ユーロ/米ドル、“嵐の前の静けさ”か

著者:津田隆光
投稿:2022/02/18 10:22

「有事」のボラティリティ上昇には要注意!

ユーロ/米ドル・日足・複合チャート
ユーロ/米ドル・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】先行2スパン(≒1.13040ドル)が下値サポートとなるか否か
【見通し①】同スパン下支えなら、「1.15000ドル」付近までの上昇も
【見通し②】同スパン割れなら、「1.11580ドル」付近までの下落を想定
【注目材料】ウクライナ情勢


ウクライナ情勢を巡る地政学(ジオポリティクス)的リスクの高まりが懸念される中、地経学(ジオエコノミクス)的観点からもその影響を少なからず受けるとみられるユーロ/米ドル。今月10日に直近高値となる「1.14894ドル」を付けた後、一旦下押しフローとなり、足もとでは約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(移動平均線)付近で推移し、言わば“居心地のいい”水準にあると捉えることもできます。これは“嵐の前の静けさ”なのか、もしくは“先行き楽観視のシグナル”なのか。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MAが横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足に絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)があること、4) パラボリック・SARがローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなり、ADXが横向き推移となっている(上図赤色点線丸印)ことから、ユーロ/米ドル・日足チャートは上下圧力が拮抗するレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。

足もとにおける注目ポイントは、青色雲の下辺である先行2スパン(≒1.13040ドル、上図黄色矢印)がローソク足を下支えするか否か。

筆者が予想する、今後の見通しは以下の通りです。(見通し①、②)


[見通し①]
これからの時間にかけて、先行2スパンがローソク足を下支えした場合は、「下値固め」→「反発フロー」となる可能性も。当該ケースでは、「SARの買いサインへの転換」や「+DI>-DIの乖離拡大」を伴いながら、BB(ボリンジャーバンド)・+2σライン(≒1.15000ドル、上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇もあり得そうです。

[見通し②]
一方で、先行2スパンをローソク足が終値ベースで下回った場合は、「下値支持帯割れ」→「もう一段の下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「SARの売りサイン継続」や「+DI>-DIの乖離縮小」も伴いながら、BB・-2σライン(≒1.11580ドル、上図Ⓑ水色線)付近までの下落を想定すべきでしょう。


上記見通し①および②を踏まえつつ、当面のユーロ/米ドル相場については、引き続き米欧中銀による金融政策スタンスの見通しとともに、上述した、ウクライナを巡る地政学および地経学的材料がその動意となりそうです。特に後者に関しては、仮に「有事」となった場合は、(初動は)「有事の米ドル買い/ユーロ売り」となり得、当初想定以上のボラティリティが発生する可能性も視野に入れるべきでしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想