“上値の重さ”を意識も、“崩れる”は期待薄…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/06/03 11:29

◆ 堅調も“上値の重さ”が… - 一時“129円半ば”


「株高の連鎖」を背景に“リスクセンチメント改善”が目立った昨日は、“リスク通貨買い→ドル売り”が進行しました。
ただし“リスク選好→円売り”も同時進行しており、ドル円は“綱引き(昨日はドル売り⇔円売り)”だったといえます。
クロス円が“軒並み上昇”する中、ドル円は“130.235円”へと東京タイム序盤に上昇した後は、“129.495円”へと緩やかに値を落としていきました。
もっとも“綱引き”ということは、“一方向への動意”も限定されやすいことを意味するものであり、その後は緩やかに値を戻して昨日の取引を終えています。

◆ “マチマチ”をどう捉えるか…? - 米雇用統計


こうした中、本日は米雇用統計が予定されています。
事前予想は“非農業部門雇用者数(+32.5万人)/平均時給(前年比+5.2%)”と鈍化が想定されていますが、“失業率(3.5%)”はさらなる改善が見込まれています。
昨日発表のADP雇用統計は“鈍化(+12.8万人)”したが、米新規失業保険申請件数は“改善(20.0万件、前週比-1.1万件)”していることからも、マチマチの様相が窺えるところです。
ここからの乖離具合が注目ということに変わりはありませんが、果たしてどちらに反応するのか…?

◆ それでも「下がる際は“小さく”、上がる際は“大きく”」があるだけに…!?


ただし『6月/7月に続き、9月も0.50%利上げの可能性』とのブレイナードFRB副議長発言が昨日も跳び出したように、「日米金融当局の立ち位置の違い」は明白です。
このため“上げ渋り”こそ見せているものの、「日米金利格差」を考えれば米10年債利回りが“大きく崩れる”は想定しづらい…?
そうなるとドル円も“上値の重さ”は意識されても、“崩れる”といった展開はやはり想定しづらい…?

昨日も記したように、下がる際は“小さく”、上がる際は“大きく”というフローになりつつあるのが、現在の商状でもあります。
“3%台”に向けて騰勢を強めたり、あるいは“2万8000円台”を試す急反発を日経平均が見せたりしない限りは“上値の重さ”が意識されると考えますが、それでも“崩れない”を前提に、ことの成り行きを見極めたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


※米雇用統計が予定されていますので、いつもより値幅を拡大しています。

131.344(5/9高値)
131.232(+2σ)
131.075(5/17~5/24の138.2%戻し)
131.000(大台、ピボットハイブレイクアウト)
上値5:130.891(5/12~5/17-5/24の200%返し)
上値4:130.802(5/11高値)
上値3:130.603(ピボット2ndレジスタンス)
上値2:130.235(6/2高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:130.000(大台、+1σ)
前営業日終値:129.859
下値1:129.495(6/2安値、ピボット1stサポート)
下値2:129.319(5/24~6/2の23.6%押し)
下値3:129.196(6/1NYタイム安値、ピボット2ndサポート)
下値4:129.000(大台)
下値5:128.850(日足・一目均衡表基準線)
128.753(5/24~6/2の38.2%押し、ピボットローブレイクアウト)
128.639(6/1安値、20日移動平均線)
128.295(5/24~6/2の50%押し、日足・一目均衡表転換線)
128.000(大台)

《10:45》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想