“上値は重い”が先行も、“下値の堅さ”は相変わらず…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/03/01 11:05

◆ 再び“リスク回避姿勢” - 一時“115円割れ”


「ウクライナ情勢」に振り回される展開は変わっていないものの、昨日は『ロシアをSWIFT(いわゆる国際決済ネットワーク)から排除』がテーマ化しました。
特に『ロシア中銀・財務省並びに政府系ファンドとの取引停止』『ロシア中銀が預託する外貨資産を凍結』といった「対ロ制裁強化」の影響は大きく、マーケットは“リスク回避姿勢”に再び揺り戻されています。
このためドル円は、一時“114.862円”へと値を落とす場面を見せるなど、軟調推移を強いられています。

◆ しかし“リスク回避一辺倒”には程遠い…?


一方で『ロシア-ウクライナの停戦協議』に関しては“双方持ち戻り”となったものの、「大きな期待は持てない」との見方が開催前から大勢を占めていました。
このため“決裂”とならなかったことが逆に“リスク選好寄り”と解釈されている節もあり、“崩れる”には至っておりません。
こうして“上値の重さ”は相変わらずなものの、“下値の堅さ”も健在といった様相を見せながら、昨日の取引を終えています。

◆ 別のイベントも控えているとあっては…!?


もっとも現在のテーマは前記した「対ロ制裁強化」ですので、“リスク回避ムード”の大きな後退する展開は想定しづらいと見るのが、やはり自然なところです。
このため“上値の重さ”を引きずる中、「どこまで持ちこたえられるか?」というのが、目先のポイントといえるかもしれません。

オーダー状況を見ると“114.80-70円”には分厚いドル買いオーダーが、“115.30-50円”にはまとまった規模のドル売りオーダーが、それぞれ散見されていると聞き及びます。
「ウクライナ情勢」に右往左往している状況ではありますが、明日には「パウエルFRB議長の議会証言」も控えるスケジュール感でもあります。
ヘッドラインに注意しつつも、当該レンジ内での揺れ動きと見るのが、やはり本日も基本路線といえるかもしれませんね。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:115.513(ピボット1stレジスタンス)
上値4:115.417(2/25~2/28の61.8%戻し)
上値3:115.311(2/25~2/28の50%戻し)
上値2:115.205(2/25~2/28の38.2%戻し、20日移動平均線)
上値1:115.083(日足・一目均衡表転換線)
前営業日終値:114.960(50日移動平均線、日足・一目均衡表基準線、大台)
下値1:114.862(2/28安値、-1σ、週足・一目均衡表転換線)
下値2:114.725(2/24~2/25の76.4%押し)
下値3:114.585(日足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stサポート)
下値4:114.471(-2σ)
下値5:114.405(2/24安値、日足・一目均衡表先行スパン下限、100日移動平均線)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想