ユーロ/米ドル、上値余地は限定的か

著者:津田隆光
投稿:2022/04/01 10:12

重要線突破となるかがポイント

ユーロ/米ドル・日足・複合チャート
ユーロ/米ドル・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】先行2スパン(≒1.11470ドル)を上抜け突破するか否か
【見通し①】同スパン突破なら、「1.12500ドル」付近までの上昇も想定
【見通し②】同スパン上値抑制なら、「1.10000ドル」or「1.08600ドル」付近までの下押しもあり得そう

先月7日に直近安値となる「1.08045ドル」を付けた後、徐々に上値を切り上げる動きとなっているユーロ/米ドル。もう一段の上値トライはあるのでしょうか。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足が赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)の中で推移していること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で、+DI>-DIの乖離がやや拡大し、ADXが上昇推移になりつつある(上図赤色点線丸印)ことから、ユーロ/米ドル・日足チャートは、上下圧力が拮抗するレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。

喫緊の注目ポイントは、赤色雲の上辺である先行2スパン(≒1.11470ドル、上図黄色矢印)をローソク足が上抜け突破するか否か。

同スパンについては、ⅰ) 直近高安レートを結んだFR(フィボナッチ・リトレースメント)・50.0%水準、いわゆる“半値戻し”ライン、およびⅱ) (先行2スパンと同じく)上値抵抗線を示唆するBB(ボリンジャーバンド)・+2σラインの両メルクマールと近似値であることから、今後のユーロ/米ドルにとっての「重要な分水嶺」と捉えて良いでしょう。

上記を踏まえた上で、筆者が予想する今後の見通しは以下の通りです。(見通し①、②)


[見通し①]
これからの時間にかけて、先行2スパンを終値ベースで上抜け突破した場合は、「上値抵抗帯突破」→「もう一段の上値トライ」となる可能性も。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転”」や「+DI>-DIの乖離拡大」を伴いながら、直近高安レート(高値:1.14894ドル[2/10]、安値:1.08045ドル[3/7])を結んだFR・61.8%水準をメドとする「1.12500ドル」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇を想定すべきでしょう。ただし、週足チャートでは依然上値の重い相場付きを示唆するチャート形状となっていることから、その上値余地は限定的と言えるでしょう。

[見通し②]
一方で、先行2スパンで上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「上値固め」→「一旦下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「+DI>-DIの乖離縮小」や「SARの売りサインへの転換」も伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒1.10000ドル、上図Ⓑ緑色線)、ないしはBB・-2σライン(≒1.08600ドル、上図Ⓑ’水色線)付近までの下押しもあり得そうです。


上記見通し①および②を概括すると、当面のユーロ/米ドルは上値の重い相場付きが予想されることから、「戻り売り」ないしは「打診売り」が奏功しそうです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想