■会社概要
1. 会社沿革
リソー教育<4714>は現 取締役会長の岩佐実次(いわさみつぐ)氏が、自身も経営に参画していた(株)日本こどもぴあが教育機器の販売を重視する方針であったことを機に、日本こどもぴあから14教室を譲り受け、1985年7月に個人別指導による質の高い教育サービスの提供を目的に(株)日本教育公社を設立したことに始まる。
設立当初は理想教育研究所(略称:理想研)という教室名の集団指導でスタートし、1クラス6名、学力別クラス編成、100%正社員講師を基本として教室運営を行い、1990年3月から同社独自の「完全個室の1対1の個人教授システム」を開発、名称を「東京マンツーマンスクール」と改称して提供を開始した。これが後に「TOMAS」へと名称変更(1997年に愛称として採用後、2000年に正式名称化)し今日に至っている。
同社は教育サービスの多角化にも積極的で、1989年に名門会家庭教師センターを開設し家庭教師部門に進出した(2003年に分社化し、名門会として運営)。また、2000年にはインターネットテレビ電話を活用したリアルタイム双方向の完全個別指導を目的に(株)日本エデュネット(現 スクールTOMAS)を、2002年には人格情操合宿教育を目的に(株)スクールツアーシップ(現 プラスワン教育)を相次いで設立した。さらに、2003年には名門幼稚園・小学校の受験指導を目的に伸芽会の株式を取得し子会社化したほか、2019年には(学)駿河台学園と資本業務提携を行い、最難関校受験に特化した個別指導塾「Spec. TOMAS」を展開すべく、合弁で(株)駿台TOMAS(出資比率51%)を設立した。
直近ではアライアンス戦略も積極的に推進している。2020年9月にヒューリック及びコナミスポーツと業務提携を発表し、子ども向けの教育特化ビル「こどもでぱーと」を共同で展開していくことを発表したほか、2021年6月にはKDDI まとめてオフィス(株)と学校向けICT整備や学校内学習支援システムの導入を共同で進める業務提携を発表した。また、2022年3月には幼児教育事業等のさらなる成長に向けて、同社及び伸芽会とKids Smaile Holdings及びKids Smile Projectの4社で業務提携を発表した。なお、ヒューリックについてはその後、同社の株式を段階的に取得しており、2022年2月末時点の持株比率で20.66%と筆頭株主になっている。
証券市場には、1998年に日本証券業協会に株式を店頭登録したのち、2001年の東京証券取引所市場第2部上場を経て2002年6月に同市場第1部に指定替えし、2022年4月の市場区分再編でプライム市場に移行した。
TOMAS、名門会、伸芽会を中心に各種教育サービス事業を展開
2. 事業の概要
同社及び主要子会社5社で、学習塾事業を中心に各種教育サービスを展開しており、事業セグメントとしては学習塾事業、家庭教師派遣教育事業、幼児教育事業、学校内個別指導事業、人格情操合宿教育事業に分けて開示している。直近5年間の事業別売上構成比では、学習塾事業が売上高の50%強で推移しており、家庭教師派遣教育事業、幼児教育事業と合わせた3つの事業で全体の約9割を占める格好となっている。また、2018年2月期から2022年2月期までの変化を見ると、家庭教師派遣教育事業の構成比が低下傾向にあり、幼児教育事業や学習塾事業、学校内個別指導事業が上昇している。
また、事業セグメント別の利益率を見ると、幼児教育事業が15~20%と最も高くなっている。これは名門幼稚園・小学校受験のパイオニアとして66年の実績を持つ伸芽会が圧倒的なブランド力を確立していることが背景にあると考えられる。学習塾事業や家庭教師派遣教育事業については10%前後の水準で推移している。学校内個別指導事業については、まだ売上規模が小さいことや先行投資段階ということもあり収益性は相対的に低く変動も大きいが、売上規模が拡大していけば10%以上の収益性を維持できるものと弊社では見ている。
(1) 学習塾事業
学習塾事業では、主力事業である完全個別指導塾「TOMAS」を首都圏で88校(2022年2月末時点、以下同様)展開しているほか、英会話スクールの「インターTOMAS」を10校、医学部受験専門個別指導塾「メディックTOMAS」を4校展開している。また、子会社の駿台TOMASにおいて、2020年2月に最難関校受験専門の個別指導塾「Spec. TOMAS」(自由が丘校)を開校している。
「TOMAS」は小学生から高校生までを対象とした1対1の完全個別指導塾で、同社によると各生徒のスキルに応じて個人別「合格逆算カリキュラム」を作成・提供することで、個別指導塾として難関志望校合格者数でトップの実績を実現している。講師は学生や社会人等のアルバイト講師が大半を占め、学習相談・サポートなどを正社員で対応することで顧客満足度の高い「安心で確実なサービス」の提供を可能としている。生徒数の構成比は小学生が4.5割、中学生が2.5割、高校生が3割となっている。また、「Spec. TOMAS」については入塾のための試験を実施しており、不合格となった生徒については近隣の「TOMAS」を紹介している。「Spec. TOMAS」自由が丘校では小学1~6年生を対象とし、最難関中学校の合格を目指すべく講師も正社員として採用しているのが特長だ。
