、成長性、収益性の面で将来の見通しが明るいことを示す結果を残した。この背景にあるのは、新成長戦略(後述)の着実な実行であると弊社は考える。
財務体質は非常に健全 流動比率213.5%、固定比率69.5%で手元流動性にも問題なしROEは今後の回復が期待される
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期末時点の同社の財務状況は、親会社に帰属する当期純利益が372百万円と堅調に推移したことにより純資産の部の利益剰余金が355百万円増加している。利益剰余金は2019年3月期以降順調に増加しており、事業活動の結果としてしっかりと利益を積み上げてきたことが窺える。
利益の積み上げの結果、自己資本比率は66.4%まで改善している。また、流動比率と固定比率がそれぞれ213.5%、69.5%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュも45億4500万円としっかりと積み上がっており、同社の財務健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略の下に強化された成長性・収益性によって今後、回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、コロナ禍の影響を受け、利益水準が下がる中で積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2023年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍以前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していく中で再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により営業活動によるキャッシュ・フローが767百万円となり、前期比514百万円と大幅に増加している。投資活動によるキャッシュ・フローが228百万円となった。主な要因は無形固定資産の取得による支出だが、営業キャッシュ・フローの範囲内で賄われており、健全な投資活動であると言える。無形固定資産を見てみると、2019年3月期末時点の73百万円から2022年3月期末時点の1,862百万円と大幅に増加している。この点からも同社たITを積極的にビジネスに取り入れ、競争優位を強化しようとしていることが窺える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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