[資源・新興国通貨2/28~3/4のポイント&注目通貨]カナダドル:BOCは利上げ!?

著者:八代和也
投稿:2022/02/28 15:50

今週のポイント

市場は引き続きウクライナ情勢をめぐるニュースに敏感に反応しそうです。ウクライナとロシアの停戦協議の結果次第(本稿執筆時点で結果は不明)では、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。その場合には円高圧力や米ドル高圧力が加わり、クロス円(豪ドル/円やNZドル/円など、米ドル/円以外の対円の通貨ペア)や豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは下押ししそうです。

RBA(豪中銀)は3月1日に、BOC(カナダ中銀)は2日に、政策会合を開きます。RBAは政策金利を据え置くとみられる一方、BOCは利上げを行いそうです。豪ドルやカナダドルはそれぞれの中銀会合の結果も材料になる可能性があります。

トルコの2月CPI(消費者物価指数)が2日に発表されます。CPIの市場予想は前年比52.50%と、これまでのトルコリラ安や資源価格の上昇などの影響によって上昇率は1月の48.69%から加速するとみられています。TCMB(トルコ中銀)による利上げが困難とみられるなかでのインフレ圧力の高まりは、トルコリラにとってマイナス材料と考えられます。CPIが市場予想を上回る結果になれば、トルコリラ/円に対して下押し圧力が加わりやすくなるかもしれません。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05500~1.08200NZドル>

RBNZ(NZ中銀)は2月23日、0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.75%から1.00%へと引き上げました。利上げは3会合連続。「物価の安定を維持し、最大限の持続可能な雇用を支援するため」と利上げの理由を説明しました。RBNZはまた、保有する国債を7月から売却などを通じて段階的に減らす方針を示しました。

RBNZは今回、四半期に一度の金融政策報告を公表し、政策金利の見通しを21年11月時点から上方修正。政策金利は22年12月に2.2%(21年11月時点では2.1%)、23年12月に3.3%(同2.6%)、24年12月に3.4%(同2.6%)との見通しを示しました。

RBNZが政策金利の見通しを上方修正し、また保有する国債を段階的に減らすと表明したことは、NZドル高材料であり、豪ドル/NZドルの上値を抑える要因になりそうです。

RBA(豪中銀)は3月1日に政策会合を開きます。会合では、政策金利を0.10%に据え置くことが決定されるとみられます。注目点は、声明における金融政策の先行きに関する文言。前回2月1日の会合時の声明では、「インフレ率が2~3%の目標範囲内に持続的に収まるまでは、利上げを行わない」、「賃金の伸びは依然として緩やかであり、(賃金の伸びが)インフレ率が持続的に目標を達成するのに一致する速度になるまでには、まだしばらく時間がかかる可能性がある」、「RBAは忍耐強く対応する用意がある」とされました。

市場では、「RBAは5月か6月に利上げを開始する」との観測があります。声明がその観測を強める内容になれば、豪ドルを下支えしそうです。その場合、RBNZにも利上げ観測があるため、豪ドル/NZドルは明確な方向感が出難いとみられます。豪ドル/NZドルは目先のメドとして、下値が200日移動平均線(2/28時点で1.05608NZドル)、上値は1.08163NZドル(21/5/4高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:89.000円~92.000円>

カナダの1月CPI(消費者物価指数)は前年比5.1%と、前月の4.8%から上昇率が加速し、91年9月以来の高い伸びを記録。BOC(カナダ中銀)のインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)を大きく上回りました。インフレの加速を受け、BOCは3月2日の政策会合で利上げを行うことを決定しそうです。その通りの結果になり、さらに声明で追加利上げが示唆されれば、カナダドルの支援材料になりそうです。また、足もとで原油価格が上昇しており、それも資源国通貨であるカナダドルにとってはプラスです。

一方で、ウクライナ情勢次第ではリスクオフ(リスク回避)の動きが強まるかもしれません。その場合には円高圧力が加わり、カナダドル/円は下押しする可能性があります。カナダドル/円は89.225円(2/24安値)が下値メド、上値は92.170円(1/12高値)がメドです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想