[資源・新興国通貨5/9~13のポイント&注目通貨] メキシコ中銀の利上げ幅は!?

著者:八代和也
投稿:2022/05/09 16:59

今週のポイント

米長期金利(10年物国債利回り)の上昇に支えられ、足もとで米ドルが全般的に堅調に推移しています。米長期金利は一段と上昇する可能性があり、その場合には豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。長期金利の上昇は、株価にとってマイナス要因になりうるからです。米長期金利が上昇を続ければ、米景気減速への懸念から主要国の株価が下落してリスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まる可能性があります。リスクオフは円高材料や米ドル高材料(対円以外)のため、資源・新興国通貨は対円や対米ドルで軟調に推移しそうです。

上海ではロックダウン(都市封鎖)が1カ月以上続いており、北京では新型コロナの感染対策が強化されました。中国景気をめぐる懸念が市場で強まる可能性があります。その場合、豪州やNZドルは中国を主力輸出先としていることから豪ドルやNZドルに対して下押し圧力が加わりそうです。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000~1.12000NZドル>

RBA(豪中銀)は3日の政策会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.10%から0.35%へと引き上げました。RBAが利上げしたのは、10年11月以来です。

RBAは声明で、「豪州のインフレ率が時間とともに(RBAの)目標へと戻ることを確実にするために必要なことを行う」と強調。「一定期間、政策金利をさらに引き上げる必要があるだろう」との見方を示しました。

RBAが今回利上げを行い、さらに追加利上げを示唆したことは、豪ドルにとってプラス材料です。一方で、RBNZ(NZ中銀)は前回4月13日の会合まで4会合連続で利上げを行っており、今後も利上げを継続するとみられます。NZドルにもプラス材料があります。豪ドル/NZドルは4日に一時1.11NZドル台へと上昇したものの、RBAとRBNZの金融政策の方向性を考えると(いずれも上向き)、豪ドル/NZドルが上昇を続ける状況ではなさそうです。

今週の注目通貨ペア②:<メキシコペソ/円 予想レンジ:6.200円~7.000円>

メキシコ中銀の政策金利とメキシコのCPI
メキシコ中銀の政策金利とメキシコのCPI出所:リフィニティブより作成

BOM(メキシコ中銀)は12日に政策会合を開きます。その結果がメキシコペソ/円の動向に影響を与えそうです。

メキシコの3月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比7.45%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同6.78%。総合指数は01年1月以来、コア指数は01年4月以来の高い伸びとなりました。BOMのインフレ目標は3%(その上下1%が許容レンジ)です。4月CPIは9日に発表されます(本稿執筆時点でCPIの結果は未発表)。

インフレ圧力の強さを考えると、BOMは12日の会合で利上げを行うとみられます。利上げ幅は過去3会合と同じ0.50%になりそう。0.50%、あるいはそれを超える幅の利上げをBOMが決定すれば、メキシコペソ/円は堅調に推移しそうです。

原油価格の動向にも注目です。原油価格の代表的な指標の米WTI原油先物の6月物は5日に一時1バレル=111.37ドルへと上昇し、中心限月としては3月28日以来の高値をつけました。EU(欧州連合)がロシア産原油の輸入を年内に禁止する方針を示したことを受け、原油の需給がひっ迫するとの懸念が強まり、原油の上昇要因となりました。

メキシコは原油を輸出しているため、原油価格の上昇はメキシコペソにとってプラス材料です。BOMが大幅な利上げを行って原油価格が堅調に推移すれば、メキシコペソ/円は心理的な節目の7.000円に向かって上昇する可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想