テクマト Research Memo(1):情報セキュリティシステムのクラウド化需要を取り込み業績拡大が続く

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/27 15:41
■要約

テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、製品販売にとどまらず、システム構築、保守、運用・監視サービスまでを含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供しているのが強みである。また、アプリケーション・サービス事業では、医療、CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューションと、新たに開始した教育事業の5つのソリューションサービスを展開している。特に、医療分野におけるクラウド型PACS(医用画像管理システム)※では業界最大手となっている。

※PACS(Picture Archiving and Communication Systems):MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡、PET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。


1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
2022年3月期第2四半期累計(2021年4月~9月)の連結業績は、売上収益で前年同期比10.3%増の16,146百万円、営業利益で同3.6%減の1,601百万円となった。売上収益はクラウド型セキュリティ製品を中心に情報基盤事業が同14.8%増と好調を持続した。年々巧妙化するサイバー攻撃に対処するための投資が続くなか、ここ最近はクラウド型製品にシフトする動きが顕著となっており、こうした需要を取り込めていることが好調の要因となっている。受注高では同31.4%増とさらに伸長しており、受注残高も積み上がる格好となっている。営業利益については販促費や人件費の増加、並びに新規事業となる教育事業の先行投資等により減益となったが、期初会社計画に対しては売上収益、営業利益ともに超過した。

2. 2022年3月期見通し
2022年3月期の連結業績は売上収益で前期比6.7%増の33,000百万円、営業利益で同3.3%増の3,700百万円と期初計画を据え置いた。アプリケーション・サービス事業は教育事業の先行投資等により減益を見込むものの、情報基盤事業の収益拡大でカバーする。足元もクラウド型セキュリティ製品の受注は好調を持続しており、通期業績も計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、医療分野では引き続きクラウド型PACSの契約数拡大により2ケタ成長が見込まれるほか、自動車業界向けの受注が回復しているソフトウェア品質保証分野も増収増益が見込まれる。2021年3月期は端境期で低迷したCRM分野も国内外で周辺サービスを提供するベンダーとの連携を進めており、2023年3月期以降は成長が期待できそうだ。

3. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」の進捗について
同社は2022年3月期から新たな中期経営計画をスタートしている。基本戦略については、取扱い製品の拡大・新規サービスの立ち上げ、サービス化の加速、データの利活用、M&A・アライアンスの推進、海外市場での事業拡大など前中期経営計画からの戦略を踏襲する。業績目標は2024年3月期で売上高40,000百万円、営業利益5,000百万円とし、年平均成長率は売上高で9.0%、営業利益で11.7%となる。2年目までは先行投資もあって利益の伸びは緩やかだが、3年目に大きく伸ばしていく計画となっている。現在までの進捗状況については、情報基盤事業が想定を上回るペースで伸び、アプリケーション・サービス事業についてもやや出遅れたものの、下期以降にキャッチアップできる見通しとなっており、全体的には順調な滑り出しを見せていると言える。情報基盤事業においては情報セキュリティシステムのクラウドシフトが始まったばかりであり、今後もクラウドシフトの需要を取り込みながら年率2ケタ成長が続くものと予想される。

■Key Points
・情報セキュリティシステムのクラウドシフトを背景に、情報基盤事業が大きく成長
・2022年3月期業績は期初計画を据え置くも、情報基盤事業の好調により上振れする可能性あり
・2024年3月期に売上高400億円、営業利益50億円を目指す中期経営計画が順調に滑り出す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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