[資源・新興国通貨4/4~8のポイント&注目通貨]豪ドル:5日のRBA会合に注目!

著者:八代和也
投稿:2022/04/04 13:27

今週のポイント

BOE(英中銀)やRBNZ(NZ中銀)、SARB(南アフリカ中銀)、BOM(メキシコ中銀)は21年に利上げを開始し、米FRBやBOC(カナダ中銀)は先月(3月)利上げを実施。ECB(欧州中銀)やRBA(豪中銀)は政策金利を据え置いているものの、22年中に利上げを行うとみられます。一方で、日銀は緩和的な金融政策を続けるとみられ、少なくとも22年中の利上げはなさそうです。日銀と他の中銀との金融政策の方向性の違いが市場で意識され、円安圧力が加わりやすいと考えられます。豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円は、堅調に推移しそうです。

RBAは5日に政策会合を開きます。市場では、RBAは早ければ6月に利上げを行うとの観測があり、声明がその観測を強める内容になるかどうかに注目です。

7日には、メキシコの3月CPI(消費者物価指数)が発表され、またBOM議事録(3/24開催分)が公表されます。それらがBOMの利上げ観測を強める内容になるかどうかに注目です(後述)

トルコの3月CPI(消費者物価指数)が4日に発表されます(本稿執筆時点で未発表)。これまでのトルコリラ安や原油などの資源価格上昇の影響もあり、トルコではインフレが加速しているものの、低金利を志向するエルドアン・トルコ大統領の圧力によってTCMB(トルコ中銀)が利上げを行うのは困難とみられます。そのため、CPIが市場予想の前年比61.50%を上回る結果になれば、トルコリラ安材料になりそう。トルコリラ/円については、米ドル/円が上昇すれば下げ渋る可能性もあります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000~1.09000NZドル>

RBA(豪中銀)は4月5日に政策会合を開きます。会合では、政策金利を0.10%に据え置くことが決定されるとみられ、注目点は声明における金融政策の先行きに関する文言になりそうです。

豪州の21年10-12月期CPI(消費者物価指数)トリム平均は、前年比2.6%と、RBAのインフレ目標(2~3%)の中間値である2.5%を約7年ぶりに上回りました。最近の資源価格上昇の影響もあってインフレ圧力は今後一段と強まると予想されるため、市場では「RBAは早ければ6月に利上げを行う」との観測があります。

RBAは前回3月1日の会合時の声明で、「インフレ率が2~3%の目標範囲内に持続的に収まるまでは、利上げを行わない」、「賃金の伸びは依然として緩やかであり、(賃金の伸びが)インフレ率が持続的に目標を達成するのに一致する速度になるまでには、まだしばらく時間がかかる可能性がある」、「RBAは忍耐強く対応する用意がある」と表明しました。

「忍耐強く(対応する)」との文言が削除されるなど、今回の声明の内容が市場の利上げ観測を強めるものへと変化すれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。目先のメドとして、下値が1.06944NZドル(3/22安値)、上値は1.08798NZドル(3/29高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア②:<メキシコペソ/円 予想レンジ:6.000円~6.500円>

メキシコの3月CPI(消費者物価指数)が7日に発表されます。CPIの市場予想は、総合指数が前年比7.35%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同6.70%。総合指数は2月の7.28%から上昇率が高まり、またコア指数の上昇率は01年6月以来の高い伸びを記録した2月の6.59%から加速するとみられています。BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標は3%(その上下1%が許容レンジ)です。

BOMは3月24日の前回会合で、0.50%の利上げを行うことを全会一致で決定しました。CPI(特にコア指数)が市場予想を上回る結果になれば、5月12日の次回会合でさらに0.50%の利上げが行われるとの観測が強まりそうです。CPIと同じ7日に公表されるBOM議事録で、3月の会合では0.75%の利上げも検討されていたことが明らかになれば、次回会合での0.75%の利上げ観測が浮上するかもしれません。利上げ観測(0.50%の場合でも)が強まる場合、メキシコペソ/円は堅調に推移しそうです。

原油価格の動向には注意が必要かもしれません。米国が3月31日に戦略石油備蓄の放出(6カ月間、日量100万バレルずつ)を発表し、4月1日にはIEA(国際エネルギー機関)加盟国が石油備蓄を協調して放出することを決定しました。これらを受けて市場では、原油の需給ひっ迫への懸念が後退しました。WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)が大きく下落するようなら、メキシコペソ/円は伸び悩む可能性もあります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想