「軟調スタート、下落歩調に変化なし」~黒岩の眼(朝刊)

著者:黒岩泰
投稿:2022/02/24 08:45

チャートは取引レンジを切り下げ

http://chart.fisco.co.jp/mado

 昨日の米国株式相場は下落。ダウ工業株 30 種平均は 454.85 ドル安の 33131.76、ナスダック総合指数は 344.03 ポイント安の 13037.49 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 26265 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は軟調スタートを想定。下値を試すものと思われる。

 日経平均の日足チャートでは昨日、下ひげが出現。売り一巡後に下げ渋ったものの、明確は底入れのサインとはなっていない。取引レンジを切り下げたことで、相場の弱さを改めて露呈。下落歩調に何ら変化はない。

 米国株が下落したことで、日本株も軟調な推移を強いられそうだ。ウクライナ情勢の緊張感が増しており、投資家はリスク回避の動きが優勢。本日も売り先行となりそうだ。

 ただ、米ナスダックが2%以上の下落となったものの、日本株はそれを先取りして動いている。日経平均の寄り付きの下落率は1%程度であり、いわゆる「パニック売り」とはならない。ロシアによるウクライナ侵攻はすでに「規定路線」となっており、特にサプライズは生じそうもない。

 確かに市場ではウクライナ情勢という地政学的リスクが懸念されているが、ロシアへの制裁による原油価格の上昇、インフレ懸念も経済へ暗い影を落としている。「米利上げが急ピッチで進む」という懸念が高まっており、それが株価の上値抑制要因として機能しているのだ。

 ただ、忘れてはならないのが、「株価は半年から9か月程度、先行する」という事実。ウクライナ侵攻が始まってしまえば、「終わりの始まり」が意識され、株価は先行して底入れする可能性がある。なので、投資家は「先の先」を読んでトレードしなければならない。現在の日経平均のチャートは「弱気」であることから「売りポジション」をとらざるを得ないが、底入れのタイミングは決して遠くない。底入れのシグナルを見逃さないようにしたい。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想