[資源・新興国通貨4/25~29のポイント&注目通貨] 豪CPIに注目! RBAの利上げ観測は強まるか

著者:八代和也
投稿:2022/04/25 14:05

今週のポイント

黒田日銀総裁は22日の講演で、「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を中心とした金融緩和を粘り強く継続する」と述べました。黒田総裁は28日の金融政策決定会合後に記者会見をしますが、会見では現在の金融政策を維持する姿勢を改めて示すとみられます。その通りになれば、日銀とBOC(カナダ中銀)やRBNZ(NZ中銀)など他の中銀との金融政策の方向性の違いが市場で改めて意識されそうです。豪ドル/円やNZドル/円、カナダドル/円は堅調に推移する可能性があります。

一方で、主要国の株価動向には注意が必要です。米FRBなど主要中銀の利上げ観測や米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇は、株価にとってマイナス材料と考えられるからです。主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まる可能性があります。その場合には円が強含んで豪ドル/円やNZドル/円、カナダドル/円は上値が重くなるかもしれません。

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メキシコの4月前半のCPI(消費者物価指数)が22日に発表され、結果は総合指数が前年比7.72%、コア指数は同7.16%でした。総合指数の上昇率は3月前半の7.29%から加速し、コア指数の上昇率も3月前半の6.68%から加速しました。BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標は3%です(2~4%が許容レンジ)。

BOM(メキシコ中銀)は、前回3月まで7会合連続で利上げを実施し、現在の政策金利は6.50%です。4月前半のCPIでインフレ圧力のさらなる強まりが示されたことで、次回5月12日の会合では、直近3会合と同じ幅の利上げ(0.50%)、あるいはそれを超える幅の利上げが行われる可能性もあります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000~1.10500NZドル>

RBA(豪中銀)は政策金利を0.10%に据え置き続けているものの、4月5日の会合時の声明では、これまでの「忍耐強く対応する用意がある」との文言を削除しました。これは、利上げに向けての地ならしとみられます。

豪州の1-3月期CPI(消費者物価指数)が27日に発表されます。CPIが市場予想(総合指数:前年比4.6%。トリム平均値:同3.4%)を上回る結果になれば、市場では次回5月3日のRBA会合での利上げ観測が強まる可能性があります。その場合、豪ドル/NZドルは上昇しそうです。豪ドル/NZドルの上値メドとして、20年8月につけた1.10440NZドルが挙げられます。

一方で、21日に発表されたNZの1-3月期CPIは前年比7.1%と、上昇率は21年10-12月期の5.9%から加速し、90年4-6月期以来の高い伸びとなりました。NZにおけるインフレ圧力の強さを考えると、RBNZは今後も利上げを続けるとみられます。

RBNZにも利上げ観測があるため、豪CPIの結果を受けて豪ドル/NZドルが上昇したとしても、上昇は長続きしない可能性があります。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:98.000円~103.00円>

カナダのCPI(前年比)
カナダのCPI(前年比)出所:リフィニティブより作成

20日に発表されたカナダの3月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比6.7%と、上昇率は2月の5.7%から加速し、91年1月以来の高い伸びを記録。BOC(カナダ中銀)のインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)を大きく上回りました。

BOCはまた、総合CPIと同様に3つのコアインフレ指標も重視しており、コアインフレ指標はいずれも2月から上昇率が高まりました。
<コアインフレ指標の結果>
*前年比。( )は前回2月
・CPI共通値:2.8%(2.7%)
・CPI中央値:4.7%(4.4%)
・CPIトリム値:3.8%(3.5%)

BOCは4月13日の政策会合で0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.50%から1.00%へと引き上げました。次回6月1日の会合でさらに0.50%の利上げが行われるとの観測が市場にはあり、3月CPIの結果はその観測を補強する結果と言えそうです。

日銀は現在の金融政策を維持する姿勢を示しており、日銀とBOCの金融政策の方向性の違いを考えると、カナダドル/円は堅調に推移しそう。カナダドル/円は、102.899円(4/21高値)超えを試すかもしれません。

ただ、米国など主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性もあり、その場合にはカナダドル/円は上値が重い展開になるかもしれません。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想