“揺れ動き”が基本も、“レンジは広く”…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2021/12/06 11:34

◆ またしても「オミクロン」 - 112円半ばへ急反落


注目の米雇用統計は“強弱入り混じり”となり、発表直後は“ドル売り”が瞬間的に進行しました。
非農業部門雇用者数が“前月・事前予想を大きく下回った(+21.0万人)”からですが、一方で失業率は“低下(4.2%)”し、労働参加率は“上昇(61.8%)”を見せています。
このためこうした動きは長くは続かず、すぐに“巻き戻され(112.975円→113.607円)”ました。

ところがそれで終わらなかったのが、先週末でした。
NYタイム中盤以降のテーマは「オミクロン株の感染拡大」に傾斜したことで、マーケットは一転して“リスク回避姿勢”へと揺り戻されています。
こうして「逃避資金流入」が目立ったことから、米10年国債利回りは“急低下(1.47%→1.33%)”、米株式は“反落(一時△375ドル)”を見せる中、ドル円は“112.559円”へと押し下げられていきました。

◆ “金利/リスク”の双方から影響を受ける「神経質な展開」…?


米雇用統計を経て、「テーパリングの早期終了(ペースアップ)」に関しては“協議する”で概ね織り込んだと見られます。
一方で『16州でオミクロン株感染を確認』と報じられるように、米国内でも“感染拡大”は進行しています。
このため「利上げ前倒し」を織り込む状況とはいい切れず、そうなると“金利/リスク”の双方から影響を受けるという「神経質な展開」が想定されるところです。

“1.33%”まで急低下するなど、米10年債利回りには“往き過ぎ”が意識されつつあります。
一方でNYダウ先物は“(時間外取引で)反発”しており、日経平均下落も“限定的”となっています。
そうなると“リスク回避姿勢”は巻き戻されやすく、ドル円も“反発しやすい”と見られますが、問題はその後…。

オーダー状況を見ると、“112.60-50円”にドル買いオーダー、“113.40-50円”にドル売りオーダーが展開していると聞き及びます。
真ん中である“113円ライン”を挟んだ揺れ動きを想定しつつ、やや幅は広いですが“当該レンジ内では振れる可能性有”と見ておく方がいいかもしれません。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:113.449(50日移動平均線、ピボット1stレジスタンス)
上値4:113.296(日足・一目均衡表先行スパン上限)
上値3:113.207(12/3高値後の61.8%戻し)
上値2:113.083(12/3高値後の50%戻し、-1σ)
上値1:112.959(12/3高値後の38.2%戻し、大台)
前営業日終値:112.833
下値1:112.758(12/3安値後の61.8%押し)
下値2:112.528(11/30安値、12/3安値)
下値3:112.392(ピボット1stサポート)
下値4:112.315(9/15~11/24の50%押し)
下値5:112.231(-2σ)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想