[資源・新興国通貨4/11~15のポイント&注目通貨]NZ中銀やカナダ中銀は利上げか

著者:八代和也
投稿:2022/04/11 13:14

今週のポイント

RBA(豪中銀)は4日の政策会合で、政策金利を0.10%に据え置いたものの、声明ではこれまでの「忍耐強く対応する用意がある」との文言削除。利上げに慎重なRBAの姿勢が変化したことが示唆されました。市場では、RBAは6月に利上げを行うとの観測があります。14日発表の豪州の3月雇用統計が良好な内容になれば、利上げ観測は一段と強まり、豪ドルの支援材料となりそう。日銀は緩和的な金融政策を続ける姿勢を示していることから、特に対円で豪ドルが上昇しやすいと考えられます。

RBNZ(NZ中銀)とBOC(カナダ中銀)が13日にそれぞれ政策会合を開きます(RBNZとBOCの会合については後述)。その結果にNZドルやカナダドルが反応する可能性があります。

14日には、TCMB(トルコ中銀)の政策会合があります。トルコの3月CPI(消費者物価指数)は前年比61.14%と、前月の54.44%から上昇率が加速し、02年3月以来20年ぶりの高い伸びとなりました。インフレへの対応策として利上げが考えられるものの、TCMBが利上げを行うのは困難とみられます。TCMBの金融政策への影響力が大きいエルドアン・トルコ大統領が低金利を志向しているからです。

TCMBは14日の会合で政策金利を14.00%に据え置くとみられ、その通りの結果になればトルコリラ/円に大きな反応はみられないかもしれません。ただ、トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)が大幅なマイナス(11日時点でマイナス47.14%)になっていることは、トルコリラにとってマイナス材料です。今後、トルコの実質金利にも市場の意識が向かえば、トルコリラ/円に対して下押し圧力が加わる可能性があります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07500~1.10000NZドル>

RBNZ(NZ中銀)は、前回2月23日の政策会合まで3会合連続で利上げを行いました。13日の会合では、政策金利をさらに引き上げることが決定されるとみられ、焦点はどの程度利上げするのか(利上げ幅)になりそうです。

前回会合以降、NZの主要な経済指標の発表はほとんどありませんでした。また、今回の会合では四半期金融政策報告の公表や総裁会見が行われません。さらに、RBNZの金融政策において重要な判断材料となるNZの1-3月期CPI(消費者物価指数)は、会合後の21日に発表されます。これらを考えると、利上げ幅は過去3回と同様に0.25%になる可能性が高そうです。

市場では0.50%の利上げ観測もあるため、利上げ幅が0.25%にとどまれば、NZドルが売られそうです。豪ドル/NZドルは、1.10000NZドル(心理的な節目)に向かって上昇する可能性があります。ただ、RBNZは今後も利上げを継続するとみられます。RBNZの声明でそのことが示唆されれば、政策金利の結果を材料にしたNZドル売りは長続きしないかもしれません。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:97.000円~100.00円>

BOC(カナダ中銀)は、3月2日の前回会合で0.25%の利上げを行うことを決定。18年10月以来3年5カ月ぶりに利上げを実施しました。

カナダの2月CPI(消費者物価指数)は前年比5.7%と、前月の5.1%から上昇率が加速し、91年8月以来の高い伸びを記録。BOCのインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)から一段と乖離しました。また、コジッキBOC副総裁は3月25日の講演で、「カナダのインフレ率は高すぎる」と指摘し、「BOCはインフレ率を目標へと戻すことに主眼を置いており、力強く行動する用意がある」と述べました。これらをみると、BOCは13日の会合で0.50%の利上げを行うと考えられます。

0.50%の利上げは、市場にほぼ織り込まれています。その通りの結果になった場合には、声明や会合後に行われるマックレム総裁の会見に注目です。マックレム総裁の会見などで、今後も積極的に利上げを行う可能性があるとの姿勢が示されれば、カナダドル/円が堅調に推移しそう。カナダドル/円は、100.117円(3/28高値)が上値メドです。

13日のBOC会合ではまた、国債の保有残高を減らす「QT(量的引き締め)」について議論されるとみられます。QTの開始が決定された場合、カナダドルにとってプラス材料になりそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想