続・新規のポジション形成は手控えられる…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/03/11 11:35

◆ さらに“巻き戻し” - 116円前半


「ウクライナ情勢」は予断を許さないものの、昨日もドル円は“上値を伸ばし”ました。

前日の欧州株を起点とする「株高の連鎖」が継続し、この影響にて日経平均は“2020年6月以降最大の上げ幅(+972円)”を記録したからです。
“リスク回避→円買い”はさらに緩む格好となり、ドル円を押し上げました。

一方で“市場予測通り”ではあるものの、注目の「米CPI」は“40年来最高の伸び(+7.9%)”を記録しています。
このため米10年債利回りは“先月17日以来(2.01%)”へ一時上昇し、そして米2年債利回りは“2019年9月以来(1.73%)”へと駆け上がる動きを見せています。
こうして「日米金利格差拡大」への思惑も再燃しており、“金利選好→ドル買い”が優勢となっています。
こうして「リスク/金利」の双方からの“押し上げ”に伴って“116.193円”へと上値を伸ばしたドル円は、本日に入って“さらに上昇(本稿執筆時高値は116.380円)”しています。
もっとも昨日記した“116.20-35円”のドル売りオーダーに行く手を阻まれており、「ストップロス」を絡めていないのが実状といえます。

◆ ただし週末でもあり…?


『緩和策の縮小ペース加速』が昨日のECB理事会で謳われたように、「世界的なインフレ懸念」は留まるところを知りません。
このため「インフレ動向→金融政策の行方」へとマーケットの目が再び向いても、何ら不思議ではないところです。
一方で「ウクライナ情勢」は予断を許さないだけに、引き続き「新規のポジション形成は手控えられる」という可能性が否めません。
特に本日は週末ですので、そうした傾向がより顕著に表れる可能性も否定できないところでもあります。

引き続き“期待が募る局面”と考えますが、昨日以上に「新規のポジション形成は手控えられる」と見たいところです。
その上で“下値の堅さ”は相変わらずとは見ますが、本日に関しては「利益確定売り先行」を警戒しておきたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:116.668(ピボットハイブレイクアウト)
上値4:116.431(ピボット2ndレジスタンス)
上値3:116.346(1/4高値、2/10高値)
上値2:116.282(ピボット1stレジスタンス)
上値1:116.193(3/10高値、+2σ)
前営業日終値:116.134
下値1:116.000(大台)
下値2:115.896(ピボット1stサポート)
下値3:115.807(3/10安値)
下値4:115.659(ピボット2ndサポート)
下値5:115.551(3/9安値、ピボットローブレイクアウト)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想