[資源・新興国通貨2/21~25のポイント&注目通貨]NZ中銀は23日に利上げか

著者:八代和也
投稿:2022/02/21 16:40

今週のポイント

市場はこのところ、ウクライナ情勢に関するニュースに反応しやすい地合いとなっており、ウクライナ情勢には引き続き注意が必要です。ウクライナ情勢をめぐる懸念が市場で一段と強まれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まりそうです。その場合には円高や米ドル高が進む可能性があり、円高や米ドル高は、とりわけ投資家のリスク意識の変化を反映しやすい対豪ドルや対NZドルで進みやすいと考えられます。

豪州の21年10-12月期の賃金コスト指数(賃金上昇率)が23日に発表されます。市場では、RBA(豪中銀)は早ければ6月にも利上げを開始するとの見方が有力。賃金コスト指数の結果を受け、6月の利上げ観測が一段と強まるかどうか注目されます。

同じ23日にRBNZ(NZ中銀)の政策会合があります。市場は3会合連続で利上げが行われるとみており、今回は「どの程度利上げするのか(利上げ幅)」や「RBNZの政策金利見通し」に注目。それらの結果にNZドルが反応しそうです。

トルコリラ/円は今年に入ってからおおむね8円台前半で推移し、落ち着いた値動きになっています。ただ、トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)はマイナス34.69%(政策金利:14.00%、1月CPI上昇率:48.69%)と、大幅なマイナスとなっており、これはトルコリラ安材料です。実質金利のマイナス幅が縮小傾向にならなければ、トルコリラ/円はいずれ下押しする可能性があります。トルコの2月CPIは3月3日に発表され、TCMB(トルコ中銀)の次回政策会合は3月17日です。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05500~1.08200NZドル>

今週(2/21- )の豪ドル/NZドルは、23日の豪賃金コスト指数(賃金上昇率)とRBNZ(NZ中銀)政策会合の結果に影響を受けそうです。

豪賃金コスト指数(21年10-12月期)の市場予想は前年比2.4%(本稿執筆時点)と、上昇率は7-9月期の2.2%から高まるとみられています。RBAはインフレが持続するかどうかを判断する材料として賃金の動向を挙げています。そのため、賃金コスト指数が市場予想を上回る結果になれば、RBA(豪中銀)の利上げ観測が市場で強まる可能性があります。その場合、豪ドルの支援材料になりそうです。

RBNZ(NZ中銀)会合では、利上げを行うことが決定されそうです。利上げ幅については、市場では0.25%との見方が有力なものの、0.50%との見方も一部にあります。そのため、利上げ幅が0.25%ならば、NZドルがいったん売られる(豪ドル/NZドルは上昇する)かもしれません。

一方で、今回の会合ではRBNZの金融政策報告が公表されます。前回21年11月の金融政策報告では、政策金利は22年12月に2.1%、23年12月には2.6%との見通しが示されました。政策金利の見通しが今回大きく上方修正されれば、NZドル安(豪ドル/NZドルの上昇)は長続きしない可能性があります。

豪ドル/NZドルは目先のメドとして、下値が200日移動平均線(21日時点で1.05623NZドル)、上値は1.08163NZドル(21/5/4高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:89.000円~92.000円>

今週は、カナダの主要な経済指標の発表はありません。そのため、カナダドル/円は原油価格の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は14日、一時1バレル=95.82ドルへと上昇し、14年9月以来、7年5カ月ぶりの高値をつけました。WTI原油先物はその後に弱含んだものの、依然として90ドル前後で推移しており、7年5カ月ぶりの高値圏を維持しています。原油価格が堅調に推移すれば、カナダドル/円は底固い展開になりそうです。

一方で、ウクライナ情勢をめぐる懸念が強まる、あるいは主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まるかもしれません。リスクオフは円高要因のため、カナダドル/円には下押し圧力が加わる可能性があります。カナダドル/円は目先、200日移動平均線(21日時点で89.380円)が下値メド、上値は92.170円(1/12高値)がメドです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想