(2) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業では、名門会が全国主要都市に35校展開している。社会人のプロ講師が家庭教師としてサービスを提供しており、同社によると進学実績を公表できる唯一の家庭教師センターとしている。毎年多数の合格者を輩出しており、特に医学部の合格実績が高いことが特徴となっている。また、首都圏以外をサービスエリアとする個別指導塾として「TOMEIKAI」を11校(九州エリア5校、東海エリア3校、甲信越エリア2校、近畿エリア1校)展開している。講師は大学生となるため、開設する地域は近隣に医科大学など優秀な大学生が多くいる地域をターゲットにしている。
(3) 幼児教育事業
幼児教育事業では、名門幼稚園・小学校受験のパイオニアでトップクラスの合格実績を持つ伸芽会(創立66年目)が、首都圏を中心に24校(首都圏21校、京阪神3校)展開している。また需要が旺盛な学童・保育事業として「伸芽’Sクラブ」を首都圏で24校(学童17校、託児7校)展開している。託児では伸芽会式教育メソッドを取り入れた“お受験”対応型の長時間託児を、学童では進学指導付き長時間学童保育を行っていることが特徴だ。仕事と育児の両立を希望するワーキングマザーから高い支持を得ており、いずれも開校と同時に定員が埋まるほどの盛況が続いている。
(4) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業では、スクールTOMASが各学校と契約して放課後の時間を活用して同社が派遣した講師による個別指導を行っている。また、2020年からはAI学習支援システム「atama+(アタマプラス)」や映像教材システム「駿台サテネット21」などと組み合わせた個別指導サービスなども提供している。生徒の獲得や教師の長時間労働が経営課題となっている私立の中高一貫校を中心に導入契約校数は年々増加しており、2022年2月末時点で107校となっている。
(5) 人格情操合宿教育事業
人格情操合宿教育事業では、プラスワン教育でサッカー教室、体操教室を各8校運営しているほか、土・日曜日や夏休みなどの長期休暇を利用した体験型教育プログラム「School Tour Ship」を企画・提供している。「School Tour Ship」に参加して様々な体験をすることで行動力や判断力を養い、知的好奇心を育むことが目的となっている。同事業に関しては「TOMAS」など主力事業の生徒に対する付加サービス的な位置付けとなっているため、利益に関しては重視していない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
リソー教育<4714>は現 取締役会長の岩佐実次(いわさみつぐ)氏が、自身も経営に参画していた(株)日本こどもぴあが教育機器の販売を重視する方針であったことを機に、日本こどもぴあから14教室を譲り受け、1985年7月に個人別指導による質の高い教育サービスの提供を目的に(株)日本教育公社を設立したことに始まる。
設立当初は理想教育研究所(略称:理想研)という教室名の集団指導でスタートし、1クラス6名、学力別クラス編成、100%正社員講師を基本として教室運営を行い、1990年3月から同社独自の「完全個室の1対1の個人教授システム」を開発、名称を「東京マンツーマンスクール」と改称して提供を開始した。これが後に「TOMAS」へと名称変更(1997年に愛称として採用後、2000年に正式名称化)し今日に至っている。
同社は教育サービスの多角化にも積極的で、1989年に名門会家庭教師センターを開設し家庭教師部門に進出した(2003年に分社化し、名門会として運営)。また、2000年にはインターネットテレビ電話を活用したリアルタイム双方向の完全個別指導を目的に(株)日本エデュネット(現 スクールTOMAS)を、2002年には人格情操合宿教育を目的に(株)スクールツアーシップ(現 プラスワン教育)を相次いで設立した。さらに、2003年には名門幼稚園・小学校の受験指導を目的に伸芽会の株式を取得し子会社化したほか、2019年には(学)駿河台学園と資本業務提携を行い、最難関校受験に特化した個別指導塾「Spec. TOMAS」を展開すべく、合弁で(株)駿台TOMAS(出資比率51%)を設立した。
直近ではアライアンス戦略も積極的に推進している。2020年9月にヒューリック及びコナミスポーツと業務提携を発表し、子ども向けの教育特化ビル「こどもでぱーと」を共同で展開していくことを発表したほか、2021年6月にはKDDI まとめてオフィス(株)と学校向けICT整備や学校内学習支援システムの導入を共同で進める業務提携を発表した。また、2022年3月には幼児教育事業等のさらなる成長に向けて、同社及び伸芽会とKids Smaile Holdings及びKids Smile Projectの4社で業務提携を発表した。なお、ヒューリックについてはその後、同社の株式を段階的に取得しており、2022年2月末時点の持株比率で20.66%と筆頭株主になっている。
証券市場には、1998年に日本証券業協会に株式を店頭登録したのち、2001年の東京証券取引所市場第2部上場を経て2002年6月に同市場第1部に指定替えし、2022年4月の市場区分再編でプライム市場に移行した。
TOMAS、名門会、伸芽会を中心に各種教育サービス事業を展開
2. 事業の概要
