[資源・新興国通貨5/16~20のポイント&注目通貨] 豪中銀の利上げ観測は強まるか!?

著者:八代和也
投稿:2022/05/16 13:18

今週のポイント

米国など主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。インフレを抑制するために米FRBが積極的に利上げを行うとの観測を背景に、米国株には下押し圧力が加わりやすいと考えられます。主要国株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まって円高圧力や米ドル高圧力が加わりそうです。

豪ドルについては、豪州の賃金コスト指数(18日)や雇用統計(19日)、総選挙(21日)の結果も材料になる可能性があります。

SARB(南アフリカ中銀)は19日の政策会合を開きます。市場では、0.50%の利上げが決定されるとの見方が有力です。その通りの結果になれば、5人の政策メンバーの投票行動に注目。全会一致で0.50%の利上げが決定される、あるいはより大幅な利上げを主張したメンバーがいれば、南アフリカランド/円の支援材料になりそうです。なお、前回3月の会合での0.25%の利上げは3対2で決定され、決定に反対した2人は0.50%の利上げを主張しました。

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BOM(メキシコ中銀)は12日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を6.50%から7.00%へと引き上げました。

会合では、政策メンバー5人のうち4人が0.50%の利上げを支持し、エスピノサ副総裁はより大幅な0.75%の利上げを主張。BOMは声明で「インフレ目標を達成するために一段と強力な措置が検討される可能性がある」と表明。今後、利上げペースを加速する可能性を示しました。BOMの次回政策会合は6月23日です。BOMのタカ派な姿勢はメキシコペソにとってプラス材料であり、メキシコペソ/円は底固く推移する可能性があります。

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トルコリラは先週(5/9- )、対米ドルで21年12月以来、対円で3月下旬以来の安値をつけました。トルコではインフレが加速しているものの、低金利を志向するエルドアン大統領の圧力によってTCMB(トルコ中銀)が利上げするのは困難とみられていることが、トルコリラに対する下押し圧力となっています。トルコリラは対米ドルや対円で引き続き軟調に推移する可能性があります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000~1.12000NZドル>

RBA(豪中銀)は3日の政策会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.10%から0.35%へと引き上げました。豪州の1-3月期賃金コスト指数が18日、4月雇用統計が19日に発表されます。それらが市場予想よりも強い結果になれば、RBAの利上げ観測が強まり、豪ドルの支援材料になりそうです。

豪州では、21日に総選挙が行われます。与党・保守連合は苦戦しており、世論調査で保守連合の支持率は労働党を下回っています。労働党が過半数を獲得する(政権が交代)、あるいはハングパーラメントになれば(過半数を持つ政党がない状態)、豪ドルが売られる可能性があります。豪ドル/NZドルのメドとして、下値が1.08248NZドル(4/25安値)、上値は1.11760NZドル(18年8月高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア②:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.27000~1.31000カナダドル>

BOC(カナダ中銀)はインフレを抑制するため3月に0.25%、4月に0.50%の利上げを実施(現在の政策金利は1.00%)。BOCは2~3%の間と推計する中立金利(景気を冷やしも過熱もしない政策金利の水準)に向けて今後も利上げを続ける姿勢を示しており、市場ではBOCの政策金利は22年末までに2.75%になるとの見方が有力です。

カナダの4月CPI(消費者物価指数)が18日に発表されます。CPIが市場予想の前年比6.7%を上回る結果になれば、BOCの利上げ観測が一段と強まってカナダドルの支援材料となりそう。米ドル/カナダドルは軟調に推移する可能性があります。

ただ、米FRBも今後も利上げを続けるとみられます。米ドル/カナダドルについては、原油価格(米WTI原油先物)の動向にも目を向ける必要があるものの、BOCとFRBの金融政策の方向性を考えると(いずれも上向き)、米ドル/カナダドルは下落を続ける状況ではないかもしれません。米ドル/カナダドルは、1.27123カナダドル(5/5安値)が目先の下値メドです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想