[資源・新興国通貨4/18~22のポイント&注目通貨]カナダドル/円は一段の上昇も!?

著者:八代和也
投稿:2022/04/18 16:04

今週のポイント

RBNZ(NZ中銀)やBOM(メキシコ中銀)、SARB(南アフリカ中銀)は21年に、BOC(カナダ中銀)は22年3月に利上げを開始しました。RBA(豪中銀)は政策金利を据え置き続けているものの、6月に利上げを開始するとの観測が市場にはあります。一方で、日銀は緩和的な金融政策を続ける姿勢を示しています。

日銀とBOCなど他の中銀(トルコ中銀を除く)との金融政策の方向性の違いを背景に、対カナダドルや対メキシコペソなどで円安圧力が加わりやすいと考えられます。今週(4/18- )は、カナダやNZ、南アフリカのCPI(消費者物価指数)が発表されます。CPIが市場予想を上回る結果になれば、カナダドル/円やNZドル/円、南アフリカランド/円は堅調さを増しそうです。

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TCMB(トルコ中銀)は14日の政策会合で、政策金利を14.00%に据え置きました。据え置きは4カ月連続です。

トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は、大幅なマイナス(政策金利:14.00%、3月CPI:前年比61.14%=マイナス47.14%)となっているにもかかわらず、TCMBが政策金利を据え置いたことは、トルコリラにとってマイナス材料と考えられます。トルコリラ/円は、米ドル/円の上昇に支えられているものの、トルコの実質金利のマイナス幅の大きさにも市場の意識が向かえば、下押し圧力が加わる可能性があります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000~1.10500NZドル>

RBNZ(NZ中銀)は13日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を1.00%から1.50%へと引き上げました。利上げは4会合連続です。

RBNZの利上げ幅は市場予想(0.25%)を上回ったものの、NZドルは下落しました(豪ドル/NZドルは上昇)。その主な要因として、RBNZが13日の会合時の声明で「2月の金融政策報告で示した政策金利の見通し(※)に満足している」と表明したことが挙げられます。今回0.50%の利上げを行ったにもかかわらず、政策金利のピークに関するRBNZの見方は変化していない(ピークは上がっていない)との見方もできるからです。

(※)RBNZは2月の金融政策報告で、政策金利のピークは3.35%との見通しを示しました。

目先は上述の13日の会合時の声明が意識されて、豪ドル/NZドルは底固く推移するかもしれません。ただ、RBA(豪中銀)は6月に利上げを開始するとの観測が市場にはある一方、RBNZは今後も利上げを継続するとみられます。RBAとRBNZの金融政策を考えると、豪ドル/NZドルが上昇を続ける状況ではなさそうです。21日発表のNZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が市場予想(前年比7.1%)を上回る結果になれば、RBNZの利上げ継続が市場で改めて意識されてNZドル高(豪ドル/NZドルは下落)材料になる可能性があります。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:98.000円~102.00円>

BOC(カナダ中銀)は13日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.50%から1.00%へと引き上げました。利上げは2会合連続です。BOCはまた、「再投資を終了し、4月25日からQT(量的引き締め)を開始する」と表明。「満期を迎えたカナダ国債の入れ替えはせず、その結果としてバランスシートの規模は時間とともに縮小する」としました。

マックレムBOC総裁は会合後の会見で「カナダのインフレ率は高すぎる」と指摘し、「インフレ率を目標に戻すため、BOCは必要に応じて力強く対応する」と強調。政策金利は中立金利(景気を冷やしも過熱もしない政策金利の水準)をなお大きく下回っており、「需給バランスを回復し、インフレ率を目標に戻すため、政策金利を一定期間にわたって中立金利をやや上回る水準へと引き上げる必要があるかもしれない」と述べました。BOCは中立金利を2~3%の間と推計しています。

日銀が緩和的な姿勢を示していることを踏まえると、カナダドル/円には上昇圧力が加わりやすいとみられます。そのなかでBOCが利上げやQTの開始を決定し、またマックレム総裁がタカ派的な姿勢を示したことは、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。20日発表のカナダの3月CPI(消費者物価指数)が市場予想(前年比6.1%)を上回る結果になれば、カナダドル/円は一段と上昇し、101.090円(15年6月高値)より上の水準に定着するかもしれません。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想