同社及び主要子会社5社で、学習塾事業を中心に各種教育サービスを展開しており、事業セグメントとしては学習塾事業、家庭教師派遣教育事業、幼児教育事業、学校内個別指導事業、人格情操合宿教育事業に分けて開示している。直近5年間の事業別売上構成比では、学習塾事業が売上高の50%強で推移しており、家庭教師派遣教育事業、幼児教育事業と合わせた3つの事業で全体の約9割を占める格好となっている。また、2018年2月期から2022年2月期までの変化を見ると、家庭教師派遣教育事業の構成比が低下傾向にあり、幼児教育事業や学習塾事業、学校内個別指導事業が上昇している。
また、事業セグメント別の利益率を見ると、幼児教育事業が15~20%と最も高くなっている。これは名門幼稚園・小学校受験のパイオニアとして66年の実績を持つ伸芽会が圧倒的なブランド力を確立していることが背景にあると考えられる。学習塾事業や家庭教師派遣教育事業については10%前後の水準で推移している。学校内個別指導事業については、まだ売上規模が小さいことや先行投資段階ということもあり収益性は相対的に低く変動も大きいが、売上規模が拡大していけば10%以上の収益性を維持できるものと弊社では見ている。
(1) 学習塾事業
学習塾事業では、主力事業である完全個別指導塾「TOMAS」を首都圏で88校(2022年2月末時点、以下同様)展開しているほか、英会話スクールの「インターTOMAS」を10校、医学部受験専門個別指導塾「メディックTOMAS」を4校展開している。また、子会社の駿台TOMASにおいて、2020年2月に最難関校受験専門の個別指導塾「Spec. TOMAS」(自由が丘校)を開校している。
「TOMAS」は小学生から高校生までを対象とした1対1の完全個別指導塾で、同社によると各生徒のスキルに応じて個人別「合格逆算カリキュラム」を作成・提供することで、個別指導塾として難関志望校合格者数でトップの実績を実現している。講師は学生や社会人等のアルバイト講師が大半を占め、学習相談・サポートなどを正社員で対応することで顧客満足度の高い「安心で確実なサービス」の提供を可能としている。生徒数の構成比は小学生が4.5割、中学生が2.5割、高校生が3割となっている。また、「Spec. TOMAS」については入塾のための試験を実施しており、不合格となった生徒については近隣の「TOMAS」を紹介している。「Spec. TOMAS」自由が丘校では小学1~6年生を対象とし、最難関中学校の合格を目指すべく講師も正社員として採用しているのが特長だ。
(2) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業では、名門会が全国主要都市に35校展開している。社会人のプロ講師が家庭教師としてサービスを提供しており、同社によると進学実績を公表できる唯一の家庭教師センターとしている。毎年多数の合格者を輩出しており、特に医学部の合格実績が高いことが特徴となっている。また、首都圏以外をサービスエリアとする個別指導塾として「TOMEIKAI」を11校(九州エリア5校、東海エリア3校、甲信越エリア2校、近畿エリア1校)展開している。講師は大学生となるため、開設する地域は近隣に医科大学など優秀な大学生が多くいる地域をターゲットにしている。
(3) 幼児教育事業
幼児教育事業では、名門幼稚園・小学校受験のパイオニアでトップクラスの合格実績を持つ伸芽会(創立66年目)が、首都圏を中心に24校(首都圏21校、京阪神3校)展開している。また需要が旺盛な学童・保育事業として「伸芽’Sクラブ」を首都圏で24校(学童17校、託児7校)展開している。託児では伸芽会式教育メソッドを取り入れた“お受験”対応型の長時間託児を、学童では進学指導付き長時間学童保育を行っていることが特徴だ。仕事と育児の両立を希望するワーキングマザーから高い支持を得ており、いずれも開校と同時に定員が埋まるほどの盛況が続いている。
(4) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業では、スクールTOMASが各学校と契約して放課後の時間を活用して同社が派遣した講師による個別指導を行っている。また、2020年からはAI学習支援システム「atama+(アタマプラス)」や映像教材システム「駿台サテネット21」などと組み合わせた個別指導サービスなども提供している。生徒の獲得や教師の長時間労働が経営課題となっている私立の中高一貫校を中心に導入契約校数は年々増加しており、2022年2月末時点で107校となっている。
(5) 人格情操合宿教育事業
人格情操合宿教育事業では、プラスワン教育でサッカー教室、体操教室を各8校運営しているほか、土・日曜日や夏休みなどの長期休暇を利用した体験型教育プログラム「School Tour Ship」を企画・提供している。「School Tour Ship」に参加して様々な体験をすることで行動力や判断力を養い、知的好奇心を育むことが目的となっている。同事業に関しては「TOMAS」など主力事業の生徒に対する付加サービス的な位置付けとなっているため、利益に関しては重視していない